転生したら史上最強の猫ちゃんでした~唸れ肉球伝説~

岸谷 畔

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魔王アムダール復活編

第20話

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「で、ブライゼの血液を加工する為の素材って何を揃えればいいの?」

「そうだな。まずはまどろみの花。この植物は体内に摂取すると眠くなる作用を持つ。いわゆる麻酔としても使えるものだな。イルリットの森のような深い樹海に生えている。このまどろみの花で副作用である全身の筋肉痛を少しでも和らげるのだ。二つ目に海神の貝殻。この貝殻は魔力を薄める効果を持つ。この貝殻を粉砕して私の血液の濃度を薄めるというわけだ。三つ目に陽樹の樹液。この樹木から取れる樹液はとても甘くてな、妙薬を飲みやすくする為に必要だ」

「じゃあその三つを集めればいいわけだね!」

「ああ、まどろみの花と陽樹の樹液はイルリットの森、海神の貝殻は蜃気楼の海岸線にある。どちらも魔物や魔獣が跋扈する森だが、私やノストラがいれば採取は容易い。さあ、行くぞ」

「やれやれ、イルリットの森って蜂みたいな虫がいる場所じゃないですか。陽樹の樹液が取れる場所もきっと鉢の棲家になってますね。わたし虫嫌いなんですよね。でも仕方ないか」

「ああ。イルミナ達に加工の作業をしてもらうからな。採取は私達が行う。なに、お前の空間移動の能力があれば移動は容易いだろう?」

「まあそうですけどね。でも大まかな座標の調整しか出来ないので自動的に素材を採取してくる訳にはいきませんけどね。あーしんど。虫除けスプレーでも持っていくかー。」

「ボク、虫とかは平気だよ!」

「そうか。なら良いのだが。おっと、そうだ、私の鱗と血をあの子達に渡さなくてはな」

ブライゼ達はイルミナ達の元へと向かった。

「という事で、これが私の鱗と血液だ」

ブライゼはイルミナ達の前のテーブルに、優しい力加減で3枚の巨大な鱗と、1リットル程のガラス瓶に満タンまで入った真紅色の血液を置いた。

「おお!これがブライゼの鱗と血液か!すげーな、なんかもう魔力の塊って感じだ。魔力がヒシヒシと伝わってくるぜ」

「ブライゼさん、鱗って剥がしたんですか?」

「ああ。3枚程なら健康とかには問題はないぞ」

「痛くなかったんですか….?」

「うむ。痛覚を遮断したからな。まあ、身体のサイクルで剥がれかけのものだからそこまで痛みはないが」

「良かった~…血も頂いちゃってブライゼさんに申し訳ないって思って…」

「良いんだよユーディット。むしろ、これからお前が全身筋肉痛になる方が心配だ」

「あ、そっか。確か希釈しても副作用で全身筋肉痛になるんだっけ。なんかドラゴンの血って凄いんだね」

「ノストラの血も同じ効能を持つのかな?」

ベルガが興味津々にブライゼに聞く。

「まあそうだな。ノストラの血も高い魔力を帯びているから効能は大方同じだ。しかし、竜の血は竜としてどれほど年月を生きたのかなどの要素によって魔力量も異なる。長き時を生きた私の血が最も高い魔力と筋力増強強化を持っているのだよ」

「やっぱブライゼはすごいね!」

アミーシャは指をパチンと鳴らしてそう答えた。

「わたし達は希釈すればいいのよね?素材は他にもあるの?」

イングリッドはブライゼに問いかけた。

「ああ。私の血を希釈する素材は私達で取りに行く。鱗はイルミナやユーディットが取り揃えた魔法道具精製機があれば加工が可能だ。3枚もあれば十分だろう。後はそこにノストラが作成した対天使用のプログラムを組み込めば強力な武器ができる。アミーシャ、頼んでおいたものは出来たか?」

「うん!これでしょ!今回ブライゼの鱗とノストラの対天使用プログラムを組み込む為の依代となる武器だね!」

アミーシャはブライゼに大きめの両手剣と鎧と槍を渡した。

「よろしい。流石はアミーシャ、中々の武器と防具を作り出すではないか」

「えへへ!張り切っちゃったの!でもそれぞれ一つだけしか作ってないけどいいの?明らかに数足りなくない?」

「いや、問題はない。チェスの能力、神の模倣御手(コピーキャット・ディバイン)を使う」

「あー、なんかマジックデバイスの解析機能で出てた能力か!あれってなんなんだ?」

「それに関しても解説しよう。あの能力は、物体をコピーし、全く同じ物体を作り出すという能力だ。この能力を使えば強力なマジックアイテムや、今回のような特殊な武器も量産可能だ。しかも、コピーする回数や物体の質量、宿っている魔力や効果などには制限がない」

「すげーじゃんチェス!お前そんな力持ってたのかよ!」

「いや、今知ったというか…これもブライゼの竜眼のおかげだよ」

「まあ、オールマイティーですからねブライゼの竜眼は。そこは認めます」

ノストラが少し不機嫌そうにそう呟いた。ブライゼ達はあははと笑っている。

「さて、ではお前達には精製機で素材を組み込んでもらおうか。使い方はもう熟知しているのだろう?私達は素材を取りにイルリットの森と蜃気楼の海岸線へと赴く。では、行動開始だ」

「うん!」

イルミナ達とブライゼ達は別れ、それぞれの役割を遂行しに行った。

♢♢♢

「さて、転送完了です。さあ行きましょうか」

「うむ」

「ここが蜃気楼の海岸線か!イレインにもこんな綺麗な場所があったんだね」

ノストラの空間操作の能力で転送された場所。そこは、穏やかな海が広がる海岸線だった。波打ち際にはさざ波が寄せては返す。

「ここはイレインの南部に位置する海に面した場所でな、漁師達が漁に出る事も多いのだよ。この海岸線で採れる魚や貝はどれも絶品だ。アクアパッツァにすれば美味い」

ブライゼは人間の姿で舌なめずりをした。

「はいはい、さっさと海神の貝殻を採りに行きますよ。遅くなるとまた蜃気楼貝(ミラージュクラム)が霧を出しますからね。そうなると視界が悪くなって厄介です」

「む、そうだな。あの貝の出す霧は厄介だ。早く用を済ませるか」

「ブライゼ、ミラージュクラムって?」

「ああ、説明しようか。ミラージュクラムとは海底に潜む巨大な二枚貝で、普段は海中のプランクトンを食べる無害な存在なのだが、身体の老廃物を霧に変えて周囲に放出する習性がある。複数のミラージュクラムから霧が出ると、辺り一帯が白いモヤで何も見えなくなってしまうのだ。霧が晴れるまでに時間もかかるし、漁師達にも恐れられている存在なのだよ」

「なるほど…狩って数を減らす事はできないのかな?」

「あの二枚貝の殻はダイヤモンドよりも硬いと言われている。カトレア軍の兵器でも傷一つ付かなかったとの記録も残っていてな、私達のようなドラゴンの爪や魔法による一撃でようやく割れる程の防御力を有しているのだよ。食べたらかなり美味しいがな」

「そんなに硬いんだ…なんかこの世界の生物の生態って凄いんだね…」

「感心するのは後で。あの入江の洞窟の中に海神の貝殻がありますので取りに行きますよ」

「うん!視界が良い今のうちに行こうか!」

♢♢♢

「ここが入江の中か….なんだかヒンヤリしてるなぁ」

「そうだな。私達は普段は鱗で覆われているから寒さはそれほど感じないが」

「でも今は人間の姿でしょう?普通に寒いのですが」

「入江の洞窟は狭いから仕方ないだろう?っと、こんな所に海神の貝殻を発見したぞ」

ブライゼはそう言うと足元から貝殻を拾い上げた。それは、ブライゼの拳よりも少し小さめのサイズの、可愛らしい貝殻だった。

「おっ!見つかったんだね!じゃあもうこれでここでの用はないかな?」

「いや、待て。海神の貝殻は確か法螺貝程の大きさだった筈だ。これは確かに海神の貝殻で間違いはないが、サイズが小さすぎる。これだけでは私の血液の希釈はできない」

「えっ!そうなの?」

「ああ。もっと大きなものを探すしかーーー」

ブライゼがそう言いかけた瞬間、辺りに殺気が走った。ノストラとチェスはブライゼの後ろを見てガクガクと震えている。

「なんだお前達。どうしたーー」

ブライゼが後ろを向くと、そこには全長30m程の巨大な大蛇が口を開けて、3人を飲み込もうとしていた。
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