甘美なる隷属

燻る炎と日常の仮面

REIKAエンタープライズの日常は、凜香が「特別会議室」で目撃した衝撃的な光景の後、まるで何事もなかったかのように続いていた。麗子はいつも通り、凜香や秘書課の他の社員に対しては厳格だが優雅で優しい態度で接し、陽翔に対しては些細なミスにも過剰に厳しく叱責していた。陽翔は首に隠された黒革の首輪と股間の「Heaven and Hell」の締め付けを意識しながら、麗子の命令に従い「社長室付き特別アシスタント」としての「偽りの自分」を演じ続けていた。凜香は、麗子の変わらぬ態度と日常の業務に拍子抜けしながら、内心で疑問を抱いていた。

(あの「特別会議室」の光景…本当に現実だったの? 夢だったんじゃない…?)

麗子の指導の下、凜香は社長室に近い特別プロジェクトを担当し、仕事にますます没頭していた。麗子は凜香の知性と自信を賞賛し、彼女の成長を促すように振る舞った。「凜香、今日のプレゼン資料、素晴らしいわ。あなたには私の期待以上の素質がある。」麗子の言葉は温かく、指導者としてのカリスマに満ちていた。凜香は麗子の称賛に笑顔で応えながらも、あの日の陽翔の鞭痕だらけの姿、麗子の圧倒的な支配力、九尾鞭を振るった自分の手による静かな興奮を思い出し、心がざわついた。

陽翔とのやりとりも、表面上は普通だった。会議室で書類を渡す際、陽翔はぎこちなく微笑み、「凜香、いつも助かるよ」と呟いたが、彼の目はどこか怯え、麗子の視線を意識しているようだった。凜香は陽翔の不自然な態度に、大学時代の活気ある彼とのギャップを改めて感じ、

(陽翔…あの日、あなたが言ったこと…本当だったの?)

と疑問を深めた。しかし、麗子も陽翔も「あの日」のことを一切口にせず、凜香はあの光景が現実だったのか、夢だったのか、確信が持てずにいた。

それでも、凜香の心と身体の奥底には、あの日の言いようのない興奮の記憶が確実に残っていた。麗子の有無を言わさぬ支配力、陽翔の絶対的な服従、鞭を振るった瞬間の陽翔の感嘆の声――それらが、凜香の内に仄かな炎を燻らせ続けていた。夜、ベッドの中で目を閉じると、麗子の冷たい笑みや陽翔の喘ぎ声が蘇り、彼女の身体を熱くした。

(なぜ…あの感覚が忘れられないの…?)

凜香の理性は抵抗したが、彼女の内に眠る支配者の素質が静かに燃え続けていた。

麗子は凜香の微妙な変化を見逃さなかった。会議中、凜香が陽翔を見る瞬間の瞳の輝き、わずかに紅潮する頬――それらは、凜香の支配欲が目覚めつつある証だった。麗子は陽翔を社長室に呼び、冷たく微笑んだ。「陽翔、凜香の視線、感じるわよね? 彼女、お前の惨めな姿に惹かれ始めてるわ。」麗子は「Heaven and Hell」を苦痛モードで操作し、陽翔の局部に鋭い痛みを走らせた。「うっ…!」陽翔は震えながら答えた。「はい…麗子様…僕の全ては…あなたのもの…。」

(完璧よ、凜香。)

麗子は内心でほくそ笑んだ。

(あなたの心に火をつけたわ。陽翔の奴隷心をさらに深めながら、あなたの支配者としての素質をゆっくり引き出してあげる。)

日常の仮面の下で、麗子の策略は静かに進行していた。凜香の心に燻る炎は、麗子の次の計画によってさらに燃え上がるのを待っていた。