上 下
487 / 586
第3章 アレクを狙って

第561話 長老との別れと最後までスケベな長老!

しおりを挟む
「スベアさん、これを共有できると以前言っていましたが、できるようになったのですか?」

スキルの確認を終えて島に降り立った三人は、歩きながら長老の家に向かう。

「まだ長老にしか試したことがなく、何人まで共有できるかはわかりませんが、かなり精神力を使うので、なんとも言えないのが現状です」

オレールが、この未来予知のスキルに希望を見出したのは、スベアだけではなく、仲間に共有できることを知ったからだ。

「そうですか......これは、魔物の街に戻り次第、試す必要がありますね。あと、使用できる時間はどれくらいですか?」

「私だけなら、先程の攻撃を躱し続けると考えたら5分が限界です。更に、共有するとなると、共有した人の精神的ダメージが加算されるので、戦闘で使えるか......わかりません」

未来予知という規格外のスキルには、制限時間とダメージを肩代わりするという代償があるようで、無限に使えることはないらしい。

「代償が大きいですね!アレクくんの薬があれば、どうにかできそうですが、アレクくんが戻らないことにはわかりませんね」

オレールは、顎に手を置いて思案する。
そして、出た答えはやはりアレクありきに行き着く。
オレールは、「やはり、アレクくんの存在は大きいですね」と二人に聞こえるか、聞こえないかくらいの声で呟くのだった。

「やっと、戻ってきおったわい!ワシを放ったらかして行くとはのぅ!で、スベアちゃんはどうじゃった?」

家に着くと、長老は入口で立って待っていた。
口では怒っているような風に見せているが、内心は自分が育てたスベアの成長を自慢したい様子なのだ。

「あのような馬鹿なことをしなければ、放っておきませんよ!見事でした!長老のお陰で、十二分に成長していましたよ。やはり同じスキルを使える貴方にお願いをしてよかったです」

長老は、スベアと同じ未来予知のスキルを使える人物なのだ。
だからこそ、オレールは長老にスベアを預けたのである。

「そうじゃろ!そうじゃろ!ワシも、教えた甲斐があったわい!スベアちゃんの成長速度は、目を見張るものがあるからのぅ」

長老は、満足そうな笑みを浮かべて、スベアの成長を喜ぶ。

「長老、せっかくここまでしてもらって、申し訳ないのですが、私達はそろそろ領地に戻ろうと思うのですが、長老も来られますか?」

オレールは、ストレンの街に行って説明をしないといけないのと、領地に戻ってゼロとの戦いに備える必要があるので、いち早く帰ろうとする。

「なんじゃ?もう帰るのかのぅ。忙しないやつじゃわい!ワシは、ここで余生を過ごすと決めたからのぅ!いかんわい!じゃが、たまにはスベアちゃんに会いに行くがのぅ」

長老は、スベアの方を向いてニンマリとした表情を浮かべる。
スベアは、笑っているもののスケベなオーラを感じて後退りしてしまう。

「長老、そのスケベもほどほどにしておかないといつか刺されます」

オレールは、「フフッ」と笑みを浮かべながら長老に言う。

「ホッホッホッホ、ワシには、未来予知があるからのぅ。刺される前に走って逃げるわい!オレール、元気でのぅ!何やら色々巻き込まれておるようじゃが、死を予感したらすぐに逃げるんじゃぞ」

長老は、話しながら腕を突き出してくる。
オレールも、腕を突き出して軽く当てて、わかったといった表情を浮かべる。

「スベアちゃん、未来予知は強力なスキルじゃが、過信し過ぎてはいかん!そのことを肝に銘じて使うんじゃぞ」

長老は、最後の最後に真面目なことを言う。スベアは、長老との修行の日々を思い出して、涙を浮かべながら長老に抱き着くのだ。

「ホッホッホッホ、よう頑張ったのぅ。これからも、努力を惜しまんようにのぅ!あ痛ぁぁぁぁ」

「長老、最後くらい真面目にしてください」

言葉ではいいことを言っていたが、密かに手をワキワキさせて、スベアのお尻を触ろうとしていた。
そこを、見逃すはずもないオレールに、杖で手を叩かれたのだ。

「年寄りを労らんかい!ワシは、もう寝るわい!早くいかんかい」

長老は、ズカズカと家に入っていく。
そして、「ワシも、もう少し若ければのぅ」と呟く。長老は、なんだかんだオレール達のことが心配であり、本当ならば力になりたいと思っていたのだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

気弱令息が婚約破棄されていたから結婚してみた。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:189

夢見の館

ホラー / 完結 24h.ポイント:681pt お気に入り:1

孤独なまま異世界転生したら過保護な兄ができた話

BL / 連載中 24h.ポイント:61,663pt お気に入り:3,762

進芸の巨人は逆境に勝ちます!

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:1

9歳の彼を9年後に私の夫にするために私がするべきこと

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,485pt お気に入り:103

【本編完結】捨てられ聖女は契約結婚を満喫中。後悔してる?だから何?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,412pt お気に入り:8,000

必要ないものは「いりません」と言うことにしました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:695pt お気に入り:2,873

親友彼氏―親友と付き合う俺らの話。

BL / 完結 24h.ポイント:610pt お気に入り:20

お妃候補を辞退したら、初恋の相手に溺愛されました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:355pt お気に入り:5,442

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。