チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

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第3章 アレクを狙って

第868話 身近なものほど中々気付かない!?

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ヘルミーナとマンテ爺に一時店を任せて、アレクは魔物の国に帰還した。

「自分で好きな時に転移できないのは不便だよ。まぁ、こんなことを他人の前で言ったら、こっぴどく怒られそうだけどね」

アレクは、城に戻ると、独り言を話しながら着替えを済ませて、汚れた仕事着をメイドの下に持って行く。

「おはよう。追加して申し訳ないんだけど、これも洗ってもらってもいいかな?」

「は~い。今洗濯を始めたばかり......って......陛下!?申し訳ございません。気付かなかったとはいえ、挨拶が遅れてしまい、大変失礼致しました」

メイドは、まさか追加の洗濯物をアレク直々に持ってくるとは思っておらず、振り向いた瞬間、一瞬言葉を失い驚いてしまう。

「あ!ごめん。俺が不用意に声をかけたらダメだったよね。俺が、悪いんだから膝を突かないでいいし、ほら立ち上がってよ」

アレクは、ここ最近平等に接してくれる人と長くいたせいもあり、王様とは本来、このように扱われることを思い出して、メイドには悪いことをしたと反省する。

「え、えっと......」

メイドは、アレクからまさかの言葉と手を差し伸べる行動に戸惑いを見せて、どうすればいいのか迷ってしまう。

「立ち上がって。俺は元々王国の人間だよ。ウズベル王のいいところを見て育ってきたんだ。こんな何でもないことで怒るような暴君じゃないし、普段は気兼ねなく......あれ?凄い手が荒れてる。ちょっと、待ってて」

「え、あ、はい......」

この城で働く使用人に関しては、誰かが送り込んだ間者の可能性などを考慮して、事前に身辺調査を済ませている。
そして、このメイドの女性も身辺調査をした人物の一人で、王国の廃爵された貴族の下で働いていたメイドなのだ。

「すぐに作るから、座って待っててね。もし、サボってるなんて言う人がいたら、俺が座らせたって言えばいいからさ」

「は、はい」

メイドは、理由もわからず、その場に座る。アレクは、何を始めたかというとスキルを使って何かを調合し始めた。
しかも、あっという間に作り上げていく。

「出来た。入れ物は、有り物だから見た目は悪いけど、中身はしっかり効果があるよ。騙されたと思って手に塗ってみて」

「え?は、はい!わかりました......え!?なんですか?これは?荒れていた手が一瞬で綺麗になりましたよ」

アレクが作っていたのは、効果がすぐ現れるハンドクリームであった。
メイドは、アレクの命令で恐る恐る手に塗ったのだが、効能が現れると驚き、目を輝かせた。

「ハンドクリームという元の綺麗な手に戻す薬だよ。マリナの手を見た時に、しっかりと毎日働いてくれてるなって感じたから日頃のお礼と王様として働いてくれている人のことを見てあげれてなかったお詫びだよ。いつも一所懸命働いてくれてありがとう」

アレクは、暮らしやすい国を作ることを目標に魔物の国を作ってきたのたが、メイドであるマリナの手を見て、一番身近に働く人々を蔑ろにしていたことに気付いて反省した。

「陛下が、私の名前を......それに、一介の使用人に過ぎない私にこんな凄い物と気遣う言葉を頂けるなんて......」

以前働いていた貴族の下では、主人から一度も名前を呼ばれたこともなく、淡々と任された仕事をこなすだけであった。そこに、不満があったわけではないが、改めて名前呼ばれること、そして気遣われることがこんなにも幸せで、ましてや王様からということで涙を流して歓喜した。

「この城で働いてくれてるんだから名前くらい覚えてるよ。それに、身近で働いてくれてる人は大事にしなきゃね。まぁ、さっきまで忘れてた俺の言葉だから信用ないかもだけどさ。でも、これで真っ先にやらないといけないことがわかったよ」

アレクは、その言葉を言うと、城の中に戻ろうと歩き出した。

「陛下の下で働けて幸せです。最高の待遇をしてもらいながら、こんな貴重な物と有り難い言葉を頂けるなんて普通ではありえませんから。本当にありがとうございます」

マリナは、アレクとの短いやりとりと話す内容から、おべっかを使うことを好まない人だと感じた。だからこそ、感謝する言葉だけを素直にアレクへと伝える。

「うん。俺も、マリナみたいな最高の人材を雇えて嬉しいよ。あ!ハンドクリームがなくなったらいつでも言ってね。福利厚生の一部だと思って遠慮しなくていいからさ」

アレクは、手を振って屋敷に帰る。その姿が、見えなくなるまでマリナは頭を下げて感謝するのだった。
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