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第1章
6 俺じゃ、だめなのに
陽は目を覚まし、ゆっくりと体を起こす。
「蓮…?」
立ち上がろうとしたその時、ふと何かに気付いた様子だった。
バスローブ姿の自分。そして、自分のいる乱れたベッド。
陽はその場で、固まった。
ーーヒートのこと、思い出したんだな。
そのまましばらく俯いたあと、何も言わなかった。
やがて、ぽろぽろ涙をこぼす。
「巻き込んで、ごめん。…ごめん。」
弱弱しい声に、俺の胸も締め付けられる。
ーーやっぱり、俺となんて…嫌だったのかもしれない。
ただの幼馴染。
その現実を、突きつけられた気がした。
俺は小さく息をついて、陽に歩み寄る。
出来るだけ陽に優しく。
そう思って、しゃがみ込み、陽を見上げた。
「陽は悪くない。俺が、連れてきたんだ…」
俺が、陽を好きだからー誰にも、任せたくなかったから。
でも、陽はーー
陽は小さく首を振った。
涙は止まらない。
その時、スマホが鳴った。
「蓮、大丈夫?陽君のご両親にも話したら、一緒に行くことになって…もう向かってるから。ロビーで待つから、早く準備してね。」
「わかった…。じゃあ、ロビーで。」
「陽、ごめん。着替えて、家に帰ろう?もうすぐ、親が迎えに来るから。」
陽は涙を拭い、小さく頷く。
「制服、取ってくるから。待ってて。」
陽が静かにベッドから足を下ろす。
俺が制服を取りに行こうとした、その瞬間ーー
ガタッ
「…っ」
振り返ると、陽が床にしゃがみ込んでいた。
俺は慌てて駆け寄る。陽も戸惑った表情を浮かべている。
「陽、大丈夫?」
「…立てない」
「え?」
「足に、力が、入らない…」
2人の間に一瞬の沈黙が流れた。
「それは…ごめん。ベッドに上げるから、俺の腕掴んで。」
ーー俺のせいだ。
少しだけ手伝って、陽の支度を済ませた。
途中、陽がネックガードに気付く。
「蓮、外せる?」
そう聞かれたが、これは一度付けると外せない。
フロントに行って、専用の鍵で外してもらうしか方法は無い。
ネックガードのそばに置かれていた注意書きに、そう書かれていた。
陽は少しだけ、落ち込んだような顔をした。
「すぐに外せるから、大丈夫。」
そう言って、肩を貸す。
フロントまでは、ゆっくり歩いた。
そこで、陽はネックガードを外してもらう。
その時――
「蓮!」「陽!」
振り返ると、俺と陽、それぞれの両親がこちらに向かって歩いてくるところだった。
「蓮…?」
立ち上がろうとしたその時、ふと何かに気付いた様子だった。
バスローブ姿の自分。そして、自分のいる乱れたベッド。
陽はその場で、固まった。
ーーヒートのこと、思い出したんだな。
そのまましばらく俯いたあと、何も言わなかった。
やがて、ぽろぽろ涙をこぼす。
「巻き込んで、ごめん。…ごめん。」
弱弱しい声に、俺の胸も締め付けられる。
ーーやっぱり、俺となんて…嫌だったのかもしれない。
ただの幼馴染。
その現実を、突きつけられた気がした。
俺は小さく息をついて、陽に歩み寄る。
出来るだけ陽に優しく。
そう思って、しゃがみ込み、陽を見上げた。
「陽は悪くない。俺が、連れてきたんだ…」
俺が、陽を好きだからー誰にも、任せたくなかったから。
でも、陽はーー
陽は小さく首を振った。
涙は止まらない。
その時、スマホが鳴った。
「蓮、大丈夫?陽君のご両親にも話したら、一緒に行くことになって…もう向かってるから。ロビーで待つから、早く準備してね。」
「わかった…。じゃあ、ロビーで。」
「陽、ごめん。着替えて、家に帰ろう?もうすぐ、親が迎えに来るから。」
陽は涙を拭い、小さく頷く。
「制服、取ってくるから。待ってて。」
陽が静かにベッドから足を下ろす。
俺が制服を取りに行こうとした、その瞬間ーー
ガタッ
「…っ」
振り返ると、陽が床にしゃがみ込んでいた。
俺は慌てて駆け寄る。陽も戸惑った表情を浮かべている。
「陽、大丈夫?」
「…立てない」
「え?」
「足に、力が、入らない…」
2人の間に一瞬の沈黙が流れた。
「それは…ごめん。ベッドに上げるから、俺の腕掴んで。」
ーー俺のせいだ。
少しだけ手伝って、陽の支度を済ませた。
途中、陽がネックガードに気付く。
「蓮、外せる?」
そう聞かれたが、これは一度付けると外せない。
フロントに行って、専用の鍵で外してもらうしか方法は無い。
ネックガードのそばに置かれていた注意書きに、そう書かれていた。
陽は少しだけ、落ち込んだような顔をした。
「すぐに外せるから、大丈夫。」
そう言って、肩を貸す。
フロントまでは、ゆっくり歩いた。
そこで、陽はネックガードを外してもらう。
その時――
「蓮!」「陽!」
振り返ると、俺と陽、それぞれの両親がこちらに向かって歩いてくるところだった。
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