718 / 811
第3章 アレクを狙って
第868話 身近なものほど中々気付かない!?
しおりを挟む
ヘルミーナとマンテ爺に一時店を任せて、アレクは魔物の国に帰還した。
「自分で好きな時に転移できないのは不便だよ。まぁ、こんなことを他人の前で言ったら、こっぴどく怒られそうだけどね」
アレクは、城に戻ると、独り言を話しながら着替えを済ませて、汚れた仕事着をメイドの下に持って行く。
「おはよう。追加して申し訳ないんだけど、これも洗ってもらってもいいかな?」
「は~い。今洗濯を始めたばかり......って......陛下!?申し訳ございません。気付かなかったとはいえ、挨拶が遅れてしまい、大変失礼致しました」
メイドは、まさか追加の洗濯物をアレク直々に持ってくるとは思っておらず、振り向いた瞬間、一瞬言葉を失い驚いてしまう。
「あ!ごめん。俺が不用意に声をかけたらダメだったよね。俺が、悪いんだから膝を突かないでいいし、ほら立ち上がってよ」
アレクは、ここ最近平等に接してくれる人と長くいたせいもあり、王様とは本来、このように扱われることを思い出して、メイドには悪いことをしたと反省する。
「え、えっと......」
メイドは、アレクからまさかの言葉と手を差し伸べる行動に戸惑いを見せて、どうすればいいのか迷ってしまう。
「立ち上がって。俺は元々王国の人間だよ。ウズベル王のいいところを見て育ってきたんだ。こんな何でもないことで怒るような暴君じゃないし、普段は気兼ねなく......あれ?凄い手が荒れてる。ちょっと、待ってて」
「え、あ、はい......」
この城で働く使用人に関しては、誰かが送り込んだ間者の可能性などを考慮して、事前に身辺調査を済ませている。
そして、このメイドの女性も身辺調査をした人物の一人で、王国の廃爵された貴族の下で働いていたメイドなのだ。
「すぐに作るから、座って待っててね。もし、サボってるなんて言う人がいたら、俺が座らせたって言えばいいからさ」
「は、はい」
メイドは、理由もわからず、その場に座る。アレクは、何を始めたかというとスキルを使って何かを調合し始めた。
しかも、あっという間に作り上げていく。
「出来た。入れ物は、有り物だから見た目は悪いけど、中身はしっかり効果があるよ。騙されたと思って手に塗ってみて」
「え?は、はい!わかりました......え!?なんですか?これは?荒れていた手が一瞬で綺麗になりましたよ」
アレクが作っていたのは、効果がすぐ現れるハンドクリームであった。
メイドは、アレクの命令で恐る恐る手に塗ったのだが、効能が現れると驚き、目を輝かせた。
「ハンドクリームという元の綺麗な手に戻す薬だよ。マリナの手を見た時に、しっかりと毎日働いてくれてるなって感じたから日頃のお礼と王様として働いてくれている人のことを見てあげれてなかったお詫びだよ。いつも一所懸命働いてくれてありがとう」
アレクは、暮らしやすい国を作ることを目標に魔物の国を作ってきたのたが、メイドであるマリナの手を見て、一番身近に働く人々を蔑ろにしていたことに気付いて反省した。
「陛下が、私の名前を......それに、一介の使用人に過ぎない私にこんな凄い物と気遣う言葉を頂けるなんて......」
以前働いていた貴族の下では、主人から一度も名前を呼ばれたこともなく、淡々と任された仕事をこなすだけであった。そこに、不満があったわけではないが、改めて名前呼ばれること、そして気遣われることがこんなにも幸せで、ましてや王様からということで涙を流して歓喜した。
「この城で働いてくれてるんだから名前くらい覚えてるよ。それに、身近で働いてくれてる人は大事にしなきゃね。まぁ、さっきまで忘れてた俺の言葉だから信用ないかもだけどさ。でも、これで真っ先にやらないといけないことがわかったよ」
アレクは、その言葉を言うと、城の中に戻ろうと歩き出した。
「陛下の下で働けて幸せです。最高の待遇をしてもらいながら、こんな貴重な物と有り難い言葉を頂けるなんて普通ではありえませんから。本当にありがとうございます」
マリナは、アレクとの短いやりとりと話す内容から、おべっかを使うことを好まない人だと感じた。だからこそ、感謝する言葉だけを素直にアレクへと伝える。
「うん。俺も、マリナみたいな最高の人材を雇えて嬉しいよ。あ!ハンドクリームがなくなったらいつでも言ってね。福利厚生の一部だと思って遠慮しなくていいからさ」
アレクは、手を振って屋敷に帰る。その姿が、見えなくなるまでマリナは頭を下げて感謝するのだった。
「自分で好きな時に転移できないのは不便だよ。まぁ、こんなことを他人の前で言ったら、こっぴどく怒られそうだけどね」
アレクは、城に戻ると、独り言を話しながら着替えを済ませて、汚れた仕事着をメイドの下に持って行く。
「おはよう。追加して申し訳ないんだけど、これも洗ってもらってもいいかな?」
「は~い。今洗濯を始めたばかり......って......陛下!?申し訳ございません。気付かなかったとはいえ、挨拶が遅れてしまい、大変失礼致しました」
メイドは、まさか追加の洗濯物をアレク直々に持ってくるとは思っておらず、振り向いた瞬間、一瞬言葉を失い驚いてしまう。
「あ!ごめん。俺が不用意に声をかけたらダメだったよね。俺が、悪いんだから膝を突かないでいいし、ほら立ち上がってよ」
アレクは、ここ最近平等に接してくれる人と長くいたせいもあり、王様とは本来、このように扱われることを思い出して、メイドには悪いことをしたと反省する。
「え、えっと......」
メイドは、アレクからまさかの言葉と手を差し伸べる行動に戸惑いを見せて、どうすればいいのか迷ってしまう。
「立ち上がって。俺は元々王国の人間だよ。ウズベル王のいいところを見て育ってきたんだ。こんな何でもないことで怒るような暴君じゃないし、普段は気兼ねなく......あれ?凄い手が荒れてる。ちょっと、待ってて」
「え、あ、はい......」
この城で働く使用人に関しては、誰かが送り込んだ間者の可能性などを考慮して、事前に身辺調査を済ませている。
そして、このメイドの女性も身辺調査をした人物の一人で、王国の廃爵された貴族の下で働いていたメイドなのだ。
「すぐに作るから、座って待っててね。もし、サボってるなんて言う人がいたら、俺が座らせたって言えばいいからさ」
「は、はい」
メイドは、理由もわからず、その場に座る。アレクは、何を始めたかというとスキルを使って何かを調合し始めた。
しかも、あっという間に作り上げていく。
「出来た。入れ物は、有り物だから見た目は悪いけど、中身はしっかり効果があるよ。騙されたと思って手に塗ってみて」
「え?は、はい!わかりました......え!?なんですか?これは?荒れていた手が一瞬で綺麗になりましたよ」
アレクが作っていたのは、効果がすぐ現れるハンドクリームであった。
メイドは、アレクの命令で恐る恐る手に塗ったのだが、効能が現れると驚き、目を輝かせた。
「ハンドクリームという元の綺麗な手に戻す薬だよ。マリナの手を見た時に、しっかりと毎日働いてくれてるなって感じたから日頃のお礼と王様として働いてくれている人のことを見てあげれてなかったお詫びだよ。いつも一所懸命働いてくれてありがとう」
アレクは、暮らしやすい国を作ることを目標に魔物の国を作ってきたのたが、メイドであるマリナの手を見て、一番身近に働く人々を蔑ろにしていたことに気付いて反省した。
「陛下が、私の名前を......それに、一介の使用人に過ぎない私にこんな凄い物と気遣う言葉を頂けるなんて......」
以前働いていた貴族の下では、主人から一度も名前を呼ばれたこともなく、淡々と任された仕事をこなすだけであった。そこに、不満があったわけではないが、改めて名前呼ばれること、そして気遣われることがこんなにも幸せで、ましてや王様からということで涙を流して歓喜した。
「この城で働いてくれてるんだから名前くらい覚えてるよ。それに、身近で働いてくれてる人は大事にしなきゃね。まぁ、さっきまで忘れてた俺の言葉だから信用ないかもだけどさ。でも、これで真っ先にやらないといけないことがわかったよ」
アレクは、その言葉を言うと、城の中に戻ろうと歩き出した。
「陛下の下で働けて幸せです。最高の待遇をしてもらいながら、こんな貴重な物と有り難い言葉を頂けるなんて普通ではありえませんから。本当にありがとうございます」
マリナは、アレクとの短いやりとりと話す内容から、おべっかを使うことを好まない人だと感じた。だからこそ、感謝する言葉だけを素直にアレクへと伝える。
「うん。俺も、マリナみたいな最高の人材を雇えて嬉しいよ。あ!ハンドクリームがなくなったらいつでも言ってね。福利厚生の一部だと思って遠慮しなくていいからさ」
アレクは、手を振って屋敷に帰る。その姿が、見えなくなるまでマリナは頭を下げて感謝するのだった。
184
あなたにおすすめの小説
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
救世の結界師マールちゃん~無能だと廃棄されましたが、敵国で傭兵のおっさん達に餌付けされてるので、今さら必要と言われても戻りません~
ぽんぽこ@3/28新作発売!!
ファンタジー
「ウチの子、可愛いうえに最強すぎるんだが――!?」
魔の森の隣、辺境伯家。 そこで八歳のメイド・マールは、食事も与えられず“要らない人間”として扱われていた。
――そしてある日ついに、毒と魔獣の禁忌領域《魔の森》へ捨てられてしまう。
「ここ……どこ?」
現れた魔獣に襲われかけたその瞬間。
救いに現れたのは――敵国の”イケオジ”傭兵隊だった。
「ほら、食え」
「……いいの?」
焚き火のそばで差し出された“温かいお粥”は、マールに初めての「安心」と「ごはん」を教えてくれた。
行き場を失った幼女は、強面のおじさん傭兵たちに餌付けされ、守られ、少しずつ笑えるようになる―― そんなシナリオだったはずなのに。
旅の途中、マールは無意識に結界を張り、猛毒の果実を「安全な食べ物」に変えてしまう。
「これもおいしいよ、おじさん!食べて食べて!」
「ウチの子は天才か!?」
ただ食べたいだけ。 だけどその力は、国境も常識もくつがえす。
これは、捨てられた欠食幼女が、敵国でお腹いっぱい幸せになりながら、秘められた力で世界を巻き込んでいく物語。
※若干の百合風味を含みます。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。