41 / 148
【第一章】青い地球
第四十一話……男爵叙任と観艦式♪
しおりを挟む
宇宙港のドックに係留されたハンニバルは、増設装甲を再び取り付ける段階だった。
この世界の人類は、電磁障壁や重力シールドといった防御手段を持っているが、結局のところ最後は目に見える装甲が頼りだった。
カッコイイ一体型の装甲が憧れだが、いまは増設や交換が便利なモジュール装甲を採用していた。
安易に空間装甲を自由に作ることも魅力だった。
なかなかに見栄えと機能の両方をローコストで兼ねそなえるのは難しかったのだ。
被弾して取り替えた装甲モジュールに手を合わせる。
無機質なものへの感謝の態度は不思議に思う人が多いかもしれないが、確かに私の代わりに壊れてくれたのは間違いなかった……。
大型ミサイルが皆の居住区に炸裂したかと思うと、今でも身の毛がよだつのだ。
☆★☆★☆
蛮王様に呼び出され、惑星リーリヤに降り立つ私。
きれいな格好をしてこいと言われたので、紳士服屋にはいる。
お前は一枚くらいは持ってないのかと言われそうだが、今日はタヌキとクマの分だ。
「キツイぽこ!」
「こんなのいらないクマ!」
二人とも我儘を言っていたが、美味しいご飯が食べられるからと言って聞かせた。
これで美味しいご飯が出なければ、逆に私がキビシク教育されてしまう……(;’∀’)
……実は今日は私の任命式だった。
私の幕僚である彼等も出席するのだ。
「ヴェロヴェマ様ですね、どうぞこちらへ」
幸運なことに会場はホテルだった。
テーブルの上には、肉や寿司などの上等なご馳走が並ぶ……。
「励めよ!」
「はっ!」
蛮王様から頂いたのは男爵への叙任だった。
なにが有難いのかと聞かれると、帝国からの俸給が貰える。
帝国では侯爵や伯爵だと一星系、子爵だと有人惑星一つくらいの支配が許されるらしい。
蛮王様は実際には侯爵や伯爵クラスの辺境王爵だ。
「では、新たに帝国男爵におなりのヴェロヴェマ様より、ご挨拶頂きます!」
Σ( ̄□ ̄|||) ま……まてよ!?
「ほ……本日は御日柄も宜しく……えとえと、……」
……ワハハハ。
会場は確かに和んだ。
……しかし、流石に凹んだ。
カンペなしの挨拶とか、もの凄く大変だった。
たまに会社でも偉い人って即興で挨拶するもんな。てか、いまや自分がお偉いさんだよな……。
爵位持ちになったから、もしかして今日から閣下と呼ばわれるのか?
爵位持ちになったことで、衛星アトラスと衛星ガイアは正式に私の物となった。
一応ヴェロヴェマ男爵領である。
カッコイイやら恥ずかしいやら……。
「……でな、というか話を聞いているか?」
「あ、すいません」
蛮王様と大きなテーブルを囲む。
ただ猛然と食っているだけのタヌキとクマが羨ましい……。
こちらは緊張で食べ物の味がしない。
「……でな、お前に我がエールパ星系の艦隊司令を務めてもらう」
「おめでとうございますわ!」
「おめでとうニャ♪」
女性陣の好感度は上がったみたいだが、懸念はあった。
「星系提督は准将以上が担当では……?」
「まぁ、今は代行って感じで頼むわ」
蛮王様は歯に物が挟まった物言いだった。
カリバーン帝国の将官になるには、帝国軍の大学校を経なければなりにくい。
所謂、学閥というやつだ。
星系の担当提督は皆が欲しがる席だ。
蛮王様の推薦で、ごり押しで私ってとこだよな。
「まぁ、頼むわ、ワシも中央からの知らない奴に任せたくないのだよ……」
「はっ! 謹んでお受けします!」
後日、私は正式に代行なれども艦隊司令に就任した。
まさに、提督として就任した日だった。
……代行だけれども、嬉しいね。
☆★☆★☆
2週間後。
惑星リーリヤの港湾でエールパ星系艦隊の観艦式を行った。
新たに惑星リーリヤで建造された艦船も揃う。
エールパ星系艦隊旗艦・装甲戦艦ハンニバル
以下、
〇星系航行戦闘艦≪エルゴ機関搭載艦≫
攻撃型軽巡洋艦・オムライス
突撃型重巡洋艦・ジンギスカン
〇通常航行戦闘艦≪核融合炉搭載艦≫
戦艦……2隻
巡洋艦……4隻
駆逐艦……6隻
ミサイル艦……6隻
惑星揚陸艦……2隻
中型輸送艦……4隻
……計27隻。
どんどんぱふぱふ~♪
雲一つない青空の下、整然と海上を航行。
昼間だが花火が上がり、航空隊がアクロバット飛行を行う。
軍楽隊も華々しく演奏を行った。
多数の観衆が詰めかけ、出店もでて大いににぎわった。
お試し乗船コーナーが一番人気だった。
外はお祭りムードであったのだが……。
実は、ハンニバルの艦内はエネルギー増幅装置の取り付け突貫作業中であった。
「忙しいクマ!!」
整備班長以下、機械油まみれで作業中でした。
……整備の方、いつもありがとうです。
☆★☆★☆
【エールパ星系艦隊・要職一覧】
〇司令官代行
・ヴェロヴェマ大佐
〇幕僚
主任参謀・兼副官
・クリームヒルト大尉
砲術参謀
・ポコリーヌ中尉
情報参謀
・マルガレーテ客員中尉
陸戦参謀
・バフォメット大尉
技術参謀
・熊五郎准尉
〇特別顧問
・シャルンホルスト退役中将
この世界の人類は、電磁障壁や重力シールドといった防御手段を持っているが、結局のところ最後は目に見える装甲が頼りだった。
カッコイイ一体型の装甲が憧れだが、いまは増設や交換が便利なモジュール装甲を採用していた。
安易に空間装甲を自由に作ることも魅力だった。
なかなかに見栄えと機能の両方をローコストで兼ねそなえるのは難しかったのだ。
被弾して取り替えた装甲モジュールに手を合わせる。
無機質なものへの感謝の態度は不思議に思う人が多いかもしれないが、確かに私の代わりに壊れてくれたのは間違いなかった……。
大型ミサイルが皆の居住区に炸裂したかと思うと、今でも身の毛がよだつのだ。
☆★☆★☆
蛮王様に呼び出され、惑星リーリヤに降り立つ私。
きれいな格好をしてこいと言われたので、紳士服屋にはいる。
お前は一枚くらいは持ってないのかと言われそうだが、今日はタヌキとクマの分だ。
「キツイぽこ!」
「こんなのいらないクマ!」
二人とも我儘を言っていたが、美味しいご飯が食べられるからと言って聞かせた。
これで美味しいご飯が出なければ、逆に私がキビシク教育されてしまう……(;’∀’)
……実は今日は私の任命式だった。
私の幕僚である彼等も出席するのだ。
「ヴェロヴェマ様ですね、どうぞこちらへ」
幸運なことに会場はホテルだった。
テーブルの上には、肉や寿司などの上等なご馳走が並ぶ……。
「励めよ!」
「はっ!」
蛮王様から頂いたのは男爵への叙任だった。
なにが有難いのかと聞かれると、帝国からの俸給が貰える。
帝国では侯爵や伯爵だと一星系、子爵だと有人惑星一つくらいの支配が許されるらしい。
蛮王様は実際には侯爵や伯爵クラスの辺境王爵だ。
「では、新たに帝国男爵におなりのヴェロヴェマ様より、ご挨拶頂きます!」
Σ( ̄□ ̄|||) ま……まてよ!?
「ほ……本日は御日柄も宜しく……えとえと、……」
……ワハハハ。
会場は確かに和んだ。
……しかし、流石に凹んだ。
カンペなしの挨拶とか、もの凄く大変だった。
たまに会社でも偉い人って即興で挨拶するもんな。てか、いまや自分がお偉いさんだよな……。
爵位持ちになったから、もしかして今日から閣下と呼ばわれるのか?
爵位持ちになったことで、衛星アトラスと衛星ガイアは正式に私の物となった。
一応ヴェロヴェマ男爵領である。
カッコイイやら恥ずかしいやら……。
「……でな、というか話を聞いているか?」
「あ、すいません」
蛮王様と大きなテーブルを囲む。
ただ猛然と食っているだけのタヌキとクマが羨ましい……。
こちらは緊張で食べ物の味がしない。
「……でな、お前に我がエールパ星系の艦隊司令を務めてもらう」
「おめでとうございますわ!」
「おめでとうニャ♪」
女性陣の好感度は上がったみたいだが、懸念はあった。
「星系提督は准将以上が担当では……?」
「まぁ、今は代行って感じで頼むわ」
蛮王様は歯に物が挟まった物言いだった。
カリバーン帝国の将官になるには、帝国軍の大学校を経なければなりにくい。
所謂、学閥というやつだ。
星系の担当提督は皆が欲しがる席だ。
蛮王様の推薦で、ごり押しで私ってとこだよな。
「まぁ、頼むわ、ワシも中央からの知らない奴に任せたくないのだよ……」
「はっ! 謹んでお受けします!」
後日、私は正式に代行なれども艦隊司令に就任した。
まさに、提督として就任した日だった。
……代行だけれども、嬉しいね。
☆★☆★☆
2週間後。
惑星リーリヤの港湾でエールパ星系艦隊の観艦式を行った。
新たに惑星リーリヤで建造された艦船も揃う。
エールパ星系艦隊旗艦・装甲戦艦ハンニバル
以下、
〇星系航行戦闘艦≪エルゴ機関搭載艦≫
攻撃型軽巡洋艦・オムライス
突撃型重巡洋艦・ジンギスカン
〇通常航行戦闘艦≪核融合炉搭載艦≫
戦艦……2隻
巡洋艦……4隻
駆逐艦……6隻
ミサイル艦……6隻
惑星揚陸艦……2隻
中型輸送艦……4隻
……計27隻。
どんどんぱふぱふ~♪
雲一つない青空の下、整然と海上を航行。
昼間だが花火が上がり、航空隊がアクロバット飛行を行う。
軍楽隊も華々しく演奏を行った。
多数の観衆が詰めかけ、出店もでて大いににぎわった。
お試し乗船コーナーが一番人気だった。
外はお祭りムードであったのだが……。
実は、ハンニバルの艦内はエネルギー増幅装置の取り付け突貫作業中であった。
「忙しいクマ!!」
整備班長以下、機械油まみれで作業中でした。
……整備の方、いつもありがとうです。
☆★☆★☆
【エールパ星系艦隊・要職一覧】
〇司令官代行
・ヴェロヴェマ大佐
〇幕僚
主任参謀・兼副官
・クリームヒルト大尉
砲術参謀
・ポコリーヌ中尉
情報参謀
・マルガレーテ客員中尉
陸戦参謀
・バフォメット大尉
技術参謀
・熊五郎准尉
〇特別顧問
・シャルンホルスト退役中将
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる