転生したら史上最強の猫ちゃんでした~唸れ肉球伝説~

岸谷 畔

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魔術展覧会編

第8話

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「それでは結果を発表します!最優秀賞は、イルミナさんとユーディットさん制作の作品、ニアリー・シャルロットです!!」

ボクらは魔術作品の受賞式の結果発表を聞くためにオラクルハイトの中心のドーム会場に移動していた。ワァアアと湧き立つ完成。会場の熱気はピークに達している。

「えー、それではイルミナさん、ユーディットさん、この作品についての解説や制作した意気込み、賞を授与されての感想などをどうぞ」

「はい!魔術展覧会に作品を発表するのは今回が初めてなのですが、それにも関わらず最優秀賞をいただけることができて嬉しいです…!」

「そうですか!では次にイルミナさん、感想などをどうぞ」

「はい!アタシも5年かけて制作した努力が報われて嬉しいです!実はこのゴーレム、アタシとユーディットだけじゃなく、アタシの友達も呼んで日夜制作に励んでました。なので、そいつらにもお礼がしたいなと思います!」

「なるほど!最優秀賞の受賞者には賞金が1億アトロ与えられますが、何に使う予定ですか?」

「アタシらはその賞金をこのオラクルハイトに新しく魔術師ギルドを開設する時の費用にします!今日のこの受賞を皮切りに、絶対アタシが魔術師達のトップに立ってみせる!それで、パトローナスの復権を目指すんだ!」

「素晴らしい意気込みです!続いて優秀賞、カロリーナさんの作品….」

 ♢♢♢

「いやあ~!取っちゃったな最優秀賞!おまけに賞金の1億アトロも貰っちゃったし!これで新しい魔術師ギルドも開けるぜ!」

「イルミナちゃん、今回は本当にありがとうね。わたしだけじゃ多分最優秀賞なんか取れなかったと思うんだ」

「んなこたねえよ!ユーディットが居なきゃできなかった事もあるんだし、自信持てって!」

「うん、ありがとう…あ、そうだ、シャルロットさんの人形を運営からもう一回受け取りに行かないと」

「そうだな!じゃあブースの片付けも終わった事だし行こうぜ!」

「その必要はありません」

気付くと、イルミナとユーディットの元に、いつの間にかニアリー・シャルロットは帰ってきていた。

「お!やっぱすげえな、自分で帰ってきたよ!」

「ええ。わたくしをそこらの魔造人形と同じ風に扱って貰っては困ります」

「だなー!あ、魔術師ギルドを開設したらシャルロットにも色々手伝いをしてもらうからな!受付とか!」

「ええ。よろしくお願い致します」

イルミナ達はブースの片付けを終え、ニアリー・シャルロットと共に何処かへ去っていった。

♢♢♢

「良かったねエマ!賞を貰えて!」

「(ふふ、私も嬉しいぞ)」

「はい!まさか佳作を貰えるだなんて…!わたしが賞を貰ってしまってもいいんでしょうか…」

「あの動くゴーレム、凄く精密な動作もできるし、賞を取って当然ですよ!」

チェスとブライゼとミルテはエマを褒めちぎる。

「ありがとうございます。実はわたし、あまり誉められ慣れてなくて。でも、ブライゼさんやチェスさん、ミルテさんに誉めてもらえて凄く嬉しいな」

「良かった!私もエマさんが受賞できて嬉しいですよ!」

「あ、エマはさ、これからどうするの?」

「そうですね…まずはエデン魔術協会に行ってみます。折角スカウトを頂けたので。チェスさん達はこれからどうするの?」

「あ…それなんだけどさ、全く決まってなくて。どうしよっかなーってさ」

「そうですか…。うーん、わたしとまた一緒に同行して貰いたいけど、魔術協会にスカウトされたのはわたしだけだし。….どうしたものかな…」

「(心配するな、エマよ。私達は私達でなんとかするさ。お前はお前の道を行きなさい)」

「そうです!私達の事は心配しないで!」

「ブライゼさん….ミルテさん….!そうですよね、ありがとうございます!」

「(ではここでお別れだな)」

「はい!でも、永遠の別れじゃないです。エデン魔術協会に所属しても、またチェスさん達に会いにきます!」

「(うむ。成長したその日を楽しみに待っているぞ)」

「元気でね、エマ」

「はい!」

チェス達はブースを片付け、エデン魔術協会に向かうエマを見送った。

「(さて、これからどうするか、だが。早速やるべき事が見つかったぞ)」

「やるべき事?それってーー」

チェスが言葉を紡ごうとした時、後ろから殺気を感じた。すぐさまチェスは後ろを振り返る。

「探したぜ、あの時の猫ちゃんよォ」

振り返ると、そこには柄の悪そうな人間が5人ほど立っていた。

「まさか、あなた達は…」

「そうだぜ、俺様達が手に入れた宝石を奪い返しやがって!」

そしてその人間達は猫へと姿を変えた。

「やっぱり!あの時の猫達だ!」

「ミルテよォ、お前も何裏切ってんだよ」

その中の茶色と白の斑模様の猫がミルテへと話しかける。ミルテは萎縮しつつも、言い返した。

「私は好きであなた達に従ってた訳じゃないわよ!嫌々従わされてたの!もう私には関わらないで!」

「言うじゃねえか。決めた、お前もボコボコにしてやるよ」

猫達はそう言うと、再びチェス達に襲いかかって来た。

「ブライゼ、どうしよう?」

「(まずは猫の姿に変われ。そして、今回はチェス、お前が戦うんだ。心配するな、魔術の使い方を教えてやる)」

チェスとミルテは猫の姿に変わり、臨戦態勢を取った。

「焼き尽くせーー炎撃(フィアンマ)!!」

猫達は一斉に虚空から炎を放つ。チェスとミルテはそれを躱し、ブライゼの指示を待つ。

「(うむ、いい反応だ。さて、私達も魔術で応戦しよう。そうだな、今は雷魔法を使いたい気分だ。それを伝授しよう)」

「雷魔法…私、それなら適性があるので使えるかもしれません」

「(ああ、ではまず二人とも、敵の方向を向け。そして意識を集中させ、身体から湧き上がる魔法のオーラを、体外へ放出するイメージを持て)」

チェスとミルテはブライゼに言われた通り、意識を集中させ、身体から湧き上がる暖かなオーラを感じ取った。

「(身体が暖かい…これは…!)」

「(その暖かなオーラが魔力だ。それを感じ取れたのならもう魔法を放つ事が出来るはずだ)」

チェスとミルテはオーラを体外へ放出するイメージで、魔法名を叫んだ。

「電撃(ブリッツ)!!」

チェスとミルテの眼前の虚空から魔法陣が出現し、そこから電撃が敵の猫達に向かって放たれる。放たれた電撃は猫達に見事命中し、猫達を感電させた。

「はっ…!がっ!!」

感電した猫達は白目を剥いている。

「ブライゼ!!今のは…」

「(おめでとう。これで晴れてお前達も魔法を使えるようになったな)」

「今のが…雷の魔法…」

ミルテは自分が出した電撃に少々驚きつつも、魔法を行使できたという喜びで口角を上げた。

「(ふふ、チェスもミルテも飲み込みが早いな。これならば二人とも基本的な攻撃魔法は使えそうだ。しかし、まだ猫が残っているな)」

チェス達は再び前を見ると、電撃魔法を受けてもまだ倒れていない猫がいた。

「なんの…!これしきで倒れねぇよ俺様は!」

「ブライゼさん、あの猫かなりしぶといですね。私は今の雷の魔法で魔力を使い切っちゃいました…」

「なら、ボクがやるよ!ボクはまだ動ける!」

「(いや、ここは私が行こう。チェス、私をお前の精神世界から出せ)」

「えっ?ボクの体を借りるやつじゃなくて、実際に君を外へ出すって事?でも身体の具合とかは大丈夫なの?」

「(ああ、傷も塞がって来たからな。短時間ならお前の精神世界から出ても問題はない)」

「わかったよ。じゃあ行くよ。収納開放(マジカルクローゼット・オープン)!!」

チェスが精神世界でブライゼを外に出すのを許可すると、たちまち夜の帳のような黒く巨大な竜が眼前に現れた。

「はじめまして、猫の諸君。私は竜のブライゼだ」

「ひっ…」

ブライゼは猫達に、鋭い黄金色の目を光らせ対話に入る。

「何も私達はお前達に危害を加えようとはしていない。話し合って解決するつもりだ。単刀直入に問おう、お前達のボスは何処だ?」

「わ、私達がご案内します…ブライゼ….さん」

「よろしい」

ブライゼはにっこりと微笑み、猫達へと着いて行った。それに続きボクとミルテもブライゼへと続く。

「マルタン様….客人をお連れしました….」

「む?そのような話は聞いていないが」

「急で申し訳ありませんが、どうか話だけでも聞いてください…」

チェス達が感電させた猫のうちの一匹が、力無くそう猫のボスへ告げる。そして、ズンッという重く威圧感のある足音と共にブライゼが現れる。

「お前がこのオラクルハイトを牛耳る猫達のボスか」

「な、何だお前は!?って….え…ブライゼ….殿…?」

「お前はマルタンか?久しいなぁ!私の事は覚えているだろう?」

「はい!200年程前、私に狩りや魔術を伝授してくれたあのブライゼ殿か!!」

マルタンと呼ばれた猫は嬉しそうにブライゼと会話をする。

「えっ…ブライゼさんってマルタン様と知り合いなの…?」

「ああそうだ。200年前、まだマルタンが小さかった頃、よく狩りや魔術を教えたり、母猫に変わって子守であやしたものだよ」

「へー!ブライゼって猫達に狩りとか教えてたんだね!」

「ああ。とはいえある時に天界に戻らなければならなくなったから100年以上は猫達の世話や統治からは離れていたからな。だからこのように猫達も私のような抑止力がいなくなったことで盗みを働くようになったのだろう」

「面目ない、ブライゼ殿。私は皆にやめろと言っているのだが、人間が作ったマジックアイテムの魔力を吸収して、自分だけが強くなろうとする者達が後を絶たなくてな。私だけの力ではどうやらケットシー達を統治するのは難しいようだ。やはりブライゼ殿か、かのシャルロット・クローリーを育てた伝説のケットシーのカルネのような猫でもなければ昔のような平穏を維持するのは難しいだろう」

「そして、私の方からもあなた方を襲ったこの不届き者達は叱りつけておく。安心してほしい」

5匹の猫達はマルタンのセリフを聞いた瞬間気まずそうに萎縮した。

「うむ。頼んだぞ。さて、そろそろ時間だ。チェス、お前の精神世界の中へ戻るとするか」

「そっか、そろそろ時間か。うん、いいよ。収納閉鎖(マジカルクローゼット・クローズ)」

チェスの能力により、再びブライゼの姿は消え、チェスの精神世界へと入る。

「えっ!ブライゼ殿が消えた!?」

「あ、心配しないで。ボクの中に収納しただけだから」

「(心配するなマルタンよ。私はこのチェスという猫の精神世界に入り、少し休んでいるだけだ)」

「そうなのか!いやはや、あなたもただのケットシーとは違うようだな。恐れ入った。しかし何ゆえブライゼ殿はあなたに匿われているのだ?」

「あー、それはね…」

チェスはマルタンに事情を説明した。

「そうか、何者かの攻撃により負傷したか…」

「(私こそ面目無い)」

「いいや!会えただけでも嬉しいぞ私は!ブライゼ殿も1週間ほどすれば傷も癒えると知って安心したぞ」

「あ、マルタンさん。ボクの話も聞きましたよね?」

「聞いたぞ!異世界から転生してきたのだな?」

「はい。それで、この後どうしようか途方に暮れてまして」

「うーむ、そうか…」

「あの、ここにいる猫達って、居場所とかはありますか?」

「居場所?…居場所か。なんだろうな、人化の術を使って人間に溶け込んで魔術師ギルドの簡単な仕事をしている猫もいれば、今回のように人間から何かを盗むような悪事を働く者もいるな。ケットシーの中でも魔法が上手く扱えない個体もそれなりに多く、そういった者は盗みで生計を立てている為、ケットシーの中でも問題になっているのだよ」

「そうなんですか。それに関してなのですが、ボク、もしかしたら全ての猫が活躍できる環境を思いついたかもしれません」

「ほう?それは何なのだ?」

「猫カフェです!!」
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