異世界のんびり料理屋経営

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第4章 新たな出会いと充実していくスローライフ

第109話 (後編) うなぎと拓哉の成長と夜は終わらない!

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炭をおこして、いい感じにじんわり赤くなりパチパチと音が鳴る。
ネットショッピングを開くと、昨日確認した時と同じで、天然うなぎが大特価で販売されている。 金はあるの精神で、50匹くらい購入する拓哉。 

捌き始めようと、頭に目打ちをする。 拓哉は、関西で修行したので関西風でしか捌けない。

「うなぎを捌くなんて数年振りだし、こんなイイ天然物で失敗するわけにはいかないな! よし!気合い入れるぞぉぉ!!」

関西は、商人の町ということで、腹を割って話をしようということで、腹から捌いていく。 関東は、武士の歴史から切腹を連想させるので、背から捌いていく。 
解説をしているうちに、綺麗に捌けたうなぎへ、串打ちをしていく拓哉。 串打ちの串も長時間焼く関西は金串! 蒸す工程が入る関東は竹串である。  串打ちが終わり、焼き始める。

「凄い綺麗な身で分厚いな。 脂も乗ってそうだし、パリフワに仕上りそうだぞぉぉ」

日本にいた頃は、養殖ばかり食べていたので、凄い楽しみになる拓哉。
パチパチと音がして、タレにつけてまた焼いていく。 その繰り返しだ。 知らず識らずのうちに、店内にも外にも香ばしい香りが漂う。

「こりゃ食欲をそそる匂いじゃ。 匂いだけで、酒が進むとは拓哉は末恐ろしい力量じゃな」

ルカは、うなぎの匂いがする前から酒をこれでもかと呑んでいただろうと思うのだった。

「妾の国の料理の匂いじゃなぁぁ。 そなたらは、妾に感謝するがよいぞ。 この料理が生まれたのは妾達、日本の神が創造し導いた結果じゃからなぁぁ」

ルカは、このクズ神共、お前達が根源でもこの料理は人々の努力の結晶だろうがと思うのだった。 思念遮断を使い心を読まれないようにするルカ。

「八十天安様、神々の創造も凄いですが、発展させていく人間達も期待に答えるように、進歩していき凄いですよね?」

自慢ばかりする八十天安の話を逸らす作戦に出るルカ。 だが、急に暗い顔になる八十天安。

「確かに、発展させ進歩する素晴らしいことじゃ....じゃがな、進歩の犠牲を星が受けておるのは許せんことじゃ。 1度地球を1から再生する計画がなされたことがあったんじゃよ。 まぁ、人間と同じで身勝手な行いになるということでなくなったのじゃがな。 進歩することが、果たして正解なのか...神の妾でさえ未だにわからんのじゃ」

地球温暖化や核戦争などあらゆることを考えながら話す八十天安。 凄く寂しそうな顔をしている。

「ワシも、昔は同じことで悩んだのぅ。 今となっては、創造してしまった神にも、創造された者にも、罪と責任があると考えとる。 人が、罪を償うように、ワシら神もいつか罪を償う日が来るとな。 じゃが、今はそんな暗い話より飯じゃ! そろそろ来たようじゃぞ」

創造神の言葉で二人が厨房のを見ると、香ばしい香りと甘いタレの香りがする料理を運んでくる拓哉の姿が見えた。

「お待たせ致しました。 うな丼です」

綺麗な照りに、分厚い白い身と香ばしい香りが、早く食べろ早く食べろと訴えかけてくる。 腹の減らした神達は、箸を手に取り、うなぎと米を食べ始める。

「アツッ....ハフハフ!ん~~!!柔らかくてタレの味と脂の乗った身がなんとも言えない美味しさじゃ。 神界で食べる精進料理とは違ってええなぁ。 甘濃い味が堪らんのじゃ」

普段味の薄い料理や魚も川魚しか出してこない料理人に見習わせたいと思う八十天安。
丼ぶりを手に持って掻き込んで食べている。

「ふわぁぁぁぁ本当に、表面はパリっと香ばしくて中はフワフワで、甘いタレがライスに合いますねぇえ。 毎日こんな美味しいものが食べられたら仕事も頑張れるのに....夜中に食べる濃い味付けの料理って悪いことしてるみたいになりますね。 太っちゃいそうで...」

恍惚な表情を浮かべながら言うルカ。 美人が顔を赤くしている姿はエロさも伺える。

「ほほぅぅ! また腕をあげよったのぅ。 拓哉よ!質のいい食材にしっかりした調理法で、以前と同じで最高の料理に仕上げでおるが、前にはなかった愛情というのかのぅ??目に見えない物が料理に上乗せされとるんじゃ。 村の住人と娘たちの影響か...はたまた異世界の環境なのかはわからんが、成長したのぅ。 まぁ...無自覚のようじゃがなぁ。 毎日楽しいかのぅ?」

思いがけない言葉に戸惑う拓哉。 自分でも気づいていない何かを創造神は感じ取って伝えてくる。 何故かわからないが、よく分からない感情が込み上げてきて目頭が熱くなる拓哉。 それを、笑顔で見つめる創造神。

「創造神様、ありがとうございます! まだ自分自身何が成長したかわかっていませんが、楽しい日々を送っています。 前世のように義務付けられた日々ではありません」

創造神は、それを聞いて「こちらに送った甲斐があったのぅ」と言ってくれていた。

カランカラン

「急にあるじの気配がなくなったから来てみたら、おいしそうな物食べててズルいんだよ~~....って八十天安様ぁぁぁぁ!!」

心配してやってきた桜花と八十天安が対面する。

「ホッホッホッ久しいのぅ。 元気そうで何よりじゃなぁぁ。 妾の横に来なさい。 拓哉、妾達のおかわりと桜花にも、うな丼をお願いするんじゃ」

笑顔で桜花を手招きする八十天安。
横に座らせて頭を撫でたりしている。

「八十天安様、お久しぶりです! 凄く驚きましたよぉ」

桜花と八十天安が会話をしようとしていると、カランカランとドアが開いて大勢くる。

「こんな夜中にこんなおいしそうな匂い迷惑よ! 拓哉さ~ん食べさせてくださいぃぃ」

お腹を押さえながら文句を言って入ってくるマリー!

「なんちゅう匂いを漂わせるんじゃ!おちおち寝てられんぞい...って創造神様にルカ様ぁぁぁぁ」

それを聞いたあとから来た。 シャーリーとビーチェは「えぇぇぇぇ!!」と大声をだす! グラデュースは小次郎に本物なのかと尋ねている!! 

まだまだ長い夜は終わりそうにない。
厨房の拓哉は、いつになったら寝れるんだぁぁぁと一人叫ぶのであった。

「ホッホッホッ賑やかでええのぅ」
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