魔王討伐までがチュートリアル〜廃ゲーマーが異世界転移したので最弱からやりこんでみた〜

ちくわぶ太郎

文字の大きさ
24 / 35
1章 チュートリアル

22話 大男戦その2

しおりを挟む
「さぁ、そこをどけ」

 大男はうつむいている。何かをブツブツとつぶやいているようだが、聞き取れない。それに少しずつ苛立いらだちを覚える。

「カルミアはどこだ」

 なおも大男は答えない。

「どこだって聞いてるんだ!」

「ッッ!!」

 突如とつじょ、言葉にならない雄叫おたけびが周りの音を消し去った。雄叫びによる衝撃しょうげきが冬志とウル太郎をおそう。思わず目をとじる。吹き飛ばされ、壁にぶつかる…

 かと思われたが、いつまで構えていても衝撃は来ない。

「なんだ…?!」

 目を開けると…そこには平野が広がっていた。

「…は?」

 なぜ外にいる。いつ飛ばされた?そもそもさっきまで夜だったのになぜこんなに明るいんだ。脳が追いつかない。

 視界のはしで大きい何かが…大男だ。こちらへ走ってくる。『闇撃やみうち』で攻撃を…

「…だめだ、ここには影がない!」

 大男が大鉈を横にぎ払う。屈んで横っ飛びでそれを避ける。その先で、不自然な窪みに足を取られた。咄嗟とっさに受け身を取ったが…

「これは、まさか、さっきの…?」

 そのくぼみを見ると、大男が最初に大鉈でへこせたものにそっくりだった…

「どういうことだ…?」

 しかし、今は相手のスキルを考えている場合じゃない。どうやって倒すかだ。ウル太郎が大男を引きつけている間に考えなければ。

「2対1でかかればいけるのか…どうするにせよ早く決着をつけないとどんどんこっちが不利になる」

 パラキシアで多少慣れたとはいえ、まだ昼間に動くと体力の消費が激しくなる。

「…これが一番手っ取り早いか」

 結局2対1にする。

「ウル太郎!合わせて!」

「承知!」

 冬志が大男の背後に回る。背中に向かって剣を振り下ろす。が、大鉈によって弾かれる。その隙を狙ってウル太郎が首を斬ろうとする。が、大男は瞬時にかがんでそれを避ける。

 屈んだ瞬間目線の高さが同じになり冬志が大男の首へ剣を振るう。

「なっ…」

 が、使えなくなった左腕で無理矢理防がれた。

 動きがにぶった隙を狙われ、大男が冬志へ大鉈を振り下ろす。剣で防ぐが、そのまま強引に押し倒される。

 ウル太郎が後ろから攻撃するが、構わず押しつぶそうとしてくる。1人だけでも倒すつもりらしい。すでに大鉈は目の前に迫っている。

「簡、単にやられて…たまるかっ…!」

 『怪力』を発動。少しずつ押し返す。ウル太郎の攻撃を無視していたが、体力の限界か、焦り始める。一瞬ウル太郎の方を見る。力が少し弱まる瞬間を見逃さず、大鉈をいなして大男の心臓に突きをいれる。

 …剣に血が流れていく。

 男が驚いた顔でこちらを振り向く。そして全てを察し、


 ___あまりにもやさしい笑顔を浮かべた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...