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フレイムちゃんのグルメ紀行~南瓜の煮もの~♪

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 私はフレイム。



 自称グルメであり、ご近所さんから『中の上の舌を持つ』の二つ名で呼ばれている。



 私の仕事は電話番兼事務員…。





 ──ザーっと音をたてる砂嵐がTVに流れる。



「ふれい~むや~」

 階段の下から祖母の声がする。



「はあい~」



 私は両親の家を巣立ち、都会で就職をして一人暮らしをしていたが、なんだか寂しくなって戻ってきた。

いまはおばあちゃんの家の二階に下宿をしている。





 ──いそいで階段を降りる。



「どうしたの?」



 祖母は台所で、小さな体を拡げた新聞紙の上にうずくまっているように見えた。





「はい。」

「は~ぃ。」



 「はい。」と後ろ手に渡されたのは白髪染め。右手に持ち替えゆっくりと白くなった頭頂部を黒くそめる。



 小さいころからやっているので、特に何も思わない時間。



 このあと、お風呂での洗髪を手伝う。





 ──お風呂上りに唐突にきかれた。

「どうしたんだい?」



 『!?』 『ばれた??」 ……心臓が驚き、そして一時遅れて汗がにじむ。





「はいよ」



 ──おばあちゃんはいつも察しが悪い。



 でてきたのは南瓜の煮ものだ。

 お腹が減ったのだと思われたのだろう。



 ……ちいさいころあまり好きではなかった。



 ……だけど今はおいしいのはなぜ?



 ……とてもおいしい。──茶色みがかった南瓜の煮もの。





 私のホホに涙が流れる。



「どうしたの?」

「おいしい」



「そう?」

「ごめん、やっぱり今日のはイマイチ……。」



 私はウソをつくのをやめた。



 ……。



 …………。



「あっはっは。へぇ……あのウメコちゃんに彼氏ができたの。で、あんたは最近元気がないわけか? しゃっしゃしゃ。」



 おばあちゃんはさらに大声で笑った。



 わたしは……やっぱりこうかい、したかもしれない。



 でも、なんだかこころが軽くなった。



 明日も元気に会社に行けそう!



 おばあちゃんありがとう。今夜は私が南瓜の煮ものをつくるね。
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