魔王討伐までがチュートリアル〜廃ゲーマーが異世界転移したので最弱からやりこんでみた〜

ちくわぶ太郎

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1章 チュートリアル

21話 大男戦

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21話

「…カルミアはどこだ」

「こコにはイナイ」

 会話は出来る。が、友好的ではない。

 大男は腰に差していた2本の大鉈を担ぐ。

「出会ったカラにハ、戦ッてくれるヨなぁ?オレ、モウ待ちきレないゾ」

 そう言うと大男はこちらの意見を聞かず飛びかかってくる。

「ッルァアア!!」

 右手の大鉈おおなたを勢いよく振り下ろす。その光景に死のイメージが鮮烈に脳内に流れ込んできた。即座に身を屈めて横っ飛びでかわす。

「なっ?!」

 とんでもない振動で振り返ると、大鉈の落ちた地面がへこんでいた。

 破壊ではなく、変形と言った方がしっくりくる。グニャリと波打つような変形の仕方をしたのだ。

けルナよ。受ケ止めロ」

「バカ言うな!誰がそんなもん受け止められるか!」

 さて、どう攻略したものか…とりあえず、

 部屋を見回す。この世界で照明用に使われているカテル石が10個、均等きんとうに並べて天井にり下げられている。

「これしかないか」

 見た目より随分ずいぶん早い速度で再度さいどおそいかかってくる大男を避けつつ、カテル石を取っていく。

「これで…ラスト!」

 10個全てを取り除き、外に出す、部屋が一気に暗くなる。冬志が手を叩く。すると、入ってきて開けっ放しだった扉から何かが高スピードで大男の左腕を斬りつけた。

 ウル太郎だ。保険として隠れさせていたのだ。

「グ…がぁあアあ!」

 致命傷ちめいしょうにはならないが、大男の左腕からは血が大量に出ている。少なくともこの戦闘中は使えないだろう。左手に持っていた大鉈を落とす。

 そして、

「暗闇は俺の一人勝ち出来る最高の狩場かりばだ。もうお前に勝ち目はない」

 冬志の手には、暗闇よりも黒く、しかし光り輝く一本の剣が握られていた。

 *

 国王からこの剣を貰ってから色々試した結果、少なくとも2つの固有系スキルがあることがわかった。その一つが、

「?!…がぁアああ!」

 暗闇の中のあらゆる場所を斬ることができる、『闇撃やみうち』だ。ダメージ半減など制限はあるものの、慣れれば相手背後を斬ることもできる。

 大男は背中を斬られ、先ほどより早いスピードでこちらへ走ってくる。短期決戦に持ち込むようだ。

「俺だけじゃないことを忘れるなよ」

 瞬間、大男の左側からウル太郎が飛び込んできた。先ほどと同じ場所をシルバークロウでえぐる。

「ちゃんとそっちも警戒しろよ。純粋じゅんすいな攻撃力はウル太郎の方が高いから」

 遠くにいれば闇撃の的、近づけば2人同時戦闘…大男が可哀想かわいそうに思えてきた。

「さぁ、そこをどけ」

 そう言う冬志は、大男の気配の変化に気づかない
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