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第7章 魔境村の日常生活
第179話 威風龍は和菓子が大好き!
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威風龍のハオは、いつもと同じように宮殿で妻のシャオリンとミンユーとのんびり過ごしていた。
「みたらし団子が懐かしい...あれはうまかった...」
あれ以降、古龍は遊びにもこない。一回くらいみたらし団子を持参して来てくれてもと思うハオ。
「アナタ、毎日口に出ていますわよ。確かに美味しかったから気持ちはわからなくないけれど」
「ミンユーもみたらし食べたいアル。ハオくん、あの時食べに行く言ったネ。いつ行くアルか?」
妻達も食べたいらしく、ハオに寄り添いながら食べに行きたいと要求する。
「そうかそうか、シャオもミンユーも食べたいのだな。では、みたらし団子を食しに参ろうぞ」
踏ん切りが付かなかったが、二人に言われたら仕方がないなと立ち上がり、位は宰相にあたる長官に数日出掛ける旨を伝えて飛び立つ。どこに行くかもいつ帰ってくるかも伝えていないので国はパニックになっていた。
「アナタ、ちゃんと伝えなくてよかったの?今頃みんな慌てているわよ」
「いつも余に頼っておるのだ。偶には、自分達で解決すればよかろう。これも試練ぞ」
「ハオくんも人が悪いアルヨ。みんなそれなりに頑張ってるネ。でも訓練だと思えば後々活かされるしいい考えヨ。特に子供達にとっては」
ハオには、5人の子供がおりそれぞれ責任ある職に就いている。それに、ミンユーが言う通り、ハオが離れたことで長官達が子供達のところに行き子供達も慌てふためいているところであった。
「ほほう...余の子供達にもいい勉強になっておるであろうな。定期的に、このような試練を与えるのもよかろう」
もし、この話を子供達が聞いていたら、ストレスで全員が禿げるか精神的苦痛に苛まれていただろう。
それから、4日程飛び続けてやっと魔境にたどり着いたハオ達。道中、久々の生肉や生魚を食べてきたのだが、そろそろまともな食事に有り付きたいと考えるようになってきた。
「まだかしらね?どこら辺にあるか聞いているの?」
「魔境の中心とは聞いておるが詳しくは知らんぞ。ただ、あの辺りに複数の巨大な反応がある故あそこであろうと推測しておる」
「どれアルか?ってあの巨大な密度はなんでアルか?世界を滅ぼしかけない力アルヨ」
身震いする程の力を感じて恐怖するミンユー。シャオリンは、戦闘には不向きな竜なので反応すら感じていない。
「あそこが怪しいのは間違いない。さぁ、行こうではないか」
威風龍は流石というか、気にせず巨大な反応がした方に飛んでいく。シャオリンもミンユーも、ハオが行くならばと後をついて行く。
暫くすると、向こうからデカい龍がやってくる。
「ハオではないか?何をしに来たんだ?」
警戒中のグラデュースが、強い力を感じてやってきたのだ。
「みたらし団子を食べに参った。余と妻を案内してくれまいか?」
「営業時間前だから無いかもしれないぞ。それと、みたらし団子を作った拓哉と娘達の前で偉そうな素振りをしたら俺が潰すから肝に銘じておけ」
「至高なるみたらし団子を作った者に、無礼を働くわけにはいくまいな。それにしても、古龍にここまで言わせるとは、相当な御仁であるな」
「それなら構わない。行くぞ」
開拓地にある竜達専用の離着陸場に降り立つ。前までは土しかなかった場所もちゃんとオリハルコンが敷き詰められて竜が離着陸しても壊れない仕様になっている。
そのまま、憩い亭に案内をされるハオ達。
カランカラン
「拓哉はいるか?」
奥で仕込みの準備をしていた拓哉は「は~い」と返事をしてホールに姿を現す。
「え?グラさん!こんな早い時間に珍しいですね。で、そちらの方々は誰ですか?」
いつも来ない時間に尋ねてきたグラデュースに、どうしたのだろうと思う拓哉。
「みたらし団子を渡した威風龍を覚えているか。その威風龍だ。なんでも、みたらし団子を食べたいらしいんだ」
拓哉は思わず「え?」と声が出てしまう。不老不死になる為に血を分けてくれた張本人が来たからだ。
「あの節は血を分けて頂きありがとうございました。みたらし団子と大福もご用意しますのでお座り頂いてお待ち下さい」
それを聞いたハオは、わざわざ古龍自ら血を集めるほどに大事にしている人なんだと再確認する。
「畏まった」と言って席に座って待つハオ達。暫くして、拓哉がみたらし団子と大福を持ってやってくる。
「お待たせ致しました。まだまだありますので、おかわりが欲しければ言ってください」
みたらし団子といろんな色の大福が置かれたが、まずは本命のみたらし団子から食べるハオ達。
「うま~い!これぞ余が求めておったみたらし団子!この甘いタレに香ばしい団子。それにもちもちの食感が堪らないではないか。いくつ食べても飽きぬこの味が余を堕落させていきよる」
「アナタ、みたらし団子もおいしいけど、この大福も食べてみてほしいわ。噛んだら甘酸っぱい果肉がじゅわ~っと中から出てくるのよ。いろんな味があって楽しいわ」
フルーツ大福を食べたシャオリンは、満面の笑みになり次から次へといろんな味の大福を食べる。
「おぉ!凄いではないか。黒いのも甘くてしっかりした食感ともちもちの生地とよく合っておるな。何度余を虜にすれば気が済むのだ」
普通の豆大福を食べたハオは大福にもハマってしまう。
「みたらし団子も大福もおいしいアル。まだまだ食べたいネ。追加をお願いするヨ」
ミンユーは、意外にも食いしん坊でパンパンになるまで口に入れる。負けじとシャオリンもハオも食べる手を止めない。
どんどん食べるので営業時間までおかわりラッシュが続くのであった。
「みたらし団子が懐かしい...あれはうまかった...」
あれ以降、古龍は遊びにもこない。一回くらいみたらし団子を持参して来てくれてもと思うハオ。
「アナタ、毎日口に出ていますわよ。確かに美味しかったから気持ちはわからなくないけれど」
「ミンユーもみたらし食べたいアル。ハオくん、あの時食べに行く言ったネ。いつ行くアルか?」
妻達も食べたいらしく、ハオに寄り添いながら食べに行きたいと要求する。
「そうかそうか、シャオもミンユーも食べたいのだな。では、みたらし団子を食しに参ろうぞ」
踏ん切りが付かなかったが、二人に言われたら仕方がないなと立ち上がり、位は宰相にあたる長官に数日出掛ける旨を伝えて飛び立つ。どこに行くかもいつ帰ってくるかも伝えていないので国はパニックになっていた。
「アナタ、ちゃんと伝えなくてよかったの?今頃みんな慌てているわよ」
「いつも余に頼っておるのだ。偶には、自分達で解決すればよかろう。これも試練ぞ」
「ハオくんも人が悪いアルヨ。みんなそれなりに頑張ってるネ。でも訓練だと思えば後々活かされるしいい考えヨ。特に子供達にとっては」
ハオには、5人の子供がおりそれぞれ責任ある職に就いている。それに、ミンユーが言う通り、ハオが離れたことで長官達が子供達のところに行き子供達も慌てふためいているところであった。
「ほほう...余の子供達にもいい勉強になっておるであろうな。定期的に、このような試練を与えるのもよかろう」
もし、この話を子供達が聞いていたら、ストレスで全員が禿げるか精神的苦痛に苛まれていただろう。
それから、4日程飛び続けてやっと魔境にたどり着いたハオ達。道中、久々の生肉や生魚を食べてきたのだが、そろそろまともな食事に有り付きたいと考えるようになってきた。
「まだかしらね?どこら辺にあるか聞いているの?」
「魔境の中心とは聞いておるが詳しくは知らんぞ。ただ、あの辺りに複数の巨大な反応がある故あそこであろうと推測しておる」
「どれアルか?ってあの巨大な密度はなんでアルか?世界を滅ぼしかけない力アルヨ」
身震いする程の力を感じて恐怖するミンユー。シャオリンは、戦闘には不向きな竜なので反応すら感じていない。
「あそこが怪しいのは間違いない。さぁ、行こうではないか」
威風龍は流石というか、気にせず巨大な反応がした方に飛んでいく。シャオリンもミンユーも、ハオが行くならばと後をついて行く。
暫くすると、向こうからデカい龍がやってくる。
「ハオではないか?何をしに来たんだ?」
警戒中のグラデュースが、強い力を感じてやってきたのだ。
「みたらし団子を食べに参った。余と妻を案内してくれまいか?」
「営業時間前だから無いかもしれないぞ。それと、みたらし団子を作った拓哉と娘達の前で偉そうな素振りをしたら俺が潰すから肝に銘じておけ」
「至高なるみたらし団子を作った者に、無礼を働くわけにはいくまいな。それにしても、古龍にここまで言わせるとは、相当な御仁であるな」
「それなら構わない。行くぞ」
開拓地にある竜達専用の離着陸場に降り立つ。前までは土しかなかった場所もちゃんとオリハルコンが敷き詰められて竜が離着陸しても壊れない仕様になっている。
そのまま、憩い亭に案内をされるハオ達。
カランカラン
「拓哉はいるか?」
奥で仕込みの準備をしていた拓哉は「は~い」と返事をしてホールに姿を現す。
「え?グラさん!こんな早い時間に珍しいですね。で、そちらの方々は誰ですか?」
いつも来ない時間に尋ねてきたグラデュースに、どうしたのだろうと思う拓哉。
「みたらし団子を渡した威風龍を覚えているか。その威風龍だ。なんでも、みたらし団子を食べたいらしいんだ」
拓哉は思わず「え?」と声が出てしまう。不老不死になる為に血を分けてくれた張本人が来たからだ。
「あの節は血を分けて頂きありがとうございました。みたらし団子と大福もご用意しますのでお座り頂いてお待ち下さい」
それを聞いたハオは、わざわざ古龍自ら血を集めるほどに大事にしている人なんだと再確認する。
「畏まった」と言って席に座って待つハオ達。暫くして、拓哉がみたらし団子と大福を持ってやってくる。
「お待たせ致しました。まだまだありますので、おかわりが欲しければ言ってください」
みたらし団子といろんな色の大福が置かれたが、まずは本命のみたらし団子から食べるハオ達。
「うま~い!これぞ余が求めておったみたらし団子!この甘いタレに香ばしい団子。それにもちもちの食感が堪らないではないか。いくつ食べても飽きぬこの味が余を堕落させていきよる」
「アナタ、みたらし団子もおいしいけど、この大福も食べてみてほしいわ。噛んだら甘酸っぱい果肉がじゅわ~っと中から出てくるのよ。いろんな味があって楽しいわ」
フルーツ大福を食べたシャオリンは、満面の笑みになり次から次へといろんな味の大福を食べる。
「おぉ!凄いではないか。黒いのも甘くてしっかりした食感ともちもちの生地とよく合っておるな。何度余を虜にすれば気が済むのだ」
普通の豆大福を食べたハオは大福にもハマってしまう。
「みたらし団子も大福もおいしいアル。まだまだ食べたいネ。追加をお願いするヨ」
ミンユーは、意外にも食いしん坊でパンパンになるまで口に入れる。負けじとシャオリンもハオも食べる手を止めない。
どんどん食べるので営業時間までおかわりラッシュが続くのであった。
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