【完結】自傷探偵と日南くん。〜ときどき幽霊〜

あいう

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依頼人と日南くん。~私のフレネミーさん~

ex2.×××➁

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 私は一連の流れを彼に話した。彼は私のブログの読者でもあるから話は早い。
「……つまり、身内が敵かもしれないってこと?」
「うん……」
 別に晒されたのは問題ない。問題があればブログを消せばいい。丁度もっとカスタムの効くところに媒体を変えようかと思っていたからタイミングが来たと言えばそうなんだろう。でも、弱小ブロガーである自分がターゲットになったのが気味が悪い。これが誰かのブログに晒されたならわかるけれど、わざわざ匿名掲示板に晒すなんて気持ち悪い。いつの間にか私は誰かの恨みを買ってしまったのだろうか?
 彼にそう言うと、彼は指折りで数を数えた。
「ひとつ、SNSの仲間は?」
「ジャンルが違うからないと思う」
 彼がひとつ指を折る。私のSNSはブログで晒している趣味の音楽とは何も関係ないものだ。彼の作った料理を載せたり、ペットの写真を乗っけたりするだけの日常アカウント。音楽について書きこんだことは無いし、なんならブログとユーザーネームが違う。SNSから私のブログには更新ツイートから来れても、ブログからSNSへのリンクがないので逆は来ることができない。
それにSNSのフォロワーはわざわざ音楽掲示板なんて来ないだろう。だってジャンルが違うんだから。SNSで炎上させた方がダメージは入る。まあそれ以前に日常雑談フォロワー100以下の弱小アカウントがそんなわざわざ音楽板に来るような手間をかけるような恨みを買うはずがないが。
「ふたつ、ブログの読者か通りがかりの人か」
 彼の指がひとつ折られて、もうひとつ。
「それはないと思う、さっきも言ったけど私、ブログでは女ってバラしてないし」
 これは偏見だが、ギャンブル依存症というものは男と認識されやすい。私のスペックはギャンブル依存症(治療済)、精神障碍者、音楽が趣味で動画サイトに投稿している。それだけ。一人称は「自分」で、まあまあ中身はクズだ。
女はちゃんとすべきなイメージがある現代で、この情報を先に出されて性別を見抜ける人間はいないだろう。
 彼の指がもうひとつ折られる。
「じゃあ……、リアルの繋がり?」
 それしかない。私は友人にブログの事を隠していない。
 だが、別に怨恨を抱かれることなんてした覚えはない。みんなと仲が良いし喧嘩もない。
 私のスペックで嫉妬を買うなんてあるわけないし。もしそんな人間がいたら相当な暇人か趣味が晒しの性格に難がある人間だ。
「でもさ、流れ見てみるとおかしくない?」
「何が?」
「だってこれ」
 彼は私のスマホを滑らせ、例の書き込みを私に見せる。

『300:痛ブログ見つけたったww 自称ガイジのギャンカスブログww コイツアラフォーなのに夢追っかけててマジ笑えるんだけどww』
『302>>300:それ見てみたい』
『309>>302:はいリンク』
『312>>309:うわww女なのにギャンカスwwウケるww』

「これさ、全部で一時間以内に終わってるんだよ」
「それが何かおかしいの?」
「このスレッドさ」
 彼は書き込みが投稿された時間を指さす。
「他の書き込みはさ、結構時間バラバラなんだよ。盛り上がってるときは別だけど」
「これは盛り上がってないの?」
 所謂ROM専の私にはよくわからない。
「だってこのスレッド見るにこの『300』と『302』しかこのブログの会話してないじゃん? これを盛り上がってるとは言えないよ」
「そうなんだ」
「しかもさ、この302はブログを読んだ上で言ってるんだ『女なのに』って」
「……あ」
 そう、おかしいのだ。恐らく身内であろう300が「女だ」というのはわかる。なのにどうしてブログしか読んでいない302が「女だ」と判断できる?
「しかも、全部短時間でのレスだ。これは300の自演だと考えて良いと思う」
「そ、そっか……」
 彼は少し考えると、私に提案した。
「調査してもらう?」
「え、誰に?」
「探偵。知り合いの知り合いに探偵がいるんだよね」
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