転生したら史上最強の猫ちゃんでした~唸れ肉球伝説~

岸谷 畔

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魔王アムダール復活編

第22話

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パチパチと燃える焚き火の前で、ブライゼ、チェス、ノストラ、バルトロの4人は談笑していた。

「な?美味えだろこの海蛇!ちょっと肉は硬いけどよく焼いて塩ふったら味は格別だぜ!」

「うん…あとこの海老も美味しいね。これもバルトロが採ってきたの?」

「そうそう!その幻惑海老(グラマーロブスター)もかなり美味えんだ!腹一杯食えよ!」

「ふむ、霧海蛇は食べたことがなかったから新鮮な体験だ。中々に美味いな」

「海にはあまり行かないからこういうのも新鮮ですね」

ブライゼ、チェス、ノストラの3人はバルトロが採って来た海の幸を堪能する。そして、30分程の食事時間が終わり、全員が完食した。

「ふむ、美味かったぞ。そして海蛇の体内から私を助けてくれて感謝する、バルトロよ」

「良いって!あの海蛇は俺が狩ろうとしてたし!それに飲み込まれた人を放ってはおけないしな!」

バルトロは上機嫌でブライゼに返答を返す。 

「俺は物理メインの戦闘スタイルとスキルを備えているが、わずかに魔力感知もできる。アンタら、もしかして人間じゃないな?」

「ああ。実はな、私達の本当の姿は竜なのだよ。このノストラも本当の姿は竜だ。そしてこちらのチェスは神霊でもありケットシーでもある。ここなら開けた場所だしあの姿に戻っても問題はないか」

ブライゼはそう言うと、ブライゼ、ノストラ、チェスの3人はそれぞれ竜の姿と猫の姿に変わる。それを見てバルトロは少し驚いていた。

「おおー、すげー!!やっぱ人間じゃなかったか!しかもドラゴン!かっちょいいぜ!」

「はは、ありがとう。さて人間の姿に戻るとするか」

ブライゼ達は再び人間の姿へと戻った。

「で、アンタらはここに何しに来たんだ?漁をしに来たわけでもなさそうだし、こんなところに来ちゃ危ないじゃないか」

「ああ、実はな…」

ブライゼはバルトロに今までの経緯を説明した。

「うーん、よくわかんねえけど、とりあえず天使をぶっ倒したいって事だな!」

「ああ。その為に私の血を妙薬として加工し、ギルドの魔術師達や猫達に飲ませて戦力を強化する為に素材を集めているという事だ」

「で、その為にでかいサイズの海神の貝殻が欲しいということか?」

「そうだ。あの海蛇に飲み込まれる前に一つ見つけたが、サイズがいかんせん物足りなくてな。どこかに大きいものがあれば良いのだが」

「あっ、なら俺が持ってるぜ!やるよ!」

バルトロはそう言うと、背後にある貝殻の山から法螺貝と同じ大きさの海神の貝殻をブライゼに渡した。

「これは….!いいのか?」

「おう!俺には必要ないものだしな。あ、それあげる代わりに条件があるんだけどさ!アンタらこの海岸線よりも外から来たんだろ?なんか話聞かせてくれよ!普段の話でも良いからさ!」

「わかった。それでは話すとしようか」

♢♢♢

「すげー!オラクルハイトから来たのか!そんで、今はスマイルソーサリーっていう魔術師ギルドを立ち上げて、そこで魔法使い達と共に活動してると」

「ああ。依頼もかなり来ていてな。しかし今は天使に対抗する為に動いているのだが」


「なあ、俺もそのスマイルソーサリーに混ぜてもらっても良いか?俺も孤独に生きてきたからさ、なんか人と関わっていたいなって」

「まあ、構わないが…バルトロ、お前は何が出来る?」

「殴る蹴る!!」

バルトロは自信満々にドヤ顔でそう言った。

「は、はあ…」

ノストラが少し呆れ気味でバルトロの方を見た。

「でもさ、ブライゼを助けてくれたじゃない?それに、ボク達ってなんかこう、魔法で攻撃するようなタイプに偏っててさ、バルトロみたいに力で攻撃するタイプがいないんだよね。今後天使達との戦いに備えてさ、仲間に引き入れるのも良いと思うんだけど… ブライゼ、ノストラ、どうかな?」

「そうだな。物理技や近接先頭でも戦えるのは今のところ私だけだしな。後はベルガとイルミナ、アミーシャが近接戦闘を少し嗜んでいる程度か」

「ええ。まあ良いでしょう。ブライゼを助けてくれたのですものね。あのクソ天使よりかは数百倍役に立つでしょう」

「(酷いよノストラ!!なんでオイラばっかりこんな差別するのさ!)」

「テメエが役に立たねえからだろ」

シエルはノストラの辛辣な台詞にまたへこむ。

「だがバルトロよ、これだけは聞く。お前は犬派か?それとも猫派か?」

「ん?猫派だけど」

「よし採用。ようこそスマイルソーサリーへ」

「やったぜ!」

「ああ…猫派には甘いんだねブライゼは…」

チェスは少し呆れながらブライゼを見つめた。

♢♢♢

「よっしゃあ!まどろみの花と陽樹の樹液も手に入ったぜ!!」

「バルトロ、君凄いね!一瞬で素材を見つけたじゃないか!」

「おうよ!素材集めなら俺に任せときな!」

バルトロは嬉々として両手にまどろみの花と陽樹の樹液が入った瓶を持ちそう答えた。

「にしても妙だな。この辺りはレベルの高めの魔物の縄張りなのに。何故こうも静かなんだ」

「なんだか魔素の量も少ないですね。何が起こっているんでしょう?まるで何かが辺り一帯の魔物を食い荒らしたかのような….」

「何か不吉な予感がするな。とりあえず素材はもう集まったのだし、一旦ここを離れよう」

ブライゼはそう言うと、近くの樹木の葉を一枚千切って懐に入れた。

「そうですね。帰りましょうか。チェス、バルトロ、行きますよ」

ノストラはオラクルハイトのギルドへと続くゲートを出現させ、ブライゼ達と共に速やかに移動をした。  

「…フン、逃げたか」

ノストラ達が去ってからおよそ5分後、魔王アムダールと4人の人狼達はノストラが空間移動した痕跡を魔力感知で察知していた。そして、その痕跡を見て魔王はニヤリと笑う。それは、確実に獲物を喰らうという表情だった。

♢♢♢

「ただいま!みんな!」

「お帰りなさいチェスさん、ブライゼさん、ノストラさん!…あれ?そちらの鰐…さんは?」

「ああ、紹介するよ。こちらは鰐の魔族のバルトロだよ」

「おっすー!!俺バルトロっていうんだ!!よろしくな!!」

バルトロはにかっと笑いスマイルソーサリーの面々に挨拶をする。それを見たアミーシャはバルトロに駆け寄ってこう言った。

「すっごい筋肉…!!ベルガよりムキムキじゃん!!触ってもいいかな?」

「?おう、いいぜ!」

「わあ~!ありがとう!あっ、ゴツゴツしてていい….っ!」

アミーシャはバルトロの胸筋に触りながら恍惚の表情を浮かべる。それを見てバルトロも心なしか照れているようだった。

「また新入りが一人増えたのか!猫と来て、虎と来て、今度は鰐!!もう何が何だか」

「はは、良いじゃないか。いっそのことスマイルソーサリーはもう動物園として運営していくか?」

「いや趣旨変わってんじゃんソレ…あ、そうだ、ブライゼ達が素材取りに行ってるこの2日間で武器の加工が終わったぜ!ほら」

イルミナはそう言うとテーブルにブライゼの鱗を加工した武器を三種類置いた。


「おお、素晴らしいな。鎧も剣も槍も出来ているのか。後はチェスのスキルでこれを量産するだけだな」

「うん!任せて!」

チェスはそう言うと、剣に手を当て、体内から流れゆく暖かなオーラを元にスキルを使う。

‘’神の模倣御手(コピーキャット・ディバイン)’’ 

すると、剣が二つに増えた。

「凄え、ちゃんと武器が増えてる。この調子で増やしていけば…」

「ああ。今は初めてスキルを使ったから慣れないと思うが、慣れれば複数個増やせるようになるな」

チェスは少し疲れているようだったが、すぐに鎧、槍、剣の三種類を量産し続ける。

「さて、次は私の血液を加工しての妙薬作りだ。素材は三つもう採って来た。後はこれを加工してくれ。魔法道具精製機があれば、後はノストラが手順を教えてくれるはずだ」

「わかったぜ!んじゃ早速やるか!他の依頼もこなしながらな!」

そして、2日間の時が流れ、ブライゼの血液を加工した妙薬も完成した。

「じゃあみんな、飲むぞ」

「うん!一滴だけ舐めれば良いんだよね、ブライゼさん?」

「ああ。猫達にも飲ませるからな。それに一滴だけでも効力は十分発揮される」

「やれやれ、わたしもブライゼの血を飲むとはね」

スマイルソーサリーの面々は全員ブライゼの血液を加工して作られた妙薬を飲んだ。

「どうだ、イルミナよ。何か変化はあるか?」

「うーん、喉がなんかイガイガするけど、陽樹の樹液の蜜の味でなんとか飲めるな…ってあれ、何か身体がポカポカしてきた」

「そうか、それなら良かった。そのポカポカする感覚の後に筋肉痛が来るから、今夜は早く寝なさい」

「そうだなー。ユーディット達は大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ。」

「あたしも大丈夫!」

「わたしも!」

「僕も!」

「俺も何ともないぜ!」

ユーディット、アミーシャ、イングリッド、ベルガ、バルトロの5人も異常がないという事を伝えた。

「ふう、どうなるか不安だったが、なんとか大丈夫そうだな。ではみんな、今日の仕事もお疲れ様だ。1週間後あたりにでもみんなでレストランにでも行こうか」

「えっ!?本当?」

ベルガが目を輝かせる。

「ああ。好きなだけ食え。金は私とノストラが用意する」

「さりげなくわたしを巻き込むんですね…」

一同はこうして妙薬を飲み終わり、焼肉へと赴く。しかしその裏で、魔王アムダールは静かにオラクルハイトの襲撃を企てていた。

「ククク…カルナール侵攻の前にまずはオラクルハイトから崩してやる….!」
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