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第3章 魔国での一幕
第68話 獣人側の王子と決闘!?
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城の中庭
ライオンの獣人と目が合ったゼーランが話し始める。
「ドミニク王子、こんなところにどうしたのですか?」
ドミニク王子が、その場に腰を下ろして話し始める。
「うまそうな匂いがする方に来てみたら、ゼーランとその男がうまそうなもん食ってんじゃねぇ~か、俺にも分けてくんねぇ~かと思って声をかけたんだ」
拓哉は、昨日のドミニクの行動を見ているからか、めんどくさいのが来たな~と思うのであった。 だが、王子であると聞いてしまった為、無下にも出来ず了承する。
「いいですよ。 ちょうど焼けましたし、良ければお酒も呑みますか? それと、拓哉と言います。よろしくお願いします」
拓哉は、皿に肉を盛り付けてドミニク王子に酒と一緒に渡す。
「こりゃ本当にうまそうじゃねぇ~か。 う...うめぇ~これなんの肉だ? 柔らけぇし、旨味が凝縮されて噛んだ瞬間、旨味という旨味が爆発しやがる。 ゴクっゴクっ!ぶはぁ~がははは、これもうめぇ~! こんだけキレのいい酒は初めてだ。 無限に呑めちまうじゃねぇ~か。あとで、この酒をあるだけくれ」
昨日と同じように豪快に食べるドミニク。 ビールが気に入ったのか、全部くれという意味不明な要求までしてくる。 更には途中から入ってきたにも関わらず、一切の遠慮もない。
「この酒うめぇ~な。 まだあんならくれよ。それから肉もどんどん焼け焼け」
拓哉は、遠慮がないのかこいつはと思う。せめて金くらい出せと。嫌いな人種の為、早くお開きにしたくなった。
笑顔のまま話す拓哉。
「これ火竜の肉なんですよね。 あとこのビールってお酒も普通だと手に入らないんですよ~。 せめてお礼くらい言って欲しいのですが? 急に来て、王子だがなんだか知りませんが、あるだけくれだの肉焼けだの俺はあんたの使用人じゃない。 王子だろうが、常識を持てよな」
その言葉を聞いてビールを呑んでいたゼーランが驚いて咽せる。 普段から礼儀に欠ける王子なのだが、王子ということと怒ると手が付けられないこともあり、周りは見てみぬフリをいつもしている。それを知らないにしても、拓哉が王子に対して言った言葉にゼーランは驚いたのだ。
王子も初めて言われたのか、最初はぽかーんとしていたが、次第に青筋を立てて顔が赤くなる。
「おい! お前が何者か知んねぇ~が、俺様に楯突いてんじゃねぇ~ぞ。 喜んで肉も酒も差し出しゃいいんだよ」
拓哉は思った。
あ~獣人にもこういうやついるだと。 正直、王子だろうがなんだろうが関係ない。拓哉にとっては、どうなろうと知ったことではない。
「はぁ~まさか、人間以外の国の王族にもどうしようもないやつがいるとはな。 あんたとは関わりたくもないからどっかに行ってくれないか? 顔を見るだけで虫唾が走る」
拓哉の言葉を聞いたドミニクは、拓哉の顔面を殴ろうとする。
拓哉は、絶対防御がある為、わざと殴られて腕を掴み捻り上げる。
「ぐぅぅ! 放しやがれ。 クソが~」
ドミニクが吠える。
「おいおい、そっちから殴ってきて放せは、都合良すぎると思うんだが!?」
本当に頭大丈夫なのかと思う拓哉。
これを見ていたゼーランが提案する。
「拓哉、とりあえず放してやれ。 このままだと拓哉が悪者になるぞ。 そこで、お互い納得がいかないなら決闘するというのはどうだ? ドミニク王子、獣人なら強いことが全てでしょ? 拓哉も、国との問題より個人的な解決の方がいいだろう? どうでしょうか?」
拓哉は腕を放してやる。
「俺は構いませんよ。 それで、ドミニク王子が納得して関わらないで頂けるなら」
「俺も構わねぇ~! 人間に負けるわけがねぇ~からな。 もし、俺が勝ったらこいつは俺の奴隷だ」
ゼーランが、それを聞いて話そうとした時にヴァレリーがやってくる。
「話は聞かせてもらった。 それと、両者の要求が釣り合っておらん。ドミニクが奴隷を要求するなら、お前が負けた場合、関わらない+迷惑料を払え。いいな? それから、俺と拓哉は友人だ。 負けた場合、お前は2度と魔国に立ち入るなよ。 国王にも伝えておくからな」
ヴァレリーがやってきて話をまとめ始める。
ドミニクがヴァレリーの問いに答える。
「魔王様、私は構いません。 負けるはずがありませんので、負けた場合はその条件を受け入れます」
魔王に対しては、しっかりした受け答えをするドミニク。
「ヴァレリーさん、俺も構いませんよ。 今からでも問題ありません」
ヴァレリーは、拓哉が勝つだろうと考えている。
それから何故、獣人の国の王が来なかったかというと、人間の国との奴隷問題が大きくなり王が多忙な為に、第一王子であるドミニクが代わりにやってきたのだ。
滞在中も、王族らしからぬ態度や行動が見受けられたが、ヴァレリーと国王が仲が良いことと、ドミニクが王族であることで、目を瞑っていた。 しかし、友人であり、国賓待遇で招いている拓哉に対して、あのような行動を取ってしまった為、これ見よがしにヴァレリーは仕掛けたのだ。
それといつから見ていたかというと、焼肉の匂いがして俺も食うぞと思いヴァレリーが中庭に向かった時、ドミニクが使用人にするような光景を目にした。
「その減らず口をすぐ叩けなくしてやらぁ。 今から相手してやるよ」
それを聞いたヴァレリーは、3人を転移させて闘技場に連れて行く。
「俺が審判をしてやろう。 武器の使用はなしだ。 スキルや魔法は認める。降参あるいは戦闘不能と判断したら負けだ。 殺すことは認めんからな。 2人とも用意はいいか?」
拓哉もドミニクも頷いて同意する。
「では、試合はじめ」
ヴァレリーが叫ぶ。
その瞬間、普段でもデカいドミニクの体が倍になり、赤いオーラを放つ。
「俺は、一回キレると手加減ができねぇ~んだわ。 初めから本気で行くから簡単にくたばんじゃねぇ~ぞ」
身体強化と獣神化を使ってくるドミニク。 闘技場の地面が抉れる程の蹴り出しで、一瞬にして拓哉の目の前まで行き殴る蹴るの連打をする。
あまりの猛攻に、一撃一撃凄い音が鳴り響く。
それを見ていたゼーランが焦る。
「魔王様、今すぐ止めるべきです。 拓哉が死んでしまいます」
「ゼーランよく見ろ。 あの連撃を食らって拓哉は顔色1つ変えてないぞ。 それよりも、そろそろ拓哉が決めにくるからよく見ておけ」
ゼーランは、耐えている拓哉は凄いと思うが、一向に攻撃をする気配を見せず防戦一方
なんだと思い込みヴァレリーの言う事を信じられない。
「オラオラオラ! どうした?全然攻撃してこねぇ~じゃねぇか」
拓哉は、内心もう終わりにしようと考えた。
「そろそろ、満足したかな? ちゃんと舌噛まないように歯を食いしばれよ」
爆散しない程度に、最大の力を込めて腹にパンチを食らわす。
その直後、「うぐっ」という声を出しながら、ドミニクは、くの字に曲がり場外の観客席の壁へとぶつかる。
しばらくすると、ぶつかった勢いで生じた砂埃の視界もクリアになり失神しているドミニクが姿を現した。
「勝者拓哉! 賭けの事は、俺が責任を持って対処してやるから安心しろ。 それにしても遊びすぎだ。 開始直後にヤれなかったのか?」
「めんどくさい対応ありがとうございます。 簡単に倒せましたが、一瞬で倒したら後々難癖つけてきそうじゃないですか。 手加減したので、本来ならさっきの1発で終わらすつもりなく、もっとギリギリまで追い込もうとしたんですがあの有様です」
ヴァレリーは思った。 王子は、決して弱くはない。 魔族なら将軍クラスの実力はあっただろう。 しかし、スキルをフルに使った攻撃を全て止めて一発でしとめる拓哉を見て、思っていた以上に強いと感じた。
「難癖をつけてきても大丈夫なように魔道具でしっかりと記録してある。 魔王城での行いや国賓待遇の拓哉に対する態度それに戦い全てだ。 これで本人然り王族然り問題はない。 それと、獣人の国に引き渡しが終わるまで、牢屋にぶち込んでおくから出会うこともないだろう」
ヴァレリーも相当悩みの種だったんだなと思う拓哉。
「会わないのはありがたいですね。 それに用意周到ですね。 いいように利用された感じがしますが、助けてもらったのも事実ですしお互い様ですね」
「それより、あそこで顎をあんぐりさせているゼーランさん大丈夫でしょうか?」
拓哉のあまりの強さに驚いて顎を外してたまま立ち尽くすゼーラン。
「ゼーラン終わったぞ。 いつまで呆けているつもりだ」
無理矢理引っ張って行くヴァレリー。
ゼーランは、我に返り。
「なんですか? あの強さは! あれが人間なのですか?」
慌てた様子で話すゼーラン。
「そんなことはどうでもいいから、ドミニクを担げ。 拓哉戻ったらなんか作ってくれ。 腹が減った」
「人使い荒いですね。 さっきまで戦ってたのに。 仕方ないですね、何が食べたいのですか?」
「あんなやつ拓哉なら余裕だろう? もちろん食べ損なった火竜の焼肉とビールだ」
かなり食べたかった様子のヴァレリー。
ゼーランは、あんな激しい戦いをしたにも関わらず何もなかったかのように話す2人に信じられないという目をする。
「はいはい! なら早く転移お願いします」
戻った後は、王子が負傷したことで大騒ぎになったが、獣人側の護衛とそこに居合わせた魔国側の貴族に映像を見せたところ納得されて何もお咎めがなかった。
その後は、何故か大量の焼肉を焼かされてみんなに振る舞うこととなった。 正直、拓哉は何か解せぬと感じるのであった。
ライオンの獣人と目が合ったゼーランが話し始める。
「ドミニク王子、こんなところにどうしたのですか?」
ドミニク王子が、その場に腰を下ろして話し始める。
「うまそうな匂いがする方に来てみたら、ゼーランとその男がうまそうなもん食ってんじゃねぇ~か、俺にも分けてくんねぇ~かと思って声をかけたんだ」
拓哉は、昨日のドミニクの行動を見ているからか、めんどくさいのが来たな~と思うのであった。 だが、王子であると聞いてしまった為、無下にも出来ず了承する。
「いいですよ。 ちょうど焼けましたし、良ければお酒も呑みますか? それと、拓哉と言います。よろしくお願いします」
拓哉は、皿に肉を盛り付けてドミニク王子に酒と一緒に渡す。
「こりゃ本当にうまそうじゃねぇ~か。 う...うめぇ~これなんの肉だ? 柔らけぇし、旨味が凝縮されて噛んだ瞬間、旨味という旨味が爆発しやがる。 ゴクっゴクっ!ぶはぁ~がははは、これもうめぇ~! こんだけキレのいい酒は初めてだ。 無限に呑めちまうじゃねぇ~か。あとで、この酒をあるだけくれ」
昨日と同じように豪快に食べるドミニク。 ビールが気に入ったのか、全部くれという意味不明な要求までしてくる。 更には途中から入ってきたにも関わらず、一切の遠慮もない。
「この酒うめぇ~な。 まだあんならくれよ。それから肉もどんどん焼け焼け」
拓哉は、遠慮がないのかこいつはと思う。せめて金くらい出せと。嫌いな人種の為、早くお開きにしたくなった。
笑顔のまま話す拓哉。
「これ火竜の肉なんですよね。 あとこのビールってお酒も普通だと手に入らないんですよ~。 せめてお礼くらい言って欲しいのですが? 急に来て、王子だがなんだか知りませんが、あるだけくれだの肉焼けだの俺はあんたの使用人じゃない。 王子だろうが、常識を持てよな」
その言葉を聞いてビールを呑んでいたゼーランが驚いて咽せる。 普段から礼儀に欠ける王子なのだが、王子ということと怒ると手が付けられないこともあり、周りは見てみぬフリをいつもしている。それを知らないにしても、拓哉が王子に対して言った言葉にゼーランは驚いたのだ。
王子も初めて言われたのか、最初はぽかーんとしていたが、次第に青筋を立てて顔が赤くなる。
「おい! お前が何者か知んねぇ~が、俺様に楯突いてんじゃねぇ~ぞ。 喜んで肉も酒も差し出しゃいいんだよ」
拓哉は思った。
あ~獣人にもこういうやついるだと。 正直、王子だろうがなんだろうが関係ない。拓哉にとっては、どうなろうと知ったことではない。
「はぁ~まさか、人間以外の国の王族にもどうしようもないやつがいるとはな。 あんたとは関わりたくもないからどっかに行ってくれないか? 顔を見るだけで虫唾が走る」
拓哉の言葉を聞いたドミニクは、拓哉の顔面を殴ろうとする。
拓哉は、絶対防御がある為、わざと殴られて腕を掴み捻り上げる。
「ぐぅぅ! 放しやがれ。 クソが~」
ドミニクが吠える。
「おいおい、そっちから殴ってきて放せは、都合良すぎると思うんだが!?」
本当に頭大丈夫なのかと思う拓哉。
これを見ていたゼーランが提案する。
「拓哉、とりあえず放してやれ。 このままだと拓哉が悪者になるぞ。 そこで、お互い納得がいかないなら決闘するというのはどうだ? ドミニク王子、獣人なら強いことが全てでしょ? 拓哉も、国との問題より個人的な解決の方がいいだろう? どうでしょうか?」
拓哉は腕を放してやる。
「俺は構いませんよ。 それで、ドミニク王子が納得して関わらないで頂けるなら」
「俺も構わねぇ~! 人間に負けるわけがねぇ~からな。 もし、俺が勝ったらこいつは俺の奴隷だ」
ゼーランが、それを聞いて話そうとした時にヴァレリーがやってくる。
「話は聞かせてもらった。 それと、両者の要求が釣り合っておらん。ドミニクが奴隷を要求するなら、お前が負けた場合、関わらない+迷惑料を払え。いいな? それから、俺と拓哉は友人だ。 負けた場合、お前は2度と魔国に立ち入るなよ。 国王にも伝えておくからな」
ヴァレリーがやってきて話をまとめ始める。
ドミニクがヴァレリーの問いに答える。
「魔王様、私は構いません。 負けるはずがありませんので、負けた場合はその条件を受け入れます」
魔王に対しては、しっかりした受け答えをするドミニク。
「ヴァレリーさん、俺も構いませんよ。 今からでも問題ありません」
ヴァレリーは、拓哉が勝つだろうと考えている。
それから何故、獣人の国の王が来なかったかというと、人間の国との奴隷問題が大きくなり王が多忙な為に、第一王子であるドミニクが代わりにやってきたのだ。
滞在中も、王族らしからぬ態度や行動が見受けられたが、ヴァレリーと国王が仲が良いことと、ドミニクが王族であることで、目を瞑っていた。 しかし、友人であり、国賓待遇で招いている拓哉に対して、あのような行動を取ってしまった為、これ見よがしにヴァレリーは仕掛けたのだ。
それといつから見ていたかというと、焼肉の匂いがして俺も食うぞと思いヴァレリーが中庭に向かった時、ドミニクが使用人にするような光景を目にした。
「その減らず口をすぐ叩けなくしてやらぁ。 今から相手してやるよ」
それを聞いたヴァレリーは、3人を転移させて闘技場に連れて行く。
「俺が審判をしてやろう。 武器の使用はなしだ。 スキルや魔法は認める。降参あるいは戦闘不能と判断したら負けだ。 殺すことは認めんからな。 2人とも用意はいいか?」
拓哉もドミニクも頷いて同意する。
「では、試合はじめ」
ヴァレリーが叫ぶ。
その瞬間、普段でもデカいドミニクの体が倍になり、赤いオーラを放つ。
「俺は、一回キレると手加減ができねぇ~んだわ。 初めから本気で行くから簡単にくたばんじゃねぇ~ぞ」
身体強化と獣神化を使ってくるドミニク。 闘技場の地面が抉れる程の蹴り出しで、一瞬にして拓哉の目の前まで行き殴る蹴るの連打をする。
あまりの猛攻に、一撃一撃凄い音が鳴り響く。
それを見ていたゼーランが焦る。
「魔王様、今すぐ止めるべきです。 拓哉が死んでしまいます」
「ゼーランよく見ろ。 あの連撃を食らって拓哉は顔色1つ変えてないぞ。 それよりも、そろそろ拓哉が決めにくるからよく見ておけ」
ゼーランは、耐えている拓哉は凄いと思うが、一向に攻撃をする気配を見せず防戦一方
なんだと思い込みヴァレリーの言う事を信じられない。
「オラオラオラ! どうした?全然攻撃してこねぇ~じゃねぇか」
拓哉は、内心もう終わりにしようと考えた。
「そろそろ、満足したかな? ちゃんと舌噛まないように歯を食いしばれよ」
爆散しない程度に、最大の力を込めて腹にパンチを食らわす。
その直後、「うぐっ」という声を出しながら、ドミニクは、くの字に曲がり場外の観客席の壁へとぶつかる。
しばらくすると、ぶつかった勢いで生じた砂埃の視界もクリアになり失神しているドミニクが姿を現した。
「勝者拓哉! 賭けの事は、俺が責任を持って対処してやるから安心しろ。 それにしても遊びすぎだ。 開始直後にヤれなかったのか?」
「めんどくさい対応ありがとうございます。 簡単に倒せましたが、一瞬で倒したら後々難癖つけてきそうじゃないですか。 手加減したので、本来ならさっきの1発で終わらすつもりなく、もっとギリギリまで追い込もうとしたんですがあの有様です」
ヴァレリーは思った。 王子は、決して弱くはない。 魔族なら将軍クラスの実力はあっただろう。 しかし、スキルをフルに使った攻撃を全て止めて一発でしとめる拓哉を見て、思っていた以上に強いと感じた。
「難癖をつけてきても大丈夫なように魔道具でしっかりと記録してある。 魔王城での行いや国賓待遇の拓哉に対する態度それに戦い全てだ。 これで本人然り王族然り問題はない。 それと、獣人の国に引き渡しが終わるまで、牢屋にぶち込んでおくから出会うこともないだろう」
ヴァレリーも相当悩みの種だったんだなと思う拓哉。
「会わないのはありがたいですね。 それに用意周到ですね。 いいように利用された感じがしますが、助けてもらったのも事実ですしお互い様ですね」
「それより、あそこで顎をあんぐりさせているゼーランさん大丈夫でしょうか?」
拓哉のあまりの強さに驚いて顎を外してたまま立ち尽くすゼーラン。
「ゼーラン終わったぞ。 いつまで呆けているつもりだ」
無理矢理引っ張って行くヴァレリー。
ゼーランは、我に返り。
「なんですか? あの強さは! あれが人間なのですか?」
慌てた様子で話すゼーラン。
「そんなことはどうでもいいから、ドミニクを担げ。 拓哉戻ったらなんか作ってくれ。 腹が減った」
「人使い荒いですね。 さっきまで戦ってたのに。 仕方ないですね、何が食べたいのですか?」
「あんなやつ拓哉なら余裕だろう? もちろん食べ損なった火竜の焼肉とビールだ」
かなり食べたかった様子のヴァレリー。
ゼーランは、あんな激しい戦いをしたにも関わらず何もなかったかのように話す2人に信じられないという目をする。
「はいはい! なら早く転移お願いします」
戻った後は、王子が負傷したことで大騒ぎになったが、獣人側の護衛とそこに居合わせた魔国側の貴族に映像を見せたところ納得されて何もお咎めがなかった。
その後は、何故か大量の焼肉を焼かされてみんなに振る舞うこととなった。 正直、拓哉は何か解せぬと感じるのであった。
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