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第7章 魔境村の日常生活
第170話 バクールじいじは、孫にメロメロ!
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バクールは、月一の憩い亭に向かう為、服を着替えて転移する。
着いた先は、確かに憩い亭のある村なのだが、エルフの国のような灯りを灯す柱(街灯)がいくつも建てられており、非常に明るい。
見渡すと立派な家に頑丈そうな壁や見たこともない曲がった建造物まである。
「なんじゃ?ちょいとこない間に、えらい変わり様じゃのぅ。確か、伝説のドワーフがいると言っておったが、ドワーフの国ですら見たこともない物ばかりじゃわい。まぁでも、そんなことより、店に向かわんとのぅ」
店のドアを開けると、全員勢揃いしており、「バクールおじいちゃんいらっしゃいませ」と3人娘が出迎える。それを聞いたバクールは、いつものように破顔して好々爺へと変貌するのであった。
「アニカ、ラリサ、桜花、久しぶりじゃな。元気にしておったかのぅ」
「元気だったの。じいじ抱っこなの」
すぐさまアニカを抱き上げるバクール。しまいには、頬ずりをする始末だ。
「じいじおヒゲが痛いの」
「こりゃすまんかったわい」
頬ずりをすぐやめて笑顔で謝るバクール。
「私も元気ですよ」
「僕も元気だよ」
「そかそか、皆元気そうでよかったわい。そうじゃ、みんなにお土産じゃ。このブレスレットはのぅ。どんな攻撃からも一度だけ身を守ってくれる魔道具なんじゃ」
孫のような3人を心配するあまりに、大金を注ぎ込んで集めさせた魔道具である。
「じいじありがとうなの」
「バクールおじいちゃんありがとうございます」
「おじいちゃんありがとうだよ」
その「ありがとう」を聞いただけで、大金を出した価値があると思ってしまうバクール。ちなみに、拓哉に対するお土産はない。
「バクールさん、わざわざすいません。
お礼に料理を無償で提供しますので、好きな物を頼んでください」
「そりゃ逆に気を遣わせたみたいですまんのぅ。まずは、ウイスキーとチーズを頼むわい」
すぐに用意して、ウイスキーとチーズをもってくる。
「やはり香りがええのぅ。ほほぅ、以前のより香りも強く味も濃厚じゃのぅ。微かな甘みもあってこれもうまい酒じゃわい。チーズも、癖がなく食べやすいわい。酒とも合うんじゃ」
気に入ってくれたみたいで、ボトルでほしいと言われる程だ。人間だと無理なペースで飲み進めていくバクール。
「のぅ拓哉よ、あの壁と曲がった建物はなんなんじゃ?」
「あ...れですか...ハハハ!うちにいるドワーフと錬金術師が作った壁なんですが、結界の魔道具を埋め込んでるみたいで、竜のブレスすら弾くらしいです。あと、建物は芸術作品と言いますか...ドワーフのバルトとお弟子さんの創作意欲の賜物です」
「凄いもんを造りおるのぅ...ブレスを弾くとは要塞かのぅ。ぶっははは。毎回来る事に話題が尽きんから酒の肴には困らんわい」
大笑いしながらウイスキーとチーズを食べている。
「何かチーズの使った料理はないかのぅ?あとワインを貰おうかのぅ」
「リゾットというライスを使った料理をお持ちします。少々お待ち下さい」
待ってる間は、3人娘達と話すバクール。
「3人は最近何をしとるんじゃ?」
孫と話すことも、ここに来る生き甲斐の1つとしているバクール。
「アニカは、魔物を狩ったり、お勉強してるの」
「アニカと一緒で、ノーライフキングのボーンさんに、色々教わっています」
「僕は、畑と料理だよ」
ノーライフキングが、先生として教えていることに驚くバクール。ノーライフキングは、昼間は引き籠もっていて、夜はフラフラ散歩をしてるイメージしかないからだ。
「ほほぅ、勉強とは偉いのぅ。将来が楽しみじゃわい。桜花は、畑と料理とな!?いつかその畑で取れた野菜で料理を作ってもらいたいわい」
「今から準備すると簡単な物になるから、次来た時に、バクールおじいちゃんに振る舞うんだよ」
「そうかそうか、そりゃ楽しみじゃわい」
バクールは、本当に簡単な物しか作れないと思っているが、アニカとラリサは、めちゃくちゃ手の込んだ料理作りますよこの子と思っているのだ。
「お!盛り上がってますね。ワインとキノコのチーズリゾットお待たせしました」
チーズのいい香りが漂うリゾットを持ってやってくる拓哉。
「とろ~りとしたチーズの濃厚な味に出汁も効いていて、しっかりしたライスの歯応えに食べたことのない色々なキノコの味がうまいんじゃ。それに、ワインもいい香りがして雑味がなくスッと入っていく感じが飲みやすいわい。リゾットにもよく合うのぅ」
ウイスキーとは違いゆっくり味わいながら一口一口を楽しむように呑むバクール。濃厚なチーズリゾットがより、ワインを美味な物へ昇華しているのだろう。
「やはり、ここ以上の料理屋はないわい。これからも、毎月楽しみにしとるから、ワシが死ぬまで続けてほしいんじゃ」
またここにも、憩い亭を生き甲斐にする人物が現れた。人々にとって自然と生き甲斐になっているのだろう。拓哉は、気付かぬうちに色々な人の思いを背負っている。改めて、ずっと料理屋を続けて行かないといけないなと、再度決心をするのであった。
着いた先は、確かに憩い亭のある村なのだが、エルフの国のような灯りを灯す柱(街灯)がいくつも建てられており、非常に明るい。
見渡すと立派な家に頑丈そうな壁や見たこともない曲がった建造物まである。
「なんじゃ?ちょいとこない間に、えらい変わり様じゃのぅ。確か、伝説のドワーフがいると言っておったが、ドワーフの国ですら見たこともない物ばかりじゃわい。まぁでも、そんなことより、店に向かわんとのぅ」
店のドアを開けると、全員勢揃いしており、「バクールおじいちゃんいらっしゃいませ」と3人娘が出迎える。それを聞いたバクールは、いつものように破顔して好々爺へと変貌するのであった。
「アニカ、ラリサ、桜花、久しぶりじゃな。元気にしておったかのぅ」
「元気だったの。じいじ抱っこなの」
すぐさまアニカを抱き上げるバクール。しまいには、頬ずりをする始末だ。
「じいじおヒゲが痛いの」
「こりゃすまんかったわい」
頬ずりをすぐやめて笑顔で謝るバクール。
「私も元気ですよ」
「僕も元気だよ」
「そかそか、皆元気そうでよかったわい。そうじゃ、みんなにお土産じゃ。このブレスレットはのぅ。どんな攻撃からも一度だけ身を守ってくれる魔道具なんじゃ」
孫のような3人を心配するあまりに、大金を注ぎ込んで集めさせた魔道具である。
「じいじありがとうなの」
「バクールおじいちゃんありがとうございます」
「おじいちゃんありがとうだよ」
その「ありがとう」を聞いただけで、大金を出した価値があると思ってしまうバクール。ちなみに、拓哉に対するお土産はない。
「バクールさん、わざわざすいません。
お礼に料理を無償で提供しますので、好きな物を頼んでください」
「そりゃ逆に気を遣わせたみたいですまんのぅ。まずは、ウイスキーとチーズを頼むわい」
すぐに用意して、ウイスキーとチーズをもってくる。
「やはり香りがええのぅ。ほほぅ、以前のより香りも強く味も濃厚じゃのぅ。微かな甘みもあってこれもうまい酒じゃわい。チーズも、癖がなく食べやすいわい。酒とも合うんじゃ」
気に入ってくれたみたいで、ボトルでほしいと言われる程だ。人間だと無理なペースで飲み進めていくバクール。
「のぅ拓哉よ、あの壁と曲がった建物はなんなんじゃ?」
「あ...れですか...ハハハ!うちにいるドワーフと錬金術師が作った壁なんですが、結界の魔道具を埋め込んでるみたいで、竜のブレスすら弾くらしいです。あと、建物は芸術作品と言いますか...ドワーフのバルトとお弟子さんの創作意欲の賜物です」
「凄いもんを造りおるのぅ...ブレスを弾くとは要塞かのぅ。ぶっははは。毎回来る事に話題が尽きんから酒の肴には困らんわい」
大笑いしながらウイスキーとチーズを食べている。
「何かチーズの使った料理はないかのぅ?あとワインを貰おうかのぅ」
「リゾットというライスを使った料理をお持ちします。少々お待ち下さい」
待ってる間は、3人娘達と話すバクール。
「3人は最近何をしとるんじゃ?」
孫と話すことも、ここに来る生き甲斐の1つとしているバクール。
「アニカは、魔物を狩ったり、お勉強してるの」
「アニカと一緒で、ノーライフキングのボーンさんに、色々教わっています」
「僕は、畑と料理だよ」
ノーライフキングが、先生として教えていることに驚くバクール。ノーライフキングは、昼間は引き籠もっていて、夜はフラフラ散歩をしてるイメージしかないからだ。
「ほほぅ、勉強とは偉いのぅ。将来が楽しみじゃわい。桜花は、畑と料理とな!?いつかその畑で取れた野菜で料理を作ってもらいたいわい」
「今から準備すると簡単な物になるから、次来た時に、バクールおじいちゃんに振る舞うんだよ」
「そうかそうか、そりゃ楽しみじゃわい」
バクールは、本当に簡単な物しか作れないと思っているが、アニカとラリサは、めちゃくちゃ手の込んだ料理作りますよこの子と思っているのだ。
「お!盛り上がってますね。ワインとキノコのチーズリゾットお待たせしました」
チーズのいい香りが漂うリゾットを持ってやってくる拓哉。
「とろ~りとしたチーズの濃厚な味に出汁も効いていて、しっかりしたライスの歯応えに食べたことのない色々なキノコの味がうまいんじゃ。それに、ワインもいい香りがして雑味がなくスッと入っていく感じが飲みやすいわい。リゾットにもよく合うのぅ」
ウイスキーとは違いゆっくり味わいながら一口一口を楽しむように呑むバクール。濃厚なチーズリゾットがより、ワインを美味な物へ昇華しているのだろう。
「やはり、ここ以上の料理屋はないわい。これからも、毎月楽しみにしとるから、ワシが死ぬまで続けてほしいんじゃ」
またここにも、憩い亭を生き甲斐にする人物が現れた。人々にとって自然と生き甲斐になっているのだろう。拓哉は、気付かぬうちに色々な人の思いを背負っている。改めて、ずっと料理屋を続けて行かないといけないなと、再度決心をするのであった。
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