聖獣王~アダムは甘い果実~

南方まいこ

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#34

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 アダムは彼の横に寝転んだ。

 ――ごめんなさい……。

 満月にシドへ近付くことは、眠らせてしまうことだと、分かっていながら来てしまった。
 それを十分承知で、一緒に寝てもいいと言ってくれた彼に、心の中で謝罪した。

「……」

 いつもなら唇が触れて直ぐに衣類を脱がされるが、彼はこちらを静かに見つめるだけだった。

「あの?」
「なんだ?」

 横になりながらシドが微笑むと、アダムの髪に触れ、サラリと指を摺りぬける髪の感触を楽しんでいる。今日は何もしないのだろうか? 少しだけ不思議に思いながら彼の視線を追った。 

「今日は、えっと……」
「歯切れが悪いな? 何時も言っているだろう? 言いたい事があるなら言えと」

 今まで側に居れば、シドが勝手に弄び行為に及んでいた事もあり、今日のような彼の態度は初めてだった。
 仕方なくアダムは起き上がり、シドに向かい合うと。

「しないのでしょうか?」
「ああ、今日はしない」

 髪に触れていた手が止まり、目を伏せると彼が溜息を吐く。別に芳香が出ていれば問題は無い、無理に行為する必要はないが、アダムは念の為にと思っていた。ただ、シドがやめると言うなら、無理にしなくてもいいと思い、そのまま横になろうとした。

「と、思うのだが……」
「………?」
「アダムがどうしてもと言うなら、な?」
「いえ、別に、いいです」
「そうか?」

 彼がアダムへ手を伸ばしてくると、ツっと顎を取り唇が塞がれた。
 初めは軽く啄んだが、次第に深くなっていく、口の端から漏れる甘い吐息に、ツンと脳が刺激され胸が苦しくなる。

「っん……」

 口付けを交わしただけで、簡単に腰が揺れ疼き、ヒクリと自分の肉襞が震える。教えられた劣情は、いとも簡単にアダムの罪深く厭らしい思考を炙り出させる。ふっと彼の唇が離れると、彼はそのまま仰向けになった。

「仕方ない、寝るか」
「え? 寝るんですか?」

 彼が顔だけアダムの方へ向けると。

「どうしてもと言うなら、その気にさせてみると良い」
「……? その気ですか」

 別に行為はしなくても我慢は出来るが、当分、会えなくなると思うと、やはり彼の温もりを刻んでおきたい。
 アダムは身体を起こすと、シドの腰に跨った。驚くほど熱い彼のモノが直接自分の股に当たる。その気にさせてみろと言うが、既に彼の熱い杭は、アダムの中に入りたがっているようだった。
 
「驚いたな…、そんな大胆な事をしてくるとはな」
「……っ」

 シドはわざとらしく驚いた顔を見せ、アダムの顎を人差し指で持ち上げた。

「それで続きは?」
「……続き」
「それでおしまいか?」

 そう言われても、彼のモノはもう準備が出来ている気がした。
 これ以上どうすれば良いのだろう……? とアダムは少し考え、いつもシドがしている事をして見れば良いのでは無いかと思い、逞しく男っぽい筋肉で形成されている彼の首筋に舌を這わせた。

「……」

 少し彼が反応した気がする。最初はどうすれば良いのか分からなかったが、シドの真似をすればいいと気が付くと、そこからは簡単だった。
 彼の着ている寝着をスルスルと解いて行く、胸元を開け硬く均等に付いた腹筋に手を滑らせた。胸元にある飾りに口づけをすると、彼の甘い吐息が髪にかかる。

「気持ちいいですか?」
「……」

 彼は熱のある眼差しで、アダムをじっと見るだけだった。仕方なく、そのまま舌を尖らせ胸元を舐め続けた。ちゅる、ちゅると彼の胸の尖りを舐め、ここからどうすれば……? と、思考を張り巡らせ、思わず喉を鳴らした。
 シドがいつもアダムの性器を咥える行為を思い出し、頬に熱が集まり加熱していく。

「どうした?」 
「い、え……」
「もう終わりでいいのか?」

 そっと腰をずらし手を脇の辺りから、ゴツゴツとした肌触りの腹筋を通り抜け、彼の性器へと伸ばした。
 アダムはいつも思う、この大きなモノが自分の中に入るのが不思議で仕方ない。熱く昂るシドのソレに触れるとピクリと動く、アダムは腰を浮かせ移動しようとした時――。

「もういい」
「え、でも……」
「十分、その気になった」
 
 彼は身体を起こすと、アダムの衣服に手をかけた。

「は…っ、可愛いヤツだな、何もしないなど、嘘に決まっているだろう」
「……」
「ジョエルに泣きつかれたのだろう?」
「知ってましたか」
「こんな珍しい事されたら、誰にでも分かると思うが?」

 骨ばった手が、いとも簡単にアダムの衣類を剥いでいく、ハラリと上半身が開けると、バラ色へと色を変えた尖る胸元に口づけをする。普段より強く吸い付かれ微かに痛みが走った。

「っん……っ」

 唾液で濡れた尖りを、親指の腹でくるりと回すとシドは不貞腐れ気味に。

「今回だけ策に溺れてやる、次はない……」

 そう呟くと、いきなり彼の手がアダムの性器を握った。

「あ、い……っや……」
「何時の間に、こんなに厭らしくなったのだろうな」
「やっ……」
「俺がいない間、他の男に触れさせるな……」 
「そんな、こと絶対に、しないです」

 軽く扱かれると、勝手にアダムの腰が前後した。唇が塞がれ舌先にじゅわりと粘着のある液が絡み、今日の彼は少しだけ乱暴だと感じた。
 いつもは、全身を舐められ焦らされた後に、ようやく触れて来る性器を、いきなり掴まれ刺激してくる。

「あ…ぁ……ああぁ……ッ」
「まったく、お前の意思ではないというのが腹立たしい……」

 シドに片手で性器を扱かれ、もう片方の手がベッド脇にある乳油へと伸びると、後孔の周りをくるくると撫で、ツプっと指が入って来る。
 その違和感と後に与えられる快感に、思わず彼の首に抱き付いた。その姿は、丁度アダムの胸が、彼の口元の位置へと移動する形になった。

「普段から、こうだと、ありがたいのだが?」

 ペロリと胸元の飾りを舐め上げ、ゆっくり後孔に出入りする指に背中が弓なりに反って行く、擽るような彼の舌の動きと、アダム肉襞の何処を擦れば気持ちが昂るのか、十分に理解している指が計算高く動き始める。
 とても気持ちがいい場所、その部分を何度か擦られ、アダムは腰をユラユラと揺すった。もう少しで、もっと気持ちいい場所へ届くと思った瞬間。

「やぁ……ぅっ」
「簡単には終わらないから覚悟するといい」

 彼の指が引き抜かれ、膨れ上がった熱がしぼんでしまう。

「…ふ、ぁ……っ」

 すでに茜色に染まった瞳を揺らしシドが、アダムを腰から下ろした。ベッドへと寝かせると、妖艶に微笑み、彼の熱い吐息が身体全体をなぞるように這う、ねっとりとした愛撫に疼くばかりだった。
 冷めては熱くなり、また冷やされる。アダムは何度、精が出そうになったか分からない。背中を這いずる舌と、内襞を擦る指がモゾモゾと動く度に、ヒクリと自分の性器が揺れ、先端からは、ぷくりと蜜が湧き出そうになっている。

「…っも……、気が、おかし、くなります……」
「それは大変だな?」

 彼が力強くアダムの両足を広げ、ようやく彼のモノを挿れてもらえると、喉の奥へコクっと唾液を流し込んだ。
 アダムは腰をくねらせシドを誘い込む、だが彼が内腿に顔を近付けると、舌でチロっと舐め、そのまま足先へと舌が這い足指を咥える。
 じれったくもどかしい刺激ばかりが蓄積していく、既にアダムの思考回路はただひとつを望むだけだった。

 ――挿れて……

 たった一言それを言うだけで、地獄のような愛撫から解放されるのに、言えずに、されるがままだった。
 ちゃぷっと音が聞え、丁寧に一本づつ足の指を舐りながら、また後孔へと指が伸びる。せり上がる熱が爆ぜることなく、苦しい思いをするのかと思い、つい……。

「も、もう…、い、や……」
「そうか?」
「……苦し、くて…、死んでしまう……」
「仕方がないな、どれ」

 腕を引きアダムを抱き起すと。

「もう少し罰が必要だが許してやろう」  

 シドに跨るよう促され、ゆっくり腰を落とした。喜悦に歪む彼の顔を見つめながら、トプンっと待ち望んだモノがアダムの中へと送り込まれ、そのひと突きで絶頂を迎えた。

「あ――、ぁぁ――……ぅ!」
「っ……」

 今まで味わった幾度の夜よりも、交わった部分が熱く火傷しそうだと感じる。プクプクと溢れるアダムの蜜が、互いの腹を汚し淫らな光景が月明りに揺れた。
 
「すぐに戻って来る」
「は、い」
「まったく……、お前は……」
「……?」
「離れることは許さないと言っただろう?」

 奥く深く杭を打ち込み、下から軽く数回突き上げると、先程吐き出した蜜が撥ね、アダムの性器がまた少し膨らみ始める。

「俺にどれだけの苦痛を味合わせるつもりだ」
「僕も、離れるのは……嫌、あっ、ぁっ」

 シドはアダムをベッドへ寝かせると、ゆらりと腰を打ち付ける。彼は苦痛だと言うが、苦痛で片時も離れたくないのはアダムの方だ。

 ――好き……、だから僕を忘れないで……。

 普段から散々甘やかされ、一時でもアダムの目の前から去っていく彼に、自分の全てを刻みつけたいなど、聖職者にあってはならない貪欲な独占欲に駆られているのだから――。
 アダムの片足を上げ肩に掛けると、より一層深く、気持ちが良い部分を擦る。肉襞を抉りながら、的確に打ち付けてくる腰に応えるように、喘ぎが漏れる。

「ん……、ぁあ……ぁぁあ」
「っ……溶けそうだ」

 シドの言葉に頷いた。もう二人ひとつに溶けてしまえば、離れなくて済むのに……、とアダムは幾度も吐精を繰り返し愛執に塗れた。



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