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1章 チュートリアル

19話 緑の髪の男

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「君たちは異質いしつで危険だから、引き離す目的でこの子を連れて行かせてもらうよ」

「なっ…そんなことさせるわけないだろ!」

「…簡単に私を捕まえられるなんて思わないでよ」

「?」

 そう言い、悪い笑みを浮かべてカルミアが男の方を見る。

 …しかし、何も起こらない。

「あ、あれ。召喚魔法が効かない…」

 途端とたんカルミアの余裕がなくなり、あせり始める。

「じゃあ、アドグラ!」

 …何も起こらない。

「なんで?!どうなってるのよ!」

 ついに焦りが頂点に達し、さけび始めた。

「僕はスキルの効果で、敵対てきたいするもののスキルの影響えいきょうを受けないから、君の魔法系スキルが効かないのは当たり前のことだ。安心しなよ」

「できないから焦ってるのよ!」

「じゃあ、ということだからこの子は預からせてもらうから」

 また、まばたきの間に消えるつもりか。

 …今、何か相手のスキルの正体をつかめそうだった。

「瞬き…」

『ちゃんと相手を見なよ』男の言葉を思い出す。

 ニヤッと悪い笑みを浮かべ、

「…どうした、消えないのか?」 

 片目だけを閉じ、目がかわかないようにする。可能性があるというだけで、もし違えばそのまま見逃すことになっていたが、

「当たってたみたいでよかった。自分を視界から離した相手に認識させないスキルってとこか」

「まぁ、ここまでわかりやすくしたんだから、わかって当然だよね」

 確かに弱点を教えてくるような発言が多かった。

「わかっても意味ないけどね。無駄話は飽きたからそろそろ帰らせてもらうよ」

「は、何言って…」

 直後、男とカルミアの周りが赤く光る。

「じゃあね。魔王様の城で待ってるよ」

「ま、待て!」

 必死に追いかける。が、カルミアの伸ばした手に手がふれる直前に消えた。

「あ、あ…」

 崩れ落ちる。

「うわぁあああああ!」

 *

「今から魔王の城に行きます」

 パラキシア城、国王に伝えて国を出ようとする

「待て!何があったのだ」

 男の話をすると、

「緑の髪の男…もしや…」

「!何か知ってるんですか?」

「…いや、わしが知っている男はもう何年も前に死んだはずだ」

「そう…ですか」

「では他の国の勇者たちにも伝えて応戦させよう」

「ありがとうございます」

 冬志が城を出る。

「まさか…な」
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