陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――

黒鯛の刺身♪

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第二十二話……甲越同盟

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――天正七年(1579年)



 景勝は正式に上杉家の当主となる。

 同時に勝頼の妹である菊姫を正室に迎え、長年の宿敵であった武田と上杉は正式に同盟関係となった。



 景勝は約束を守り、東上野の地と越中の一部を勝頼に割譲。

 黄金一万両も支払った。



 勝頼は割譲された土地を家臣に分配。

 黄金は長篠で散った勇士たちへの補償に充てた。



 上野国(群馬県)の東部の支配と、越中国(富山県)の一部、信濃国(長野県)北部の完全支配を新たに得たことにより、武田家の版図は信玄の時代よりさらに拡大。



 ここに勝頼は武田歴代の最大版図を築いたのであった。





 ……しかし、この間。

 最後の武田四名臣、高坂昌信が病没。



 北条氏政は徳川家康と結び、武田と敵対した。

 この後、伊豆沖で武田水軍と北条水軍が、海上でも戦う展開となっていく。



 さらに、徳川軍と遠江国(静岡県西部)で交戦。

 高天神城や諏訪原城などで、激しい攻防戦を演じた。



 ……しかし、この時。

 織田勢は徳川の援軍に現れなかった。





「勝頼様、ここは織田殿と講和するのも一手ですぞ!」



「……ふむう」



 上杉家は相続における騒乱の影響で、とても武田を助ける状態にはない。



 それとは別に、少し前。

 織田信長は勝頼に講和の打診をしてきていたのだ。



 これを再考すべきとの家臣の提言に、勝頼は肯定の方針をとったのだった。





「……北条との二正面作戦はとれぬ! 信長殿に使者を出せ!」



 長篠の遺恨より、現実を考えべきとの武田家の外交方針の転換だった。



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