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第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ
第75話 王国から追われた男!?
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マルクス王国から数十キロ離れた道
兵士達がある人物を追っている。
「こっちには、いません」
「こっちもだ。 奴は、確実にここら辺に逃げたはずだ。隈無く探せ~公爵様から、絶対に逃すなとの命令だ」
20人あまりの兵士が、ある人物を探し回っている。
魔境の近くということで、辺りには何もない。 あるのは、正面に見える深い森(魔境)だけである。 だが、魔境から魔物が出てこないように高い塀で囲まれている。 侵入するにも管理所があり、そこで身分を証明する物を見せない限り入る事はできないのだ。
それもあり、兵士達は指名手配されている男が魔境には入れないだろうと考えていた。
だが、男は変装の魔道具(1度だけ使用可)と偽の身分証を使い魔境に侵入していたのである。
「なんとか逃げる事はできたが、このままでは...」
それから、2日が経ち体力が続く限りひたすら走る男。食糧もなく水だけで生きながらえる。 体のあらゆる所が、時間が経つに連れて真っ黒くなり体の痛みで走ることも困難になる。 更には、段々と魔物も強くなり対処ができなくなっている。 それから、走り回り体力の限界を迎え魔物からも逃げることが出来ずに等々襲われしまう。 背中を斬られた痛みと血の匂いで意識が朦朧とした時に微かに声が聞こえた。
「小次郎、狼を頼んで良いか?ワシは、こやつの手当てをするでのぅ」
「任せろ」
「お前さん、大丈夫かのぅ? こりゃ、いかんな。 毒と呪いに傷口も酷いわい。 しっかりするんじゃ。すぐ治療できるとこに連れて行ってやるわい」
それを聞いた男は安心したのか意識を失った。
拓哉がのんびり家でくつろいでいると、ドンドンと凄い勢いでドアを叩く音が聞こえた。慌ててドアを開ける。 そこには、小次郎とバルトと血だらけの男がバルトに背負われていた。
「こやつが、襲われておってのぅ。 助けたはいいが、呪いと毒に侵され傷口も酷く死にかけておるんじゃ。 どうにかできんか?」
「すぐ、シャーリーとビーチェを呼んでくるから待っててくれ」
全力疾走で畑に向かう拓哉。 ちょうど畑にシャーリーとビーチェと桜花がいた。
「お~い! 重症者がいるんだけど、助けてくれないか?」
「ごめんなさい。 今ここに、必要な薬草がないのです。 あれば可能なのですが...」
シャーリーが、申し訳なさそうに言う。
どうしようもないのかと思っていると後ろから声がした。
リッチが言う。
「拓哉さん、そんなに慌ててどうしたのですか?」
拓哉の料理が気に入ったリッチの女性は、あれから宿に5日連続で泊まっている。
お互い自己紹介も済ませて、村?の案内もしているくらいの仲になっている。
「マリーさん、重傷者の方をバルトと小次郎が連れてきたのですが、治す手立てがなく困り果てているとこです」
「薬ならありますよ。 何百年もアイテムボックスに眠ったままですが」
その言葉を聞いて拓哉は、お姫様抱っこをして、もうスピードで向かう。
驚くマリー。
「ちょっと、拓哉さ~ん。恥ずかしい~です~」
「拓哉、なんちゅう格好でマリーさんを連れて来とるんじゃ。 まぁええわい。 それで、薬は手に入れたかのぅ」
「あ!マリーさんごめんなさい。 慌てていたもので...お願いできますか?」
マリーは、リッチなので顔は赤くならないが、内心恥ずかしくてアワアワしている。 心臓が、もし動いていたら破裂していたかもしれない。
「は、はい! うっ...これは酷いですね」
マリーが、薬の瓶を2本取り出して1本を傷口に振りかける。
みるみる内に傷は治り少し呼吸も落ち着いたが、毒のせいで顔色が悪い。
「あの~毒消しのポーションは直接飲まさないと効力がないのですが...一応死んでいるとはいえ、私女性ですし、まだしたこともないので...」
それを聞いて、拓哉 バルト 小次郎がお互いを見ながら、お前がやれという視線を送る。
それを見兼ねたバルトが言う。
「もういいわい。 起きんか~お前さんが起きんと飲ませんじゃろうが」
病人に向かってビンタをするバルト!
小次郎と拓哉は、バルトの行動に思わず引いてしまう。
「バルト、そのくらいにしないと、本当に死んじゃうから」
バチバチビンタをするバルトは、手を止めて言う。
「お前らが、やらんからじゃろうが」
いやいや!バルトだって男とのキス嫌がってただろうと思う拓哉。
「うぅ。 ここは!?どこ!? 顔が痛い...」
バルトが、ビンタした顔はパンパンに腫れ上がっている。
マリーから傷薬と毒消しポーションを受け取ると素知らぬ顔をして拓哉が言う。
「かなり傷を負って倒れていたのを、この2人が背負ってきたんです。 とりあえず、ポーションを2つ飲んでください。 傷薬と毒消しです」
本来毒消しだけでよかったが、本人が気づく前に傷薬のポーションも飲ませる算段だ。
拓哉が飲ませると顔の腫れと顔が良くなる。
男がゆっくり起き上がる。
「すいません。 助かりました。 うっ!」
まだ呪いを受けている為、激痛が体を襲う。
「これを飲んでください。 呪いを取り除く霊薬です」
サリアから貰ったハイエルフの霊薬を見ず知らずの人間に惜しげもなく使う拓哉。
苦しんでいる人が目の前にいるのに放っておけるかと思う拓哉だった。
男が霊薬を飲むと体から黒い靄が立ち上り、顔や体から黒い模様が消える。
男が体を確認して泣きながら言う。
「あぁぁぁ!ありがとうございます。ありがとうございます」
拓哉に追い縋るようにずっとお礼を言う男。
「気にしないでください。 それと私だけではなく、ここにいる全員が助けたのですから皆さんにもお礼を言ってください」
男はそれを聞いて、一人一人に頭を下げてお礼を言う。 そうしていると、男の腹がぐぅ~と鳴り響くのだった。
笑いながら拓哉が言う。
「事情を聞く前に、食事にしましょうか」
そう言って店に案内をする拓哉。
兵士達がある人物を追っている。
「こっちには、いません」
「こっちもだ。 奴は、確実にここら辺に逃げたはずだ。隈無く探せ~公爵様から、絶対に逃すなとの命令だ」
20人あまりの兵士が、ある人物を探し回っている。
魔境の近くということで、辺りには何もない。 あるのは、正面に見える深い森(魔境)だけである。 だが、魔境から魔物が出てこないように高い塀で囲まれている。 侵入するにも管理所があり、そこで身分を証明する物を見せない限り入る事はできないのだ。
それもあり、兵士達は指名手配されている男が魔境には入れないだろうと考えていた。
だが、男は変装の魔道具(1度だけ使用可)と偽の身分証を使い魔境に侵入していたのである。
「なんとか逃げる事はできたが、このままでは...」
それから、2日が経ち体力が続く限りひたすら走る男。食糧もなく水だけで生きながらえる。 体のあらゆる所が、時間が経つに連れて真っ黒くなり体の痛みで走ることも困難になる。 更には、段々と魔物も強くなり対処ができなくなっている。 それから、走り回り体力の限界を迎え魔物からも逃げることが出来ずに等々襲われしまう。 背中を斬られた痛みと血の匂いで意識が朦朧とした時に微かに声が聞こえた。
「小次郎、狼を頼んで良いか?ワシは、こやつの手当てをするでのぅ」
「任せろ」
「お前さん、大丈夫かのぅ? こりゃ、いかんな。 毒と呪いに傷口も酷いわい。 しっかりするんじゃ。すぐ治療できるとこに連れて行ってやるわい」
それを聞いた男は安心したのか意識を失った。
拓哉がのんびり家でくつろいでいると、ドンドンと凄い勢いでドアを叩く音が聞こえた。慌ててドアを開ける。 そこには、小次郎とバルトと血だらけの男がバルトに背負われていた。
「こやつが、襲われておってのぅ。 助けたはいいが、呪いと毒に侵され傷口も酷く死にかけておるんじゃ。 どうにかできんか?」
「すぐ、シャーリーとビーチェを呼んでくるから待っててくれ」
全力疾走で畑に向かう拓哉。 ちょうど畑にシャーリーとビーチェと桜花がいた。
「お~い! 重症者がいるんだけど、助けてくれないか?」
「ごめんなさい。 今ここに、必要な薬草がないのです。 あれば可能なのですが...」
シャーリーが、申し訳なさそうに言う。
どうしようもないのかと思っていると後ろから声がした。
リッチが言う。
「拓哉さん、そんなに慌ててどうしたのですか?」
拓哉の料理が気に入ったリッチの女性は、あれから宿に5日連続で泊まっている。
お互い自己紹介も済ませて、村?の案内もしているくらいの仲になっている。
「マリーさん、重傷者の方をバルトと小次郎が連れてきたのですが、治す手立てがなく困り果てているとこです」
「薬ならありますよ。 何百年もアイテムボックスに眠ったままですが」
その言葉を聞いて拓哉は、お姫様抱っこをして、もうスピードで向かう。
驚くマリー。
「ちょっと、拓哉さ~ん。恥ずかしい~です~」
「拓哉、なんちゅう格好でマリーさんを連れて来とるんじゃ。 まぁええわい。 それで、薬は手に入れたかのぅ」
「あ!マリーさんごめんなさい。 慌てていたもので...お願いできますか?」
マリーは、リッチなので顔は赤くならないが、内心恥ずかしくてアワアワしている。 心臓が、もし動いていたら破裂していたかもしれない。
「は、はい! うっ...これは酷いですね」
マリーが、薬の瓶を2本取り出して1本を傷口に振りかける。
みるみる内に傷は治り少し呼吸も落ち着いたが、毒のせいで顔色が悪い。
「あの~毒消しのポーションは直接飲まさないと効力がないのですが...一応死んでいるとはいえ、私女性ですし、まだしたこともないので...」
それを聞いて、拓哉 バルト 小次郎がお互いを見ながら、お前がやれという視線を送る。
それを見兼ねたバルトが言う。
「もういいわい。 起きんか~お前さんが起きんと飲ませんじゃろうが」
病人に向かってビンタをするバルト!
小次郎と拓哉は、バルトの行動に思わず引いてしまう。
「バルト、そのくらいにしないと、本当に死んじゃうから」
バチバチビンタをするバルトは、手を止めて言う。
「お前らが、やらんからじゃろうが」
いやいや!バルトだって男とのキス嫌がってただろうと思う拓哉。
「うぅ。 ここは!?どこ!? 顔が痛い...」
バルトが、ビンタした顔はパンパンに腫れ上がっている。
マリーから傷薬と毒消しポーションを受け取ると素知らぬ顔をして拓哉が言う。
「かなり傷を負って倒れていたのを、この2人が背負ってきたんです。 とりあえず、ポーションを2つ飲んでください。 傷薬と毒消しです」
本来毒消しだけでよかったが、本人が気づく前に傷薬のポーションも飲ませる算段だ。
拓哉が飲ませると顔の腫れと顔が良くなる。
男がゆっくり起き上がる。
「すいません。 助かりました。 うっ!」
まだ呪いを受けている為、激痛が体を襲う。
「これを飲んでください。 呪いを取り除く霊薬です」
サリアから貰ったハイエルフの霊薬を見ず知らずの人間に惜しげもなく使う拓哉。
苦しんでいる人が目の前にいるのに放っておけるかと思う拓哉だった。
男が霊薬を飲むと体から黒い靄が立ち上り、顔や体から黒い模様が消える。
男が体を確認して泣きながら言う。
「あぁぁぁ!ありがとうございます。ありがとうございます」
拓哉に追い縋るようにずっとお礼を言う男。
「気にしないでください。 それと私だけではなく、ここにいる全員が助けたのですから皆さんにもお礼を言ってください」
男はそれを聞いて、一人一人に頭を下げてお礼を言う。 そうしていると、男の腹がぐぅ~と鳴り響くのだった。
笑いながら拓哉が言う。
「事情を聞く前に、食事にしましょうか」
そう言って店に案内をする拓哉。
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