21 / 30
魔王アムダール復活編
第21話
しおりを挟む「お前達!!下がれ!!」
ブライゼは咄嗟にチェスとノストラを後方に突き飛ばした。そしてその直後、ブライゼは大蛇の中に飲み込まれた。
「えっ!!嘘!?ブライゼ!!」
「そんな!!….そうか、アレだ!!あの大蛇の体内とこの外の空間を繋いでブライゼを空間移動させれば…!!」
ノストラは空間移動のゲートを作ろうとしたが、バチィという音と共に弾かれ、ゲートを作成する事が出来なかった。
「嘘!?まさかこの大蛇…!!」
ノストラは眼前にホログラムを出現させ、それを見た。そこには、こう書かれていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
生物名:霧海蛇(ミスト・シーサーペント)
能力:対魔力 EX
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やばい…!!こいつは霧海蛇(ミスト・シーサーペント)!!魔法攻撃を無効化する鱗を持った巨大な海蛇です!!こいつの存在自体が魔法を無効化する結界のようなものです!恐らく体内からの魔法攻撃も効きません!!」
「嘘!?じゃあ飲み込まれたブライゼは….!!」
「ええ。あいつがそう簡単にくたばるとは思いませんが、このままだと体内で消化されるでしょう」
「そんな…!!ブライゼ!!ブライゼーっ!!」
「落ち着いてください。遅延(ディレイ)」
ノストラは海蛇に手をかざすと、周囲の時空に少し細工をしたようだ。
「….?ノストラ、何をしたの?」
「今、ブライゼを飲み込んだ海蛇の時間を遅らせました。海蛇には魔法が効きませんが、海蛇の周囲の空間なら魔法は効力を発揮します。少しでもブライゼが体内から出てこれる時間を稼げれば…」
「うん…シエルの光の能力でレーザービームとか出せないかな?それをあの海蛇に撃ち込むとか」
「(うーん、出せるっちゃ出せるけど、この狭い入江の洞窟でそれを使うのは危険すぎるよ。聖装も威力が強すぎてこの洞窟が崩れかねない)」
「そっかあ….なら仕方ないね…」
「チッ、使えませんね」
「(ううー….そんなに怒らないでよノストラ…)」
ノストラはまたシエルにキツい一言を浴びせた。
「しかしどうしたものでしょうか。我々は魔法メインです。物理が得意なのはブライゼしかいません。外から叩くのではなく、中から叩くのしか方法はーーーあっ」
ノストラ達はドスンッという鈍い音が周囲に響き渡るのを聞いた。どうやらブライゼが大蛇の体内から抵抗しているようだった。
「あの音は…!!ブライゼ!!」
「ですね。まだあいつはくたばってはいなかったようです。ドラゴンの通信能力で体内のブライゼに呼びかけてみましょう。これは魔法ではないので繋がるはずです」
「ブライゼ、聞こえますか?」
ノストラは目の前のホログラムの映像から海蛇の体内にいるブライゼに問いかける。
「(ああ。今私の腕のみ竜へと変えて体内からこいつを殴っているところだが、硬いな。胃には入っていないから消化液は浴びてないが、このままだと外へ出るのは難しいだろう)」
「そんな…なんとかならないの?」
「(やはり外からこいつの身体に大穴を開けるしかないだろうな。しかし、お前達は完全に魔法タイプだ。こいつの魔力耐性はノストラから聞いたのだろう?)」
「ええ。魔法タイプで悪かったですね」
そうこうしている内に、海蛇は入江の洞窟の奥の方へ物凄いスピードで移動してしまった。
「あっ!海蛇が逃げていくよ!!」
「追いかけましょう!!というか、時間の遅延の魔法を使っててあのスピードか…」
ノストラとチェスは海蛇を追いかけて洞窟の最奥部へと駆けて行った。
♢♢♢
「ここが洞窟の最奥部…」
「幻想的な場所ですが、今は観光している場合ではありませんね。あの海蛇を探さなければ」
蜃気楼の海岸線の入江の洞窟の最奥部は、広い鍾乳洞が広がっており、それを囲むようにして水場が広がっている。その水場は海へと繋がっており、今まさに海蛇が海へと移動しようとしていた。
「ちょっ、海へと逃げようとしているよ!」
「く、どうしたものか…!!」
ノストラとチェスは完全に詰んでいた。ブライゼがいない以上、魔法タイプの二人には霧海蛇の魔法耐性の前にはどうすることもできなかったからだ。しかし、そんな中救世主が現れる。
ダンッという力強く脚を地面に叩きつけて跳躍する音と共に、目の前に二足歩行の鰐の獣人のような影が現れた。
その鰐の獣人は短刀を持ち、霧海蛇の身体に刀を突き立てると、力任せに一気に身体を切り裂いた。全長30メートルの身体はあっという間に真っ二つに裂け、霧海蛇は絶命した。
「ふう、一丁上がり」
鰐は額に手を当て、一仕事終えたかのように返り血を拭った。
「助かった….」
鰐の獣人が切り裂いた蛇の身体から、ブライゼが出てくる。その身体は蛇の粘膜が付着していた。
「お?なんだ、人が飲み込まれてたのか?」
その鰐の獣人は呑気にブライゼに問いかける。
「お前は…?」
「ん?俺?俺はバルトロ。この蜃気楼の海岸線の洞窟に住んでる鰐の魔族だよ」
バルトロと名乗ったその鰐の獣人はにかっとブライゼに笑った。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。
くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。
しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた!
しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!?
よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?!
「これ…スローライフ目指せるのか?」
この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる