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09.やめられない
しおりを挟む葵が好きだと言った。
ベッドに顔を俯せ必死に顔を隠しているが、耳も首も真っ赤に染まっている。枕に顔を埋めたまま葵は言葉を吐き出した。
「約束しただろ、好きになったらって」
「けど、俺、好かれるようなこと何もしてなかったのに」
兎野は自分でも自覚があり、まったくと言っていいほど、葵に好かれる要素は無かったはずだった。
狐につままれた気分で、顔を埋める葵の後姿を見つめた。
「好きって言っても、まだ40%だ!」
「何、そのパーセンテージは……」
よく分からないパーセンテージを言われるが、葵は、たまに可笑しなことを言うから、あまり気にしない方が良さそうだと思った。兎野は取りあえず、そのパーセンテージの話は無視した。
枕に顔を埋める葵に覆いかぶさると、首にキスをした。プルっと震える様子を見て、兎野は自分のモノが緩やかに勃ちあがるのを感じる。
さっきは葵を見てるだけでイってしまったが、いや、厳密には葵が腰を揺らすから、それに擦られて刺激されたからで、あんなに悦られては誰だって耐えられないと思った。
「やっぱり、泊まりたい」
「だめだ」
駄目と言われたが、そんな言葉だけで引き下がれない。
本当に駄目と言うなら、追い出す勢いで抵抗してもらわないと、既に兎野のヤル気になった下半身は引き返せない。
それに、好きだと言い、恥ずかしそうに顔を埋める葵を前にして、何もせずにいられるわけがなかった。
布団を剥くと葵の裸が露になる。
バスルームで意識を失った時、隅々まで体を洗い堪能した細くしなやか腰を抱くと自分の指が、葵の肌に吸い込まれるように食い込んでいくのを思い出し、腰を掴んだ。
「ん……、だ、め…、だって」
そのまま背中にそっと舌を這わせると、くぐもった声が聞え、甘く抵抗する声がなんとも言えなかった。
葵は少し頭をあげて、こちらを確認するように顔を向ける。頬が染まり、ほんのり潤んだ瞳が兎野を捉えると、さらに潤んでいった。
「弓弦さん、本当のこと言って欲しい…」
「……」
「本当に駄目?」
何も言わないのは肯定したも同然だった。
腰骨から上へと這い上がるように舌で舐めつくし、首筋へと到達すると耳をかじった。
「…っ……あぁ……」
「後ろ触るね」
風呂場から持って来たローションを手に取ると、葵の尻に少し垂らした。
「あ、汚れるから」
「じゃあ、バスタオル使っていい?」
「ああ」
小さな返事が聞え、先程使ったバスタオルを葵の下にひいた。
尻に乗せていたローションが厭らしく垂れて行く光景に、さらに欲情が高まっていく、葵の肌で温まった液を指先に少し取ると、そのまま孔へと指を運んだ。後ろから見る葵の姿は、格段に淫靡な光景で喉を何度も鳴らした。
「ずっと想像してた。ほとんど毎日、弓弦さんの裸とか……、触れたらどんな顔するかとか…イクときとか…」
「は、恥ずかしいこと言うなよ」
ぐっと指を蕾へ捻じ込むと色っぽい声が漏れ、兎野の竿も同時にピクリと動いた。本当は縛ることも想像したし、目隠しも、おもちゃも、ありとあやるもので想像した。
今そんな姿されたら、それこそ見てるだけでイキそうだ。
指で敏感な襞を押すように撫ぜると、腰をヒクリと動かせ悩まし気な声をあげ、少し浮いた身体を支え四つん這いにさせた。
「あっ、ちょっと、やだ、まだ……」
「違うよ、前が苦しそうだから」
「ん…」
「大丈夫、気持ちよくするから」
葵は挿れられると思ったらしく、体を強張らせている。
まだ準備出来てないのは身体だけじゃなくて、心の方もだと分かると、今日は挿れるのは無理かも知れないと感じた。
体が浮いたことで、胸の飾りに触れることが可能になり、空いた方の手でそっと手を伸ばした。爪先で捏ねると、葵の口から快感を教える喘ぎ声が聞える。
風呂場で胸元の小さなピンク色の尖りを、珍しい果実のように美味しそうに見えて、何度もかじったことを思い出し。
「弓弦さん仰向けになって」
「う、ん…、あのさ、電気、消して欲しい」
「え……? やだよ見たい…」
消さないなら、しないと駄々を捏ねる葵に仕方なく消した。
既にプツっと尖った飾りに、口で吸いあげながら舌で捏ねると、ぷくりと更に硬くなっていく。そのまま舌を腹へ移動させると、細い体に相応しい葵のペニスが可愛らしく張りつめている。一度吐精したので綺麗に洗ったが、また先端からタラリと蜜が流れて竿を濡らしていた。
「凄く、濡れてるね」
「あ、ぁう…、っ、恥ずかしくて死にそう……」
「大丈夫、死なないように気を付ける」
死にそうだと言いながら、葵の荒くて熱い息が聞えてくる。薄明りで顔色までは分からないが、きっと頬は赤く染まっているだろう。
可愛いことを言う人だ、7歳も年上で普段は年上ぶっているが、こんな時は年齢は関係無さそうだと思う。
「ホント、毛無くてもいいかも…、そそる」
くすぐるように薄く淡い毛を舐め、あまり自慰もしたこと無さそうなピンク色の性器を銜えると、快感の声と同時に手が伸びてくる。
「ん…っ、…もう、挿れてもいい」
「まだ、2本しか指入ってないよ? もう少し広げないと……」
「……じゃ、あ、増やして」
甘ったるく指を増やして欲しいと言われ、ローションを手に取り指を増やしたが、そろそろボトルが空になる。ズズっと指を出入りさせながら、光沢を増す指が卑猥で、自分のを挿れるのを想像すると喉が熱くなる。
大丈夫だろうか、ちゃんと挿れることが出来るのか不安で仕方ない。葵の切ない声を聞くと心が震えてくる。
再度、股間へ顔を埋め双玉を舐めると、んっ、んっ、と小さく啼く声と揺れる腰が悩ましく、ずっと見ていたいと思えた。
「あっ…、…そ…、こ」
孔へ指が何度か出入りし敏感な壁襞を突くと、葵は快楽で顔を歪ませ、震える声で逝きそうだと啼き始めた。
「ん、…イって」
竿を同時に扱くと高い声を上げた。
「あ、っ……あぁ――っ…!」
葵は頭を横に振り、あっけなく吐精したが、量が少ない。
今までの愛撫で散々垂れ流したせいだろう。快感にぐったりと横たわる葵の体を見てゾワリと欲情が上昇し、指を引き抜くとゴムを付け自身の熱くなった性器をあてた。
一瞬、葵の身体が震えたが、もう、止まることは不可能だった。
「弓弦さんが痛くても、止められない」
「いい、よ」
膝を持ち葵の腰を浮かさせると、ゆっくり先端を埋め込んだ。
上から見下ろす葵の姿が、とてもいやらしくて自分の身体が過熱していく。先端の傘部分までは入ったが、葵の顔が苦痛に歪み震えていて、このまま押し進めて良いのか不安になる。
それなのに、労わる気持ちとは裏腹に貪欲に欲情していく自分もいた。
快感の熱で染まった薄紅色の体に見惚れていると葵が口を開く。
「気にせず挿れていい…」
零れる涙と一緒に言われ、切なくなる。内襞を押し広げながら、また少し押し進めた。
「これ、俺がもたないかも」
思わず本音を漏らしてしまう。一度、吐き出してはいるが、ここに至るまでに、欲する快楽に耐えに耐えた体は限界に来ていた。
狭く蠢く中の熱が、先端にピリピリと鋭い刺激を与えてくる。
「あっぁ、そ、こで止まられると余計に…ーっ」
「ん、ごめ、一回抜かせて…」
駄目だ、これは全部挿れるまでにイキそうだと感じ、一旦、精を吐き出すことにした。
緩やかに腰をまわし、葵の襞に先端を擦り付け吐精した。
望んだ快楽に酔いチカチカと目が霞むと、葵の中から自身を取り出し、吐き出したばかりの、まだ脈打つ性器に新しいゴムを付けた。
「はっ、弓弦さん、挿れるよ……」
「そ、そんな、すぐ、大丈夫なのか?」
「平気、早く挿れたい」
脳は過度の興奮を得て既に麻痺している。2回~3回は軽くいけそうだと思ったが、流石に初めてで何回もヤルのは葵が可哀想だ。
また窄まりにあてがうと、無意識に葵はシーツを掴み、痛みに耐えようと目をギュっと瞑る。
――知らないよね……。
そう、この人は何も知らない。
自分がどれだけ、この日が来るのを待っていたかを……、だから、この痛みも全て覚えていて欲しい。そんな思いを抱きながら強引に押し進めた。
「いっ、あぁあ――っ! ぁ、あ、…」
痛みと違和感に耐える鈍い呻き声を出し、葵の全身が震えている。自分の汗がしたたり落ち、汗も体液も何もかもが交わり始める。
「全部入った、よ。弓弦さん……」
「はぁ、ぁ…、裂けてない?」
目を細くして涙を流しながら子供のように、裂けてないか怖がり、ふるふると震えながら腕を掴んで来る。
「裂けてないよ、可愛いこと言うね、動くよ」
また、葵の甘い声が響き出す。あふっと喘ぎと吐息が混じった声が耳に心地いい。細い腰を持ち軽く揺すると、ぷちゅっと水音が交わりから漏れ出し、腰を打てば互いの肉があたる音に酔いしれる。
次第に燃えるように熱い葵の中が、きゅと締まり絞り取られそうになる。
「弓弦さん、コレもう感じない…?」
「ん…ぅ、やっぁ……」
どうやら葵の性器はもう限界だったようで、握っても、くすぐったいと言い、力なくクッタリしていた。
精を吐き出すところをもう一度見たかった。他人の射精するを見て、こんなに興奮するとは思っても見なかった。残念だと思っていると、葵は少し余裕が出て来たのか、こちらの腰の動きに少し合わせてくる。打ち付ける度に迸る肉音が激しくなり始め、襞の蠢きが激しくなり、葵が甲高い声を上げた。
「ぁ、あ――、…あぁあっ……!」
一気に締め付けがきつくなり、兎野の全身が快感で震えそうになる。もう、あと数回腰を打ち付ければ自身も果てそうだと感じた。
凝縮する襞に酔いながら、快楽に歪む葵を見下ろし、交わり部分のヒク付く部分を見ていると、あまりにも淫靡なソレに眩暈を起こしそうになる。
「ぅ、兎野…」
荒く息を繰り返し葵はピクリっと腰を浮かせた。
「颯太だよ」
「ん…、そ、うた、俺、もう、無理……」
「……あと少し」
葵の唇に吸い付き、舌を絡ませる。チュクと水音をさせ、角度を変えながら濃厚なキスを交わした。
せっかく繋がったのに、イってしまうのが勿体ない。けど、葵の体の負担を考えれば、もう終わらせた方がいいのかも知れない。
――嫌だな…。
自分が果てれば、また、いつもの葵に戻ってしまう。こんな子供のようにヤダとかヤメテと言う、この人をいつまでも見ていたい。
兎野は諦めに似た甘い吐息を吐き出すと、蠢く内襞に擦り付け、欲の全てを一滴残らず吐き出した。
終わってしまうと何だか寂しくなり、しばらく葵のぐったりする様子を堪能していると、ピクリと葵の睫毛が震え目を開けた。
「今…、何時?」
「朝の4時」
「……ウソだろ」
5時間以上、行為に浸っていたことに驚愕する葵を見ながら、まだ出来ると宣言したが、殺す気かと言われ断念した。
「弓弦さんは…これから、俺に従う約束だったよね?」
「……そ、そうだったな」
「じゃあ、恋人だ」
「なんでだ…」
「え、従うんでしょ?」
「そうだけど、お前の従わせる意味と言うか、基準と言うのがよく分からない」
そう言って葵は少し顔を歪ませた。
これから毎日、こんな日が続けばいいのにと思う。けれど、あと数時間で教師の顔に戻ってしまう。
非常に残念だと葵の髪をかき上げると、初めて出会った時の事を思い出し、兎野は葵を抱きしめ目を閉じた―――――。
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