異世界のんびり料理屋経営

芽狐@書籍発売中

文字の大きさ
94 / 203
第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ

第91話 獣人の国の王様の謝罪!?いや!?ただの狸王様!

しおりを挟む
グラデュースはというと、宿に泊まり昼過ぎまで寝て一度溜め込んだお宝とお金を取りに住処に戻っていった。 ちゃっかりバルトに家をお願いし住む気満々のグラデュースであった。

拓哉は、昨日遅くまでグラデュースに付き合っていたので自宅でのんびりしていた。

「ふわぁ~今日は、夕方までのんびりしてやるからな。 ぜ~ったい誰もくるんじゃないぞ」

最近何かと忙しかった拓哉は、大きなあくびと伸びをして独り言を言う。 だが、完全に自らフラグを立てにいっていることに気づかない拓哉。 そのフラグは、目と鼻の先まで訪れていた。

ドンドンドン!!!(ドアを叩く音)

「お~い!拓哉はいるか?? どうしても直接会いたいという人を連れてきたんだが、開けてくれないか?」

ヴァレリーの声が聞こえてため息を吐きながら重い腰を上げる。 はぁ~~せっかくゆっくり出来ると思ったのにと思う拓哉。

「ヴァレリーさんこんにちは。 会いたいとおっしゃった方は、横にいる方ですか?」

ヴァレリーの横にいたのは、筋肉ダルマのような獣人で金属の胸当てを付け、腕と膝下は筋肉を見せつけるかのように露出している。 顔はいかついが初老を迎えているのが伺える。

「おう!こいつは、獣人の国の王のガルードだ。 拓哉と殺り合ったバカ王子が居ただろう? あいつの件で、直接会いたいと言い出してな。 こうやって連れてきたんだ!!」

オイオイオイオイ!なんで、あのバカ息子の親を連れてくるんだよと思う拓哉。
でもどうしようもないので仕方なく、自宅に招き入れる拓哉。

「立ち話もなんですし、中で話をお聞きします。 どうぞ入ってください」

そう言って、ヴァレリーとガルードを居間まで案内する。 拓哉は冷たいお茶を二人に出してから向かい側に座る。ガルードは、いまだ沈黙を貫いており、鋭い眼光で拓哉を見てくる。 拓哉は、難癖をつけられるのではと身構えるが、この後杞憂に終わることを知る。茶を一口飲み話し出すガルード。

「拓哉殿! うちのバカ息子が本当に申し訳ないことをした。 謝って済む話ではないが、どうかこれで許してくれないだろうか?」 

床に頭を擦りつけながら謝るガルード。 そして、出されたのは金の延べ棒5本である。
拓哉は、難癖をつけられると思っていた為、まさかの土下座と金の延べ棒を前にして、呆気に取られる。
呆気に取られていて言葉を返せない拓哉に対してガルードは更には謝りだす。

「申し訳ない! 金で解決しようとしたワシに怒っているのだろう? これは、誠意だと思ってほしい。 それから、ワシの出来ることなら条件は飲むなんでも言ってくれ。 それに、あのバカ息子は奴隷に落として鉱山で働かせている。 ここに、仕返しに来ることはないから安心してほしい。 どうかこの通りだ許してくれ」

もう一度深々と頭を下げるガルード。 拓哉は、我に返っており、『そう言うことじゃな~い。呆気に取られてただけ。 王様頭上げて~ちょっ!この延べ棒どうするの!?それにまだ何か渡そうとしてるのか!?』と考えている。 拓哉が話そうとすると、ヴァレリーが呆気に取られているのを知りながら言う。

「こいつから、搾れるだけ全部奪い取ってやれ!ぐっははははは」

わざとらしく笑いながら言うヴァレリー。

「ちょっ!?ちょっと!ヴァレリーさん、何言ってくれてるんですか? ガルードさん違いますからね。 仕返しにきたと思っていたら謝られ、更には延べ棒まで出てきて呆気に取られていただけですから。 そもそも口頭で謝罪して頂ければ許しますよ」

必死に弁解をして、ヴァレリーをにらみつけてあとで仕返しをしてやると心に誓う拓哉。
そう思っていると、ガルードが拓哉の手を取り話し出す。

「あぁぁぁなんて心の広い人間なのだ。 ヴァレリーから聞いた時は、にわかに信じられなかったが本当のようだな。 こんな欲のない人間は初めてだ」

獣人を奴隷に拐う人間を信用出来ずにいたガルードだが、拓哉の言葉でいい人間だと気づく。

「だから言っただろ? 試す必要はないと。 拓哉は、そこら辺にいる有象無象とは違うのだからな。 わかったなら、改めてちゃんと謝罪をしろ」

謝罪は本当だが、金の延べ棒や出来ることならすると言うのは、すべて拓哉を試すためであった。 欲深い人間なのかどうかを。

改めて拓哉を見るガルード。

「試すような真似をしてすまなかった。 ワシは、身勝手な人間が信じられんのだよ。 それから、改めてバカ息子の件、申し訳ない!!」

クソッ!なんだこの狸じじぃは。 奴隷にされている件を知っているので、人間を信じられんのだよと言われてしまえば怒るに怒れなくなる拓哉。
ヴァレリーと一緒に、この狸にもいつか仕返ししてやろうと企む拓哉。

「はぁぁぁあ!もう良いですよ。 すっかり騙されてバカみたいですよ。 俺は夕方までゆっくりしたいので、仲良しコンビはお帰りください。 ほら立った立った!!」

コンビとはなんだ?とか試してすまなかったとか言っているが、疲れた拓哉は無理矢理二人を追い出して、居間で横になる。 冷静沈着のお陰でイライラもすぐ治まりグッスリ夕方まで寝るのであった。

その頃、追い出された二人は。

「お前のせいで追い出されたではないか!」

「お主も、あの場では面白そうだとか言ってたではないか!そもそもお主が話したせいでバレたんだぞ!」

あーだこーだと、罪を擦り付け合いながら罵る二人。 仲がいいのか悪いのやら!?  
しおりを挟む
感想 1,411

あなたにおすすめの小説

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/466596284/episode/5320962 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/387029553/episode/10775138 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/84576624/episode/5093144 https://www.alphapolis.co.jp/novel/793391534/786307039/episode/2285646

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

処理中です...