転生したら史上最強の猫ちゃんでした~唸れ肉球伝説~

岸谷 畔

文字の大きさ
26 / 30
オラクルハイト襲撃編

第26話

しおりを挟む

「さあさあ、私に着いてきてください」

「は、はぁ….」

ピョートルはエマを連れて洞窟を抜け出した。洞窟を抜けた先には、輝く黄色い花が咲き乱れる街が広がっていた。

「わぁ…!ここが死後の世界…」

「そうです。エマさんは死後の世界というとどのようなイメージがありましたか?」

ピョートルはエマの手を引き、街の中を案内しながらエマに問う。

「えっと…暗くてジメジメしたような場所かな….他には、生前の行いが悪いと罰を受けるような場所とか」

「そう思う方も多いでしょう。実際、エマさんのイメージ通りの世界も存在します。ですが、死後の世界とはこのように穏やかな世界も存在するのですよ」

「じゃあここはなんなんですか?」

「ここは生前に悪行を働かなかった者達の魂が集まる世界です。ご覧の通り、この世界に住む住人は生前と変わらない楽しい生活を送っていますよ」

エマは周囲を見渡すと、この世界に存在する死後の世界の住人達は皆楽しく、仲睦まじく暮らしている様子が目に入った。幽霊達の姿も十人十色で、ピョートルのように絵本の中に出てくるようなおばけのような風貌の者もいれば、骸骨の姿の者、エマと同じように生前と全く姿の変わらない者もいた。

「あの…ピョートルさん」

「どうしました?」

「なぜこの世界の住人はみんな姿が違うのでしょうか?わたしみたいに生前の人間の姿と変わらない人もいれば、ピョートルさんみたいな姿の人もいますよね?」

「ああ、それはですね。死後の世界では姿形を自由に変更できるからですよ!現世で例えたら…そうですね、魔物とか魔族が人化の術のような魔法で人間に姿を変えるのと同じように、この冥界でも外見を変更できるのです。例えば….こんな風に!」

ピョートルはエマに説明をすると、自身の外見を変更した。エマの目の前には人間の姿のピョートルが現れた。

「すごい!そんな事ができるんですね!でも、なんでピョートルさんはおばけの姿になっていたんですか?」

「それはですね、あの姿なら脚が無く、浮遊しているので動きやすいからですね。後は外見がキュートだからというのもありますが」

「そうなんですね!確かにかわいいかもしれません」

「では、元の姿に戻ります」

ピョートルは再び亡霊の姿へと戻る。

「あれ、でもそれだと骸骨だけの人はその姿が気に入ってるという事になりますよね?」

「まあそうですね。骸骨の姿のメリットは、物理的なダメージに強いという点ですね。骨が破壊されても再生しますし。逆に人間の姿だと傷の治りも遅いですし、物理的なダメージも生前と同じように受けますし、脚があるから石に躓いて転ぶようなデメリットがあるんですよ。まあそれも人それぞれですが」

ピョートルは上機嫌でエマに解説しながらエマの手を引く。そしてしばらく歩いた後、エマ達は豪華な装飾のレストランに到着した。

「ピョートルさん、ここは?」

「紹介します。ここが私のレストランです。そして私の家でもあります。店名はフォンテーヌです」

「そうなんですね!」

「はい。ああ、そういえばエマさんは行くあてなどはありますか?」

「いや….無いです….」

エマは少し落胆しながらピョートルにそう告げる。

「そうですか!ではまず、腹ごしらえといきましょうか!まずは私がエマさんに料理を振る舞いましょう!見たところ、お腹が空いているようですし」

ピョートルはそうエマに指摘すると、エマの腹の音が鳴った。

「あ、そういえば最近働き詰めでしばらく何も食べてなかったなぁ….食べたとしてもゼリーみたいな軽食くらいしか」

「ではちょうど良いですね。この私めが最高の料理を提供しましょう…」

「あの、でもわたしこの世界のお金とか持ってないです….」

「お代は必要ありません。その代わり、私と一緒に働いて貰いますがよろしいでしょうか?」

「働くって、このレストランでですか?」

「ええ。冥界での居場所が出来るまで、私のレストラン、そして家に住み込みで働いてみるのも良いかと」

「そうですね….行くあてもないし、しばらくはピョートルさんのところでお世話になろうかな」

「ふふっ、ではレストランの中に入ってください。ああ、私達は従業員なのでこちらの裏口から入ります」

ピョートルとエマはピョートルの経営するレストラン、フォンテーヌの中へと入っていった。

♢♢♢

「さあさあ、どうぞ召し上がれ」

「わあ…!これがピョートルさんの料理…!」

ピョートルはエマにフルコースの料理を振舞った。トマトソースと絡み合った海老のパスタや、冥界の野菜をふんだんに使ったラタトゥイユ、そしてデザートに甘いジェラート。

その料理を、上品にフォークとナイフで咀嚼するエマ。彼女の胃袋は幸せに満たされた。

「美味しかったです…ご馳走様でした…」

「ふふふ、メルシー。お腹はいっぱいになりましたか?」

「はい…本当に美味しかったなぁ…冥界の料理ってどんなものなんだろうと思いましたが、案外現世と変わらないものですね」

「ええ。この世界は現世に近い世界なので。危険なエリアも無いし、この世界に暮らす者達は死の女王メルセデス様の手により幸せに暮らしています。ただ、幽霊も生きている人間同様お腹は減るものです」

「そうなんですね…あの、仕事の件についてなのですが」

「はい!これからバリバリ働きましょう!」

「まずはウエイターから始めても良いですか?いきなり厨房で料理は慣れてなくて…」

「良いですよ!やりましょう!」

「そして、わたしの魔法も使っていいですか?」

「魔法ですか?」

「はい。少し見ていてください」

エマはそう言うと、携帯しているボトルから魔力を帯びた土を取り出し、そこに魔法をかけて土で出来た人形を作り出す。

「おお…!これは…!」

「やった!冥界でも土があれば使えるみたいです。わたしはこのように土から人形を作り出す魔法を持っています。この人形は命令すればある程度の動作はできるので、この人形に料理を運ばせる事ができます。お役に立てれば良いのですが」

「これはこれは、思いもよらない戦力ですね。大歓迎ですよ!では、開店前の準備といきましょうか。エマさん以外の従業員もそろそろこのレストランに来るはずですし」

「はい!よろしくお願い致します」

こうして、エマはピョートルの店で働く事が決定した。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

何故か転生?したらしいので【この子】を幸せにしたい。

くらげ
ファンタジー
俺、 鷹中 結糸(たかなか ゆいと) は…36歳 独身のどこにでも居る普通のサラリーマンの筈だった。 しかし…ある日、会社終わりに事故に合ったらしく…目が覚めたら細く小さい少年に転生?憑依?していた! しかも…【この子】は、どうやら家族からも、国からも、嫌われているようで……!? よし!じゃあ!冒険者になって自由にスローライフ目指して生きようと思った矢先…何故か色々な事に巻き込まれてしまい……?! 「これ…スローライフ目指せるのか?」 この物語は、【この子】と俺が…この異世界で幸せスローライフを目指して奮闘する物語!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

処理中です...