88 / 183
第二章
36 side凱
しおりを挟む
薫をフカフカのベッドに寝かせて、部屋を暖かくする。聞くところによると、ここは薫の部屋らしい。家具が薫らしいシンプルな感じだ。
「で?どうして医者は呼ばなくてもいいんだ?」
暖が尋ねる。ちなみにさっき名前を聞いた。
「それは、薫がなぜこの国に来ることになったのかが関係しているんだ」
「そういえば、本当は第五王子がいらっしゃる予定でしたね。しかし、直前で変更されたのを覚えています」
「あぁ、薫が選ばれたのは本当に急だったんだ」
そして俺は、どうして薫が来ることになったのかを、詳しく伝える。実は獣人国の極秘情報を言っていいのか、悩んだ。一瞬だが。でも、薫のことを大切に思っているのが伝わってきて、こいつらだったら大丈夫だと思ったから丁寧に説明した。
実は薫は今、仮死状態にあり、“能力”を使って寿命が縮んだ獣人は死ぬ前に仮死状態になること。寿命を伸ばす方法はその“能力”ごとに異なるが、薫の”能力“に対する寿命を伸ばす方法はまだわからないこと。そして薫の命は正直言って、時間の問題なところはあるということを伝えた。
「そうか、だから薫がこの国にきたのか。だけどおかしくないか?本当だったらまだのはずだよな?」
暖が不思議そうな顔をしながら俺に質問する。
「そうなんだ。俺にもよくわからない。何かここにきて、命の危険にさらされたりしてない限りは、変わるはずはないんだが」
俺も疑問に思いながら言い、周りを見ると、三人が微妙な、なんともいえないような顔をしている。
「凱様は、薫様が何をされていたのかはご存知ではないのですか?」
「あぁ、嫌がらせを受けていたことは知っているが、それだけだな」
「実は……」
そう言って葉が説明し始めた。
「で?どうして医者は呼ばなくてもいいんだ?」
暖が尋ねる。ちなみにさっき名前を聞いた。
「それは、薫がなぜこの国に来ることになったのかが関係しているんだ」
「そういえば、本当は第五王子がいらっしゃる予定でしたね。しかし、直前で変更されたのを覚えています」
「あぁ、薫が選ばれたのは本当に急だったんだ」
そして俺は、どうして薫が来ることになったのかを、詳しく伝える。実は獣人国の極秘情報を言っていいのか、悩んだ。一瞬だが。でも、薫のことを大切に思っているのが伝わってきて、こいつらだったら大丈夫だと思ったから丁寧に説明した。
実は薫は今、仮死状態にあり、“能力”を使って寿命が縮んだ獣人は死ぬ前に仮死状態になること。寿命を伸ばす方法はその“能力”ごとに異なるが、薫の”能力“に対する寿命を伸ばす方法はまだわからないこと。そして薫の命は正直言って、時間の問題なところはあるということを伝えた。
「そうか、だから薫がこの国にきたのか。だけどおかしくないか?本当だったらまだのはずだよな?」
暖が不思議そうな顔をしながら俺に質問する。
「そうなんだ。俺にもよくわからない。何かここにきて、命の危険にさらされたりしてない限りは、変わるはずはないんだが」
俺も疑問に思いながら言い、周りを見ると、三人が微妙な、なんともいえないような顔をしている。
「凱様は、薫様が何をされていたのかはご存知ではないのですか?」
「あぁ、嫌がらせを受けていたことは知っているが、それだけだな」
「実は……」
そう言って葉が説明し始めた。
2
あなたにおすすめの小説
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!
黒木 鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
裏乙女ゲー?モブですよね? いいえ主人公です。
みーやん
BL
何日の時をこのソファーと過ごしただろう。
愛してやまない我が妹に頼まれた乙女ゲーの攻略は終わりを迎えようとしていた。
「私の青春学園生活⭐︎星蒼山学園」というこのタイトルの通り、女の子の主人公が学園生活を送りながら攻略対象に擦り寄り青春という名の恋愛を繰り広げるゲームだ。ちなみに女子生徒は全校生徒約900人のうち主人公1人というハーレム設定である。
あと1ヶ月後に30歳の誕生日を迎える俺には厳しすぎるゲームではあるが可愛い妹の為、精神と睡眠を削りながらやっとの思いで最後の攻略対象を攻略し見事クリアした。
最後のエンドロールまで見た後に
「裏乙女ゲームを開始しますか?」
という文字が出てきたと思ったら目の視界がだんだんと狭まってくる感覚に襲われた。
あ。俺3日寝てなかったんだ…
そんなことにふと気がついた時には視界は完全に奪われていた。
次に目が覚めると目の前には見覚えのあるゲームならではのウィンドウ。
「星蒼山学園へようこそ!攻略対象を攻略し青春を掴み取ろう!」
何度見たかわからないほど見たこの文字。そして気づく現実味のある体感。そこは3日徹夜してクリアしたゲームの世界でした。
え?意味わかんないけどとりあえず俺はもちろんモブだよね?
これはモブだと勘違いしている男が実は主人公だと気付かないまま学園生活を送る話です。
秘匿された第十王子は悪態をつく
なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。
第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。
第十王子の姿を知る者はほとんどいない。
後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。
秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。
ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。
少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。
ノアが秘匿される理由。
十人の妃。
ユリウスを知る渡り人のマホ。
二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる