異世界で神が認めたシェフになる

ジェル

文字の大きさ
1 / 25
プロローグ

神の手違い?1

しおりを挟む
「兄さん、ただいま。」

俺は、ソラ。いまは夕飯の準備中だ。
そんなところに妹のシロが、息を乱れさせながら帰ってきた。

「ああ、おかえり。ご飯もう少しかかるから先に風呂でも入ってこい。お湯は沸かしてあるから。」

「いやよ。ご飯を手伝うわ。こんないい匂いが学校まで届いてきて、もう我慢できないもの!」

「おまえ、ホントにどんな鼻してんだよ、学校まで軽く5キロはあるんだぞ。」

…ホントに嗅覚すごいなっ!前世はきっと犬だなっ
可愛い犬がいたもんだっ!

、とくだらないことを考えていた。

実際、シロの嗅覚はすごい。
この前なんか、俺が買い物から帰ってくると、"兄さん、リンゴ買い忘れてる"と言うのだ。

袋の中を見ずに…

こんな嗅覚を持つシロだが、本当にすごいのは嗅覚ではない。

『味覚』だ。

シロは、口にしたものに関してはなんでもわかる。
この料理に何が使われているかなんてもちろん、シロにはグラム単位で分量まで完璧にわかる。

だから、お店の秘伝のタレなんていう代物を食べさせようものなら、秘伝のタレはタレに成り下がる。

そんな妹は唯一、俺の料理は美味しいと言って食べる。

昔、俺は料理が下手だった。卵を割ることすらうまくできないほどに。だから、シロも俺の料理には手をつけなかった。シロはその頃、オヤジや母さんのご飯を食べていた。

しかしシロが9歳、おれが10歳のとき、両親は突然帰らぬ人になってしまった。まだ、小学校に通っている俺らにとってはとてもショックだった。

でも、おれはそれよりもシロを守らなくてはという気持ちが強く、まずはじめに自分ができることを考えた。

僕ら2人の身元は母さんの妹が保証人になってくれたが、あまり迷惑をかけたくないと思って、僕は将来のために、中学生になってからは学校に通いながら働くことにしようと決めた。

だが、それよりも深刻だったのが、シロの食料問題だった。シロは両親が亡くなってからあまり、食事を取らなくなった。このままでは、シロまで死んでしまうと思ったおれは、料理の腕を磨いた。

それはとても苦しいものだった。
初めはとても大変だった。卵一つろくに割れない俺は、鍋を焦がしたり、包丁で指を切ったり、さらには家に引火しそうになったこともある。

だから、はじめのうちは毎日、こげた目玉焼きだった。おれは申し訳なくなり、妹の前で泣いた。
自分でも食べたが、殻がはいっていて、ガリガリと音を立てるほどに不快だった。

でも、シロは手をつけてくれた。
今までは、見向きもしなかったのに…

シロは相変わらず、まずいっ!といっていたがそれでも全部食べてくれた。

そこから、おれは頑張って料理の腕をあげた。
いつか、シロに美味しいといってもらうために。




「…ぃさ…、兄さんっ!早く食べようよ。」

「あ、あぁ。そうだな。たべるか。」

俺たち2人は向かい合ってすわり、お互いに手を合わせて、

「「いただきますっ。」」

と言った。

今日は自信作のムサカと呼ばれるギリシャ料理だ。
ジャガイモの生地に具材を挟み込んだパイのような料理だ。

おれは取り分けるため、ナイフを入れた。

すると突然、視界が真っ白になったのだった…。

しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

ウッカリ死んだズボラ大魔導士は転生したので、遺した弟子に謝りたい

藤谷 要
恋愛
十六歳の庶民の女の子ミーナ。年頃にもかかわらず家事スキルが壊滅的で浮いた話が全くなかったが、突然大魔導士だった前世の記憶が突然よみがえった。  現世でも資質があったから、同じ道を目指すことにした。前世での弟子——マルクも探したかったから。師匠として最低だったから、彼に会って謝りたかった。死んでから三十年経っていたけど、同じ魔導士ならばきっと探しやすいだろうと考えていた。  魔導士になるために魔導学校の入学試験を受け、無事に合格できた。ところが、校長室に呼び出されて試験結果について問い質され、そこで弟子と再会したけど、彼はミーナが師匠だと信じてくれなかった。 「私のところに彼女の生まれ変わりが来たのは、君で二十五人目です」  なんですってー!?  魔導士最強だけどズボラで不器用なミーナと、彼女に対して恋愛的な期待感ゼロだけど絶対逃す気がないから外堀をひたすら埋めていく弟子マルクのラブコメです。 ※全12万字くらいの作品です。 ※誤字脱字報告ありがとうございます!

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

処理中です...