怠け者神様の天国のお話

暇人

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第3話「神様、仕事をこなす」

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「はぁ...」

と、言いつつ今日の神は結構真面目なようです。
朝から昼にかけて転生待機者リストに一通り目を通し候補者を選ぶ作業を行い、小鬼に作ってもらったカツ丼(並盛り)を食べ、今は死者の振分を行なっていた。
振分といっても、生前何をしたかによって地獄に行くか、天国に行くかを決めるだけなのだが.....

「いや、多いわ!!」

と思わず声を上げてしまった神様。

「きゅうけーー!うん、さすがにね、おおいよ。
30分後に再開しまーす」

と言うなり自室に移動し、ゴロンと寝転がる。
審判待ちの死者たちの前にはディズニーランドよろしく「30分待ち」の看板が小鬼によって掲げられた。

仕事をすると言ってもやることが単調すぎて、たまに他のことをしないと頭がおかしくなりそうであった。

「なにか願い事でも叶えようかな」

と、携帯を取り出し、「願い事リスト」というアイコンをタップする。
少しのラグの後、ずらっと表示される人間の願い事
「志望校に受かりますように!」
「イケメンになりたい」
「健康祈願」
「彼女が欲しい」

う、うーん.....
と、唸る神様。
志望校に受かりたいのになぜ神頼み?

イケメンになりたいなら転生pt(人生を繰り返すたびにたまるポイント。次の人生における様々なステータスを決めることができるが基本高いので「平凡」を選ぶ人が多い)ためなさい!

健康は自分で管理するものです甘えない!

神様にも彼女いないのにお前に彼女ができてたまるかっ!

と、一つ一つにツッコミをいれていく。これだけで気分転換できた。ついでに一つ願いを叶えよう。
と、下界の人間を見下ろしてみる。

(あーあ、明日晴れないかなぁ....)

「うん、これぐらいなら...」

と、明日の天気を雲ひとつない快晴にするよう、知り合いの風神雷神に電話をした。

「もしもし?神神、うん、うん、まじ?へー......かくかくしかじか.....はいはい、あいーよろしく」

これでこの人間は明日1日幸せだろうな、とか考えつつ枕に顔を埋め、目を閉じ夢の中に........とはいかなかった。

「神様、もう30分たちますよ」
「はいはい、もうあと5分....」
「寝起き悪い人じゃないんだから、ほら早く」

数匹の小鬼に引っ張られ、うつらうつらしながら振分に戻る。
この5分はでかいぞ?などと考えながら尾が見えない長蛇の列に向かい合う神様であった
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