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第八話 ハネムーン?
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フェリーは、まだ、目的地に着かない。その日のディナーは、ブュッフェスタイルのディナーだった。昴は、「雪は、何が食べたい?持ってくるよ?」と言うと、雪は、「サラダとラザニアかな?」昴は「分かった持ってくるよ。」と言い席を立つ。昴はサラダとササミのソテーに少量のライスを、持ち帰りテーブルに並べた。昴は「右にラザニア左がサラダね。」と言い、席に着いた。雪は、「また、サラダとササミと小ライス?もうレーサーじゃないんだから、もう少し食べてもいいんじゃない?」昴は、「いや~習慣になっちゃてついね。」と、言った。雪は、「しかし少し揺れるね?」と言った。昴は、「確かに、お替わり欲しかったら言ってね。」と話題を変えた。外は少し波が高い。それは、黙っておこう。雪が不安がると思い、話をすり替えた。雪は「じゃあ次は昴と同じものにする」と言い出した。ウェイターが、「もし宜しければ、そちらのお客様のお料理を私共で、お持ちしましょうか?」昴は、「では頼もうかな?」と言うと、ウェイターは「ではなにをお持ちしましょうか?」雪は、「彼と同じものをあとコーヒーを、お願い出来ます。」と言った、昴は、「美味しそうなケーキも、あるよ頼めば?」と聞いた。雪は、「昴が頼まないなら私も食べない。」昴が食べるなら私も食べる。」と言ってウェイターは、「では、ケーキもお持ちいたしましょう」と気を利かせてくれた。なら昴は「お言葉に甘えて、フルーツチーズタルトをお願いできますか?」雪も「同じので」と言う、昴は、「別に俺に合わせなくていいんだからね。」と言うと、同じなのを食べなきゃ損だからねと、言った。ウェイターは心の中で呟く(彼奴らは、忘れているかもだが俺だって同期だったんだぜ、)と思っていた。「お待たせいたしました。お客様、右のお皿がサラダとササミのフレンチソースでございます。左にあるお皿がチーズケーキでございます。」昴は「ありがとう、これはチップです。お納めください。」と、1万円を細かく折りたたみ、他のウェイターにバレないように手渡した。「いえお客様受け取れません」昴は「いいから受け取れ。田所が雪に気付き、困っている所に手を差し伸べた、お客様に真摯に向き合った。その褒美の対価だ、サービス業の基本だ。よくできるようになったな?」と、言うとウェイターは「なんで分かったのです?私が田所だって」昴は胸のネームプレートを指さし「同期の仲だろ?これで、貸し借りなしだ」と、言うと田所は、一礼して「ご用命がございましたら、いつでもお声がけください。」と言って元の位置に戻って行った。雪が「今の田所君でしょ?昔ストーカーみたいに、着いてきて、私の仕事よく見てメモしてたっけな?」さすがは雪である。「よくわかったね?そうだよ。田所だ、仕事中だから、再会を喜んでやることはできないけど、チップとメモを渡しといた。」雪は「何か書いてると思ったらお手紙にして、渡したのね。流石私の旦那様」昴は「結婚式の時、来れなかったろ?だからさ、まさか、この船でアテンダントしてるとは、思わなかったよ。」雪は、「同期の皆元気にしてるかな。」昴は、「結婚式の時に、何人かきてたろう?川崎と田所以外?」雪は「川崎?っあいつは良いの、どうせ、うさばらしで、ヤビツ峠辺りを、まだ攻めてると思うから?」昴は、「そうなのか?そろそろ落ち着きゃいいのに。」雪は「それをあなたが言うの?説得力が皆無なんですが?」と返してきた。昴は、「ごもっともなご意見でございます。」と言った。そりゃそうだ人の事なんて言えないよな。つい最近までレースだ、トレーニングだやってた昴にとって、雪からしてみたら、もっと早く迎えに来いって感じだったろうに、昴は「ごめんな、こんなに待たせてしまって。」雪は、「まだスタートラインだよ。「これからじゃない昴と私のラリーは、ナビは私でドライバーが昴、二人の人生のラリーは、これからなんだから、スタート前に弱気になるな!ビビった時点でもうレースは終わってるんだぞ!」昴が「それ、確か、僕が、君のダート選手権、初参戦の時に、言った台詞だろ?まだ覚えてたんだ?」笑いながら言った。雪は「それは、もう、しっかりと、全部、心のノートに、したためて、ありますとも。生き残り、家に着くまでがラリーだ!とかね。」昴は、「声大きいって恥ずかしいな。もう、」雪は、「私は、もう、走れないけどさ、サポートしか出来ないけど昴は走ってよ。MFJダート選手権!」昴は、「完走出来るとは、思うけどレースは結果が全てだ、無理して、事故って雪だけ残していくのは嫌だから、もうレースでは、走れない!やるならサポート側に回る。これは決定事項だ。それでも走れというのなら、離婚する。これが絶対条件だと前にも言ったはずだよ?この話はやめようよ、縁起が悪いから。」雪は「離婚はしないでも走ってない昴は昴じゃない!目の前にコースがあるならそのコースを走るべきだよ。」昴は「本当にその話はやめようよ。ハネムーンに来て帰ってすぐに離婚なんてナンセンスだ。レースの話は、マジでやめような?頼むから」」と、雪の手を握る。握る手が震えている昴は、懇願するように、頭を下げた。残りの命を雪に捧げるその覚悟が伝わってくるのであった。雪は「分かった。分かりました。だから、少し、部屋で休もう。」と、進めた。車椅子を押しながら、部屋に戻る2人を田所は、眺めていた。部屋に戻ると既にベッドの用意がされており、シャワーも準備されていたまた、ベッドの横にシャワー用の車椅子が用意されていた。雪を、その車椅子に乗せシャワールームに連れて行った。昴は、「雪一人で大丈夫だよな。上がる時声かけてくれ?外で待機しているから。」雪は「背中流さしてよ。」と言う、昴は、介護職の資格もある。雪のために取ったようなものだが、昴は「まず髪から洗うから?」と言って、服を着たまま中に入った。やせ細った身体は昔の面影は、腕だけであった。「雪、痒いところないか?」と、聞く、雪は「気持ちいいよ?次背中ね?」昴は背中越しから分かったと声をかけ、髪の泡を落とす背中洗いシャワーで、背中を流しスポンジを渡す「後は自分でできるな?」と言うと、いたずらっぽく雪は「前も洗って欲しいな?」と言う「自分でできるところは、自分でやりなさい」と言ってシャワールームの前に立つ、中から「昴!シャワーで流して洗い終わった」と言われまた中に入る「後ろから失礼」と言ってシャワーで流す。後はタオルで体を拭き、車椅子に乗せベッドの上に寝かしつけた。カードキーを持って甲板にあがりタバコに火を付け一服を始める昴に、「よう中島!悪かったな?式に出られなくて」と田所が来た。「よう田所、何十年ぶりだ?」と昴は返す。田所は「やっぱりお前か、彼女の、ハート撃ち抜いたのは?」昴は「どういうことだ?」と聞くと、田所は、同期のみならず雪を狙っていた独身男性勢は多かったらしいと教えてくれた。確かに男ウケしそうな容姿はしているが、俺は、その前から知っていた。レースでいつもうっかりミスで、二位どまりだったこと。川崎の横に乗らされ自慢げに下手なドライブに付き合わされたこと。ジムカーナでも俺の後ろにいたこと、あのレセプションで唯一話しかけてきたこと。俺についてディーラー展示車を洗う姿を見て手伝いに来たこと。「なんで、そんだけもてたのに誰とも付き合わなかったんだ?」と田所に聞いた。「中島昴に走りで勝てたら、考えてあげる!って言われたんだよ。皆、俺も噂ではお前がジムカーナやダートトライアルのチャンプだって知ってるから、手を出せなかったんだよ。雪の心にお前という存在が居たからみんな諦めた」続けて田所は「新型ビッグボーンの試乗会の箱根ダートパークの時やたらと皆この時とばかり走ってただろ?」昴は、「なんかやたらと皆威勢良かったな?「あれ、あの言葉を真に受けて絡んだんだぜ、彼奴ら」と田所は言う、「それで、試乗車壊したら意味ないだろ乗ったことのない車、走ったことのないコース、最低3周は流す程度に走る。4周目から徐々にペースを上げる。それが定石なんだがね?」と昴は語る。田所は、「お前が流し運転していることを知らない奴らがお前に食らいつきさえすれば勝てると思ったらしいが、みんなついていけてなくてな。なんだあいつ早すぎとか、ブツブツ言ってそれに平気で付いていった女子が居た」昴は「雪だろ!同じライン同じトラクションのかけ方すぐに分かったさ」田所は、「車を壊した連中は、みんな減俸で、お前のところの車だけ綺麗だったってオチさ」と呆れて言った。昴は、「初心者なんて皆そんなもんさ、パワーに振り回されトラクションコントロールが出来ないやつが乗ればどんな車も、皆駄馬になる。乗り手が車を育て車が乗り手を育てるのさこれは豆知識だな」と言って、田所の肩を軽く叩き「さっきの接客、よかったぜ」と言って、喫煙所から昴は去っていく。田所は「明日の昼には沖縄だハネムーン、楽しんでこいよ。」昴は、「サンキュー田所今度休み取れたら一杯飲もうや。」と言って客室に戻った。そこにはむくれっつらの雪が、座って待っていた「どこに行ってたの!」昴は「タバコを吸いに甲板へ」「誰と会ってたの」と雪は追及して来る「たまたま、田所に会って昔話に盛り上がってました。」ほっとした表情になり「それなら許します。」と言ってキスをされた昴は「タバコの匂いがするから」と言うと雪は「関係な~い」と甘えてきた。女心と何とやらって昔の人はよく言ったもんだと思いつつベッドに入った。朝になり、隣では、雪が俺にしがみつく様に寝ていた。左腕が痺れて、上手く動かせない。昴は、寝起きのキスを額にした。う~んと言いながら身体を反対にしたその隙に腕を抜きソファに座った。左腕の痺れが、取れるまで。右手でコーヒーを入れ寝覚めの一杯を堪能する。左腕がぶらりと、下がったままだった。暖かいものを飲めば、血管は拡張し、血流が戻り、少しだけ感覚が戻って行った。雪が、手でなにか探してるみたいな動きを、していた。「昴!昴が居ない」とアタフタし始めた。コーヒーを、入れ、ソファーのテーブルに置き、雪の傍に近寄り、昴は、「何かお探しですか?お姫様?と言うか?おはようございます。お傍におりますよ。」とお姫様抱っこでソファーに行き、コーヒーを差し出す。昴は「カップは右手のほうね?」と言い手を運んでやった、雪は、「どこにいたの?不安になるよ昨日の話の事があるから。」昴は「じゃあもう二度とレースに出てって話はしないことOK?」雪は「Yes、とでもいうと思ったか?答えはNo」と頑固な所は現役時代と変わらないと言うか?こんなにわがまま言う子だったか?とさえ考えてしまった。「雪、そういやあの酒豪の同期覚えてる?」と言うと、「結婚式の時にも来てくれたじゃない池畑さんでしょ?」と雪が言うと「今この船にいるらしいよ?しかも、田所の奥さんらしい?」雪は、「入社して5年目辺りで、確かあの二人、結婚したんだよ。どっかの誰かが会社辞めて本社にいた頃はもう付き合ってたんだって。私もその話、聞いてびっくりしたもの。その時青柳さんが車椅子押してくれてた。本当は昴を狙ってたらしいんだけど、見向きもされなかったって落ち込んでたの覚えてる。」昴は、「あの頃の僕は、皆敵だったからね、人の業績を盗む泥棒!と、まで思ってたから、まぁ~雪だけは違ったけど、ライバルだとは思ったね。」雪は「なんでそのライバルに色々教えてくれたの?」昴は「君にだけは、クレクレお化けには、なって欲しくなかったからかな?君が体験し、体感し、その情報をお客様に伝え、お客様の信頼を勝ち取ったそこに意味がある。田所も、そこに気がついたからあの接客が出来たんだ。快適な船旅を、とね。」雪は、「やっぱり、昴は、私の最高のパートナーで最高の旦那様だよ」昴は「最低最悪のパートナーで最低最悪の旦那様の間違いだろ?」雪は、「周りの何人かは「雪をこんなに待たせて!本当に最低最悪な、男」って言ったけど、私は「違う、責任感が強く面倒見の良い最高の男だ」って言ってやったわよ?」昴は「なら、もうレースの話はしないでね、最高最強の妻殿」と言うと、雪は、「それはそれ、これはこれ、です。」とキッパリと言ってきた。昴は、参ったなと、頭を掻きながら考え込んだ。朝食は、ルームサービスを頼んだ。田所が、入ってきた。その後ろから奥さんが入ってきた。昴は、「田所、すまんね。ルームサービスで運んできてもらって、奥さんも、久しぶり、レセプションパーティー以来かな?」池畑さんは、「つい最近!あんたたちの結婚式以来!雪~中島がいじめるよ~」雪は「でも話してなかったじゃん、旦那とは?」昴は「田所夫人と呼べばいいのかな?」田所は、「では私は、業務がございますので失礼します。」と言うと昴は、「待ってくれ田所!これ、チップ」「お客様受け取れません」「良いから受け取れ。すげぇ遅くなったが、御祝儀、お前たちの。」と言うと、「すみません、では有難くいただいておきます。」一礼して部屋を出た。「しかし、変われば、変わるもんだな。」と昴は言った。田所夫人は、「根っこは、変わってないんだけどね?根が真面目だからあの人。」雪は、「良いじゃないの、根が真面目なのはいい事よ?どっかの誰かさんなんか固物過ぎてさ?」と昴の方を見る田所夫人は、「雪、中島は、昔からそうだったじゃない?雪はさ、愛されてると思うよ、じゃなきゃ三度の飯より、レースって男が、結婚しないって。」とフォローする。昴は、複雑そうな顔をしたのであった。
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