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第3章
王家の定め6
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「あらためて名乗らせてください。私はクレア・シス・ディーン。この王国の第1王女です。隣にいるのは私の従者、エリスと言います。昨日は、とても助かりました。」
「お礼はいいよ。そっか、クレアは王女だったのか。」
だから仕草に違和感があったんだな。
椅子に座るとき、フォークなどの持ち方、食べる時の静かさ。今考えると、仕草ひとつひとつがそれらを証明していた。
そんなことを考えていると、エリスと言う人が強い口調で言ってきた。
「ソラさんでしたか。知らなかったとはいえ、いささかクレア様に対して失礼ではありまんか。」
エリスは俺の態度が気に入らないのだろう。
クレアが申し訳なさそうにこちらを見てくる。
「そうか、気に入らなかったのなら謝るよ。すまなかった。」
「何もわかってないようですね。座が高いと言っているのです。謝罪をするなら、それなりの言葉で、それなりの態度で示しなさい。」
俺は、久しぶりにカチンっときた。
こんなことは竜と戦ったとき、以来だな。
「クレア、お前が少し傷つくかもしれないから先に謝っておくわ。ごめんな。」
「えっ?」
「なぁ、エリスさん。クレアって俺と何が違うんだ?」
「はぁっ?あなたなんかと一緒にしないでください。クレア様は王位継承権第1位を持つお人です。あなたなんかより遥かに偉い人なのですよ。そんなこともわからないのですか…?」
「へぇ…。で、どこが偉いんだ?」
「は?」
「あなたの言い方だと、王位継承権があるから偉いみたいに聞こえるんだが、あなたの中の偉い人は継承権の有無で決められるのか?」
「い、いえ。そういうわけでは…。そ、そう、クレア様はとてもお優しくて…」
「だから?たしかに優しいことはいいことだし、立派な人だと思うぞ。
なら、あなたは優しい奴隷を偉いと言えるか?
俺の知っている元奴隷は他人のために自分を犠牲にできるくらい優しいやつだぞ。」
「ど、奴隷は自分の命がほしくて、優しくしていたのでしょう。自分を犠牲になんてできるはずありません。元奴隷とクレア様を一緒にしないでください。」
俺はこの世界で感じたことのない怒りを感じた。
気がつくと机を叩き割っていた。
「あんた、そのふざけた思考も大概にしろよっ。
奴隷を物のように見ているなら、今すぐその考えをあらためろ。
王位継承権なんて、ただ親から与えられた権利だ。
優しさなんて大体の人が持ってる。どれだけ優しいかは別としてなぁ。お前の知ってるクレアはたしかに優しいのかもしれない。
ただ、奴隷も王女も俺も、そしてお前だって1人の人間だ。
俺が、知り合って間もない王女にひれ伏す理由を言えよ。
俺の好きな人が今来たばかりのあんたにバカにされなきゃいけない理由を言えよ。
お前の言う偉い人ってどういう人なのか、それを教えろよ。」
あたりは静まり返っていた。
気がつくと、シロ、アリア、セリアも見に来ていて、セリアに関しては涙を溜めていた。
エリスは腰を抜かしているようだが、それでも悔しいのか俺に聞いてきた。
「わ、私の中の偉い人はいいです…。
なら、あなたにとっての偉い人とはどういう人なのですか。」
「そんなの、あそこにいる3人しかいないな。まあ、あとはこの宿のレムさんに、肉屋のザックさんかな。今のところはそれくらいだ。」
俺はシロたちの方を指差した。
「あ、あの方たちにクレア様が劣るのですか?」
「今は、まだな。クレアには悪いが、あそこの人たちの方がクレアよりずっと俺の中では偉大だ。」
「その理由を言ってください。先ほど、私にも理由を聞いてこようとしたのですから、あなたにはあるのでしょう?」
「そんなの決まってんじゃん。俺に笑顔をくれるからだ。」
「そ、そんなのその辺のペテン師にだってできます。」
「…あんた、笑われると、笑わせるの違いってわかるか。」
「なぜ話しを変えてるんですか。そんなの大した違いはないでしょう。」
「全然ちがうっ!わかりやすく言うと、バカにされると笑顔にするってことだ。
あんたはバカにされるクレアがいいのか、それとも人を笑顔にするクレアといたいのか、どっちだ。
いっておくぞ。
王は民を笑顔にしてこその王だ。そんな民の幸せを考えられる王だから民はついていくし、王に尽くそうとしてくれる。
民に笑われる王なんて、ただの愚王でしかない。
だから、俺を笑顔にしてくれるあいつらは何があっても守るし、尽くそうと思えんだ。俺の大切な人をバカにしたんだ。
この意味をよく考えろよ。
あんたにとってのクレアはどうかわからんが、考えをいますぐ改めろ。でないと、クレアは継承権が有っても、立派な王になれない。」
俺が、そこまで言うと周りは納得はしているが、どことなく俺への視線が冷たい。
なんとなく、冷たい理由はわかる。
…やっちゃったなぁ、明らかに言いすぎた…。
エリスは悔しいのか泣いていた。
後ろからシロの呟きが聞こえてきた。
「兄さん、…女性を泣かせたわ。それに、王族関係者に啖呵を切るなんて。王女様はなんか顔が赤いし、…さすが兄さん、…たらしね」
…おいシロ、俺も理解してるから言わなくていいっ。
最後のはよくわからんが…。
(ソラ、私のことをそこまで…。それに、王女と知っても変わらない態度、なんてカッコいいのでしょう。)
「んんっ。これでは本題に入れませんね。ソラ、今日の午後から城に来てくれませんか。門兵に話は通しておきますので…」
「あ、ああ…。」
そういうとクレアはエリスを引きずって帰っていった。
その後、街ではある噂が流れた。
それが料理がうまいという評判だけなら、どれほど良かっただろうか。
その料理の評判よりもさらに大きく広く、ある噂が広かった。
ラパンには
王族も黙る女泣かせがいると…。
新たな称号を獲得
《善王の素質》
「お礼はいいよ。そっか、クレアは王女だったのか。」
だから仕草に違和感があったんだな。
椅子に座るとき、フォークなどの持ち方、食べる時の静かさ。今考えると、仕草ひとつひとつがそれらを証明していた。
そんなことを考えていると、エリスと言う人が強い口調で言ってきた。
「ソラさんでしたか。知らなかったとはいえ、いささかクレア様に対して失礼ではありまんか。」
エリスは俺の態度が気に入らないのだろう。
クレアが申し訳なさそうにこちらを見てくる。
「そうか、気に入らなかったのなら謝るよ。すまなかった。」
「何もわかってないようですね。座が高いと言っているのです。謝罪をするなら、それなりの言葉で、それなりの態度で示しなさい。」
俺は、久しぶりにカチンっときた。
こんなことは竜と戦ったとき、以来だな。
「クレア、お前が少し傷つくかもしれないから先に謝っておくわ。ごめんな。」
「えっ?」
「なぁ、エリスさん。クレアって俺と何が違うんだ?」
「はぁっ?あなたなんかと一緒にしないでください。クレア様は王位継承権第1位を持つお人です。あなたなんかより遥かに偉い人なのですよ。そんなこともわからないのですか…?」
「へぇ…。で、どこが偉いんだ?」
「は?」
「あなたの言い方だと、王位継承権があるから偉いみたいに聞こえるんだが、あなたの中の偉い人は継承権の有無で決められるのか?」
「い、いえ。そういうわけでは…。そ、そう、クレア様はとてもお優しくて…」
「だから?たしかに優しいことはいいことだし、立派な人だと思うぞ。
なら、あなたは優しい奴隷を偉いと言えるか?
俺の知っている元奴隷は他人のために自分を犠牲にできるくらい優しいやつだぞ。」
「ど、奴隷は自分の命がほしくて、優しくしていたのでしょう。自分を犠牲になんてできるはずありません。元奴隷とクレア様を一緒にしないでください。」
俺はこの世界で感じたことのない怒りを感じた。
気がつくと机を叩き割っていた。
「あんた、そのふざけた思考も大概にしろよっ。
奴隷を物のように見ているなら、今すぐその考えをあらためろ。
王位継承権なんて、ただ親から与えられた権利だ。
優しさなんて大体の人が持ってる。どれだけ優しいかは別としてなぁ。お前の知ってるクレアはたしかに優しいのかもしれない。
ただ、奴隷も王女も俺も、そしてお前だって1人の人間だ。
俺が、知り合って間もない王女にひれ伏す理由を言えよ。
俺の好きな人が今来たばかりのあんたにバカにされなきゃいけない理由を言えよ。
お前の言う偉い人ってどういう人なのか、それを教えろよ。」
あたりは静まり返っていた。
気がつくと、シロ、アリア、セリアも見に来ていて、セリアに関しては涙を溜めていた。
エリスは腰を抜かしているようだが、それでも悔しいのか俺に聞いてきた。
「わ、私の中の偉い人はいいです…。
なら、あなたにとっての偉い人とはどういう人なのですか。」
「そんなの、あそこにいる3人しかいないな。まあ、あとはこの宿のレムさんに、肉屋のザックさんかな。今のところはそれくらいだ。」
俺はシロたちの方を指差した。
「あ、あの方たちにクレア様が劣るのですか?」
「今は、まだな。クレアには悪いが、あそこの人たちの方がクレアよりずっと俺の中では偉大だ。」
「その理由を言ってください。先ほど、私にも理由を聞いてこようとしたのですから、あなたにはあるのでしょう?」
「そんなの決まってんじゃん。俺に笑顔をくれるからだ。」
「そ、そんなのその辺のペテン師にだってできます。」
「…あんた、笑われると、笑わせるの違いってわかるか。」
「なぜ話しを変えてるんですか。そんなの大した違いはないでしょう。」
「全然ちがうっ!わかりやすく言うと、バカにされると笑顔にするってことだ。
あんたはバカにされるクレアがいいのか、それとも人を笑顔にするクレアといたいのか、どっちだ。
いっておくぞ。
王は民を笑顔にしてこその王だ。そんな民の幸せを考えられる王だから民はついていくし、王に尽くそうとしてくれる。
民に笑われる王なんて、ただの愚王でしかない。
だから、俺を笑顔にしてくれるあいつらは何があっても守るし、尽くそうと思えんだ。俺の大切な人をバカにしたんだ。
この意味をよく考えろよ。
あんたにとってのクレアはどうかわからんが、考えをいますぐ改めろ。でないと、クレアは継承権が有っても、立派な王になれない。」
俺が、そこまで言うと周りは納得はしているが、どことなく俺への視線が冷たい。
なんとなく、冷たい理由はわかる。
…やっちゃったなぁ、明らかに言いすぎた…。
エリスは悔しいのか泣いていた。
後ろからシロの呟きが聞こえてきた。
「兄さん、…女性を泣かせたわ。それに、王族関係者に啖呵を切るなんて。王女様はなんか顔が赤いし、…さすが兄さん、…たらしね」
…おいシロ、俺も理解してるから言わなくていいっ。
最後のはよくわからんが…。
(ソラ、私のことをそこまで…。それに、王女と知っても変わらない態度、なんてカッコいいのでしょう。)
「んんっ。これでは本題に入れませんね。ソラ、今日の午後から城に来てくれませんか。門兵に話は通しておきますので…」
「あ、ああ…。」
そういうとクレアはエリスを引きずって帰っていった。
その後、街ではある噂が流れた。
それが料理がうまいという評判だけなら、どれほど良かっただろうか。
その料理の評判よりもさらに大きく広く、ある噂が広かった。
ラパンには
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