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目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
ふかふかの枕から香る、レオンの匂い。
そうか、ここはレオンのベッドで……。
はっ……!
俺、さっき、2人にすごいことされてたよな。
途中からもう、何が何だか分からなかったけど。
確か、二人で張り合っていたような……。
その時、隣の部屋から声がした。
どうやらレオンと殿下が話しているらしい。
俺はそっと、ドアに耳をあてた。
「偶然知り合ったんだから、仕方ないだろう?」
「本当に偶然なのか、怪しいものです」
レオンの声は低く、刺すようだった。
「ひどいな。俺だって、君に幼なじみのことは聞いてたから、
手を出さないようにしてたんだ。
でも、あの子は最初、名前を名乗らなかったから」
「でしたら、ルカかもしれないと思ってください。」
「無茶言わないでくれ。それに、ルカも私を知らない様子だったし」
「知らないはずないでしょう。きっと、言えなかっただけです」
「そんなこと、今さら言われても困るな」
殿下の声がわずかに笑みを含む。
「もう、ルカを好きになってしまったんだから」
「あなたは、どうしてそう軽いんですか!?
とにかく、ルカは諦めてください。
何度もお伝えしてきたはずです。私は幼なじみのルカが好きだと」
え……、好き……?
キィ……。
あ、まずい。
ドアを開けてしまった。驚いた顔のレオンと、微笑む殿下が同時にこちらを見る。
扉に耳を当てていただけなのに、いつのまにか、ドアノブを握っていたみたいだ。
「あ、その……ご、ごめん。俺、起きて、その――」
「体は大丈夫か? すまない、無理をさせすぎた」
すぐにレオンが駆け寄って来て、俺の手を取った。
さっきレオンが「俺を好き」と言ったのを思い出して、顔が熱くなる。
レオンが…俺を?
レオンは俺の表情を見て目を見開いた。
急に恥ずかしくなり、俺は視線を逸らす。
今までのレオンを思い出す。
もしかして、今まで俺を助けてくれていたのは、……好きだから?
「レオン、殿下じゃなくて……俺を好き、なの?」
「聞いてたのか。そうだ、俺は……ルカが好きだ。
何か、勘違いしてると思ったが。
俺が殿下に恋愛感情を抱いたことは、一度もない」
「そうなの? ……ごめん、俺まだ頭の中が整理できなくて」
レオンと殿下は付き合っていなかった。
じゃあ、殿下もレオンのことは何とも思ってない?
「今は、それで良い。これからルカが分かるように、伝えていくから」
レオンがそっと抱きしめてくる。
その腕の中で、俺の心臓はドクドクとうるさいほど鳴った。
「ルカ、俺も君のことが好きだよ?」
今度は殿下が近づいてきて、俺からレオンをそっと引きはがす。
俺の手を取って、その甲に口づけた。殿下の背後に、薔薇が舞って見える。
……推し脳は健在だった。
「あなたは婚約者がいるでしょう」
レオンが殿下の手から、俺の手を取り戻す。
「レオンにだっているじゃないか?」
「勝手に親が決めた相手です。俺は断るつもりだと親にも話してます」
「私の婚約者も同じようなものだ。気持ちが無いことは相手も了承している。
だから、好きな相手が見つかれば、一緒になって良いと言われている。
外部には秘密だけどね」
「ルカ、俺は殿下とは違う。ルカ以外にはいない。……愛している」
レオンが俺の指と自分の指を絡めて、真っ直ぐな声で告げる。
お前、そんな愛を囁くキャラだったか?
俺の心臓は鳴りやむ気配を見せなかった。
「俺もそうだよ」
殿下も俺を好きなんて…。
俺は殿下の目をじっと見つめた。
本当に……?
殿下が微笑み、そっと顔を近づける。
キス、される……そう思った瞬間。
咄嗟にレオンが俺の腕を引き、唇が触れる寸前で遮った。
「殿下。ルカはまだ整理できないと言っているでしょう。
そういうことは、おやめください」
「そりゃ、レオンはさっきルカの体を触りながら散々キスしてたんだから、良いよな。
俺は、まだ一回もしてないんだけど?」
殿下の言葉に、レオンは「うっ」と喉を詰まらせる。
「ルカ、レオンは誤解されてるのをいいことに、君の体を好き放題してたんだからね。
あんまり信用しすぎるのも良くないよ?」
た、確かに……!
俺はレオンの顔をちらりと見る。
わかりやすく動揺していた。
「あ、あれは! その……すまなかったと思ってる。
ルカに触れられると思ったら……我慢できなかった」
真面目なレオンが「我慢できない」なんて。
しかも、それが「俺に触れたい」っていう理由で?
「堅物のレオンも男だったってことだね。
俺には散々注意してたくせに」
「殿下は羽目を外しすぎです。
来るもの拒まずで、複数と関係を持って……。
嫉妬で殿下に危害を加えようとする生徒を取り押さえる、こちらの身にもなってください」
「そんなこと、あったかな。俺は皆に同じように接してただけどね。
でも、これからはルカだけにするよ。
ルカ、私と付き合って欲しい」
やっぱり殿下は天然の人たらしだったんだ。
レオンの口から聞かされた話に驚くのに、突然の告白に、心臓を射抜かれる。
殿下の顔でそんなこと言われたら…思わず「はい」と返してしまいそうだ。
「殿下!」
レオンが俺を抱きしめて、視界をふさいだ。
「殿下、今日はもうお引き取り下さい。
ルカも、家まで送る」
「う、うん……」
レオンが俺の手を引いて、ドアへ向かう。
後ろの殿下から、声を掛けられる。
「またね、ルカ」
「は、はい。また明日」
俺は、レオンに腕を引かれながら、殿下にぺこりと頭を下げた。
レオンの温もりを握ったまま、俺は心臓の音をごまかすように歩く。
色んなことがありすぎて、翌日俺は熱を出した。
まだ俺は告白の返事をどうするのか、決められていない。
きっと、俺はこれからも波乱とときめきに振り回されるんだろう。
でも、どちらを選ぶにしても、その先に待つ未来は、幸せに繋がっている気がした。
ふかふかの枕から香る、レオンの匂い。
そうか、ここはレオンのベッドで……。
はっ……!
俺、さっき、2人にすごいことされてたよな。
途中からもう、何が何だか分からなかったけど。
確か、二人で張り合っていたような……。
その時、隣の部屋から声がした。
どうやらレオンと殿下が話しているらしい。
俺はそっと、ドアに耳をあてた。
「偶然知り合ったんだから、仕方ないだろう?」
「本当に偶然なのか、怪しいものです」
レオンの声は低く、刺すようだった。
「ひどいな。俺だって、君に幼なじみのことは聞いてたから、
手を出さないようにしてたんだ。
でも、あの子は最初、名前を名乗らなかったから」
「でしたら、ルカかもしれないと思ってください。」
「無茶言わないでくれ。それに、ルカも私を知らない様子だったし」
「知らないはずないでしょう。きっと、言えなかっただけです」
「そんなこと、今さら言われても困るな」
殿下の声がわずかに笑みを含む。
「もう、ルカを好きになってしまったんだから」
「あなたは、どうしてそう軽いんですか!?
とにかく、ルカは諦めてください。
何度もお伝えしてきたはずです。私は幼なじみのルカが好きだと」
え……、好き……?
キィ……。
あ、まずい。
ドアを開けてしまった。驚いた顔のレオンと、微笑む殿下が同時にこちらを見る。
扉に耳を当てていただけなのに、いつのまにか、ドアノブを握っていたみたいだ。
「あ、その……ご、ごめん。俺、起きて、その――」
「体は大丈夫か? すまない、無理をさせすぎた」
すぐにレオンが駆け寄って来て、俺の手を取った。
さっきレオンが「俺を好き」と言ったのを思い出して、顔が熱くなる。
レオンが…俺を?
レオンは俺の表情を見て目を見開いた。
急に恥ずかしくなり、俺は視線を逸らす。
今までのレオンを思い出す。
もしかして、今まで俺を助けてくれていたのは、……好きだから?
「レオン、殿下じゃなくて……俺を好き、なの?」
「聞いてたのか。そうだ、俺は……ルカが好きだ。
何か、勘違いしてると思ったが。
俺が殿下に恋愛感情を抱いたことは、一度もない」
「そうなの? ……ごめん、俺まだ頭の中が整理できなくて」
レオンと殿下は付き合っていなかった。
じゃあ、殿下もレオンのことは何とも思ってない?
「今は、それで良い。これからルカが分かるように、伝えていくから」
レオンがそっと抱きしめてくる。
その腕の中で、俺の心臓はドクドクとうるさいほど鳴った。
「ルカ、俺も君のことが好きだよ?」
今度は殿下が近づいてきて、俺からレオンをそっと引きはがす。
俺の手を取って、その甲に口づけた。殿下の背後に、薔薇が舞って見える。
……推し脳は健在だった。
「あなたは婚約者がいるでしょう」
レオンが殿下の手から、俺の手を取り戻す。
「レオンにだっているじゃないか?」
「勝手に親が決めた相手です。俺は断るつもりだと親にも話してます」
「私の婚約者も同じようなものだ。気持ちが無いことは相手も了承している。
だから、好きな相手が見つかれば、一緒になって良いと言われている。
外部には秘密だけどね」
「ルカ、俺は殿下とは違う。ルカ以外にはいない。……愛している」
レオンが俺の指と自分の指を絡めて、真っ直ぐな声で告げる。
お前、そんな愛を囁くキャラだったか?
俺の心臓は鳴りやむ気配を見せなかった。
「俺もそうだよ」
殿下も俺を好きなんて…。
俺は殿下の目をじっと見つめた。
本当に……?
殿下が微笑み、そっと顔を近づける。
キス、される……そう思った瞬間。
咄嗟にレオンが俺の腕を引き、唇が触れる寸前で遮った。
「殿下。ルカはまだ整理できないと言っているでしょう。
そういうことは、おやめください」
「そりゃ、レオンはさっきルカの体を触りながら散々キスしてたんだから、良いよな。
俺は、まだ一回もしてないんだけど?」
殿下の言葉に、レオンは「うっ」と喉を詰まらせる。
「ルカ、レオンは誤解されてるのをいいことに、君の体を好き放題してたんだからね。
あんまり信用しすぎるのも良くないよ?」
た、確かに……!
俺はレオンの顔をちらりと見る。
わかりやすく動揺していた。
「あ、あれは! その……すまなかったと思ってる。
ルカに触れられると思ったら……我慢できなかった」
真面目なレオンが「我慢できない」なんて。
しかも、それが「俺に触れたい」っていう理由で?
「堅物のレオンも男だったってことだね。
俺には散々注意してたくせに」
「殿下は羽目を外しすぎです。
来るもの拒まずで、複数と関係を持って……。
嫉妬で殿下に危害を加えようとする生徒を取り押さえる、こちらの身にもなってください」
「そんなこと、あったかな。俺は皆に同じように接してただけどね。
でも、これからはルカだけにするよ。
ルカ、私と付き合って欲しい」
やっぱり殿下は天然の人たらしだったんだ。
レオンの口から聞かされた話に驚くのに、突然の告白に、心臓を射抜かれる。
殿下の顔でそんなこと言われたら…思わず「はい」と返してしまいそうだ。
「殿下!」
レオンが俺を抱きしめて、視界をふさいだ。
「殿下、今日はもうお引き取り下さい。
ルカも、家まで送る」
「う、うん……」
レオンが俺の手を引いて、ドアへ向かう。
後ろの殿下から、声を掛けられる。
「またね、ルカ」
「は、はい。また明日」
俺は、レオンに腕を引かれながら、殿下にぺこりと頭を下げた。
レオンの温もりを握ったまま、俺は心臓の音をごまかすように歩く。
色んなことがありすぎて、翌日俺は熱を出した。
まだ俺は告白の返事をどうするのか、決められていない。
きっと、俺はこれからも波乱とときめきに振り回されるんだろう。
でも、どちらを選ぶにしても、その先に待つ未来は、幸せに繋がっている気がした。
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