とある修練士は闇夜に踊る

音無闇夫

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怪異の来訪者

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 霞さんは情報提供で協力者として、応援して貰えることになった。師匠は、霞さんを知っているが、イクミは、霞さんの事を知らないので紹介しないと、争いになるな?と思いイクミを連れて霞さんの所に連れていくことにした。霞は「おお彼方坊かえ?そこの殺気垂れ流しの小娘は、誰かの?」俺は、「霞さんに紹介したいのだけど?イクミ、エヴィントンさんです。自分の弟子です。」イクミは、殺気を、ダダ漏れにしたまま。会釈した。「イクミさん、彼女は、育ての親みたいなものでね、霞さん、情報提供者になってくれる妖なんだ、だから祓魔しないでね?」イクミは、「怪異が仲間?訳が分かりません!」俺は、「全ての妖が人の敵という訳じゃないんだよ彼女の様に共存共栄を望む種族もいる。それは、わかって欲しいんだ?」イクミは、理解したが、納得はしていない、霞は、「彼方坊や、九尾のつくよにあったかの?」俺は、「仙狐様にはまだまだご挨拶は出来ておりません。」霞は、「早めに、挨拶しといた方が良いぞ?あやつ、妾の所に来ぬのか?てボヤいておったわ」俺は、「面目、御座いません」と肩を落とした。霞は「わっちに言うでない、稲荷神とも呼ばれておるのじゃろ?あやつは?ならそっちに話通すのが筋じゃて主もわかっておろう?」俺は、「はい、本日中に、仙狐様に、お供えを、お持ちして社にお届けします。」霞は、「それが良かろうて?」イクミは、妖は、皆敵に見えるらしいが、神格化した。妖狐に、流石に喧嘩は、売らんだろう?稲荷大社に、地酒といなり寿司を、持って参拝しに行った。後ろからイクミは、着いてくる。俺は「イクミさん、怪異にだって、共存共栄する。さっきの女郎蜘蛛の霞さんだって家神としてその土地を護る氏神様として、お役目果たしているし、これから会う仙狐様に関しては、商売繁盛の神様としてお社から、街全体を見守ってくれている。荒神を祀ることで、繁栄を促す。場合もある、だから妖は、皆、敵では、無いと言いたいんだよね?」イクミは、コクリと、頷いた。表情が硬いが、理解してくれた。イクミに「今回のお方は、帝も、信頼置かれているお方だから粗相のないように。」イクミは、無言で、頷いた、目的の部屋に、着いた。「茅場誠こと、天乃彼方でございます。」仙狐は「彼方きょーーん」と、凄い勢いでかけてきた。俺は、腕を前に出し、頭をわしっと掴み「稲荷大社の御神体であるお方が何しくさってやがるんですか?仙狐、雅様。」仙狐は、「だって、久しぶりの、再会なんだもん!ハグしたって良いじゃない!」俺は、「下賎な我らに、触れて、汚れられたら問題かと?」イクミは、じっと、見ていた。仙狐は、「そこの女の子誰よ?私と言うものがおると言うのに!」俺は、「誤解を、招くご発言、お控え下さい。」と拳骨を、振り下ろした。仙狐は、「いったーい、酷いよ彼方きょーーん」俺は、「この社の禰宜は、何やってるのかな?」とため息をついた。俺は、「イクミさん悪いね?こんなんでも一応神の眷属でこの社の主で仙狐の雅様だ、で雅様この度は、私の3級退魔師の任を命じられました。この者は私の、弟子として、修練士のイクミで、ございます。」イクミは、「槍術修練士のイクミ·エヴィントンと、申します。」雅は、「その槍、真田の槍だよね?」俺は、「それ以上は、申しめさるな?我らの真名は、お勤め以外では、明かさぬ者です。どうか、ご理解いただけると、助かります。」雅は、「わかったよ~じゃ~まこっちとイクミンでOK?」俺は、「真名がもれなければごずいに?」雅は「まこっちは、昔、可愛かったのに?お姉さんは、悲しいよ?」俺は、頭をグリグリしながら「だれが、お姉さんだって?」雅は「いたい、いたいって!手加減してよ~!」でだ、本題に入る、俺は、「最近、帝都全般で、奇っ怪な怪異事件が頻発しております。それが西洋のものらしいと、霞さんからの、情報がありました。雅様には、お気をつけいただきますよう!」雅は「その事は、色々な所から、入ってくるんだけど、荒唐無稽過ぎて、混乱しているんだよね~!」俺は「霞さんの情報だと、一部の土蜘蛛族が、西洋の怪異側に付いたと、お聞きしました。」雅は「霞ちゃんが?となると、あながち嘘じゃないと、言うことかな?私の情報だとアラクネでは無いと見てた訳だが?」俺は、「と言いますと、目撃情報が、あるのですか?」雅は、「うん!うちの配下の小狐がね?顔が鬼で身体が蜘蛛で、体長が、兎に角大きかったと、言うのよね?この特徴から、アラクネじゃないと思うのよアラクネってさ蜘蛛に人間の身体が、乗ってる感じの容姿だったでしょ?」俺は、「確かに、自分も聞き及んでおりますが、実際、見たことが、ございませんので、分かりません。」俺は、何か見落としていないか?国外の怪異と言うだけで西洋の怪異とは限らない、日本の怪異は大陸から逃げてきた者も多いなら、土蜘蛛族が寝返るのも、合点が行く、なら、相手は、2つに絞られる。「牛鬼か大蜘蛛のどちらか?」イクミは、「大陸由来の怪異ですね?」俺は、「イクミ行けるか?」イクミは「分かりませんがやらせてもらいます。」俺は、「雅様、これは、陛下の勅命で、ございますので、これで、失礼します。」雅は「暫しその娘私に預けない?修行ってことで?どう?」俺は、「イクミが、良いのなら?」イクミは、「宜しく御願い致します。」仙術、で更に、底上げしようということだな。願ってもない。俺は、「悪い話じゃない、祓魔術に仙術を折り込れば、イクミにとっても、精度が、上がるから、頑張ってみるといいよ?」イクミは、頷いた。俺は、イクミの頭をポンと軽く乗せるように叩いて、「頑張れよ!それで、戻って来い!」と微笑んだ。「雅様、御指南、お願い申し上げます。」一礼し、席立つ社を後にした。さて、多摩地区、で霊峰といえば高尾山だあそこの大天狗様に、聞いてみるか。それで、だめなら、深沢山の牛頭天王に、聴き込んで、みるか?元々、俺の実家だった本家は、H市の片田舎だ。この辺の地理には、詳しいのだ。今も跡地には、道場や母屋が残っている。俺は、「あの頃の、ままだな?」空から大天狗が現れた、「坊主、感慨にふけっておるな?」俺は、「大天狗様ご無沙汰しております。」大天狗は「何やら俗世が騒がしいようだな?」俺は、「その為の我々ですが、今回は、天狗の皆様にご協力頂ければ幸いですが。」俺は、事の顛末は、知ってる限り伝えた。大天狗は、「牛頭にも仕えを出し協力を頼もう?坊主が行くより、手間が省けるだろ?」俺は、「お手数を、お掛けします。」大天狗は「何、坊主の、頼みだ我々も、今の状況を、看過できないからな、人、怪共闘と、行こうではないか?」俺は、「御仏と神のみ心のままに!」頭を垂れ、山を後にした。人類との共存共栄を目的とする怪との協力を得た後は、決戦の場所と、そこへの誘導のしかただが、都内は帝がおわすし無理だしな?天下分け目関ヶ原?あそこは遠いしな?甘里の古戦場は、大天狗の縄張りだし御陵にも近い先代、先々代の帝の眠られる墓所だ。荒神になられても困るし、何処にすべきか?職場に、この件を、持ち込む事は、御法度だし?誰に相談したものか?そんな時、検察庁多摩支部管轄内で、殺人事件が起きた。其れも犯人は、捕まらず。検死の結果を、見ても人外の、犯行なのは、明らかだ、支部長から俺に特命が、下った。しかし、新人に、特命捜査なんか押し付けるかね?と思いつつ承諾した。人がやった事なら法律で、裁けるが、人外の怪異なら、現行の法律では裁けない!調伏するしか無いのだ。しかし、今回の事件は、白昼堂々と行われた。しかも、血液は、抜かれたり、内臓を、食われた後が、見られたことから、カニバリズム信者か?怪異の仕業なのは、明らかだ、さて、資料によると、犯行現場は、ここのはずなんだが?血痕は、無い?皮と骨は、残っていた?噛み傷は、なかった?何らかの方法で、溶解液を体内に、入れ血液と内臓と溶けた肉組織まで丸飲みしたと言うのが鑑識見解なら、強い酸だから、人体に、悪影響のある訳だから、カニバリストの線は、無くなった訳だ。となればやはり、怪異が濃厚だな?しかし、都内全域で同様の事件が横行している。警察も手を焼く訳だ。であれば、同業者掻き集めて、帝の宮と関係各所、関連する場所をかためる、あとは、残りの人員で、各個撃破しかないかな。さて、黒幕は、誰かいなと?こいつばかりは、蓋を開けなきゃ解らない事件の発生場所に関連性や時間など規則性があったが、今回は、それがない、こちらの混乱が目当てなのか?なにかに追い詰められてなのか?意図が、見えないのだ。何らかの事件性が有るのは警察でも、捜査して分かっているが、怪の仕業なら、警察も検察庁も手出し出来ない、修練士や祓魔師や退魔師の領分だ。俺に特命が降りたのも上では、理解しているのだろう?この間の事件と言い今回の件と言い面倒な案件が、多すぎる。京都でも、似た事件が、さいきん増えてきた、と同僚からオフレコで、聞いている、胸くそが悪い!
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