4 / 13
第4話 集落の民衆に自己紹介
しおりを挟む
「シン様、準備はいいですか?」
「うん、大丈夫だよ」
「この集落の皆様は、既にわたしの予知能力でシン様の情報を知りえています。そう緊張なさらずに」
リヤの家で一夜を過ごした僕たちは、この集落で暮らす住民達に新しく自己紹介をするため、朝早くからではあるが集落に暮らす民たちを集め、集会を開いた。集落の家屋の数に反して、民の数は意外にも多く、全体の数はざっと80人程度はいた。
王族の頃はこの数以上の民衆を相手にすることはしょっちゅうだったから、僕としてはこういった場にも場慣れしている。だが、それは兄や姉と一緒に居る時の話であるため、一人だけでこうした場に立つことは実は緊張している。
民衆は既にリヤの予言を聞いていたからなのか、僕の自己紹介に期待に胸を膨らませているのが表情からわかる。緊張していても仕方がない。そろそろ自己紹介をするとしようか。リヤの予知能力で民は情報を得ているとはいったものの、どこまで説明しようか。・・・全部説明したほうがいいかな。
そう思いながら、僕は民衆の目の前に立ち、声を発した。
「皆さん、初めまして。僕はシンと言います。僕はナアト王国の王族で、第9王子でしたが、ある理由から国を追放され、このジャングルの中を彷徨っていたところ、リヤと出会い、この集落に招き入れられました」
「僕が国を、そして王族を追放された理由。それは、僕が獣人という人ならざる者だからです。僕は自由自在に、人間の姿から獅子の獣人の姿へと変身をすることができます。リヤからもうこの情報も聞いているかと思いますが、まずはそれを見てください」
僕は民に一通り自己紹介をし、獣化した姿を見せる。程よく全身に力を込めると、僕の身体は頭部は獅子へと変化し、体毛が全身に生え、尾てい骨あたりからは尾が姿を現す。
これが民に受け入れられるかどうかが、僕にとっての最大の難所だ。もしこの獣人の姿が気味悪がられたりしたら、間違いなくまたジャングルの中を彷徨うことになる。ナアトで暮らしていた頃は、普段は人の姿で過ごしてきた。だからこそ、人前で獣化するのは慣れていない。リヤは普通に接してくれたが、果たして結果はどうなのだろう。完全に獣化が終わった時、僕は不安に押しつぶされそうになっていた。
ざわざわと民衆はどよめいている。ああ、やっぱり。僕のこの姿は人ならざるものだから、今回も受け入れてはくれないんだろうな。そう思っていた時、民衆の中から、小さな子供が僕に歓声を浴びせた。
「すごーい!かっこいいー!!」
「おおお!!これが俺がナアトにいた頃に噂に聞いていた獅子獣人の王族様か・・・!なんと雄々しくて美しいのか・・・!」
「都を追放されて悲観に暮れていたけど。でも、そのおかげで良いものが見られたねぇ」
子供だけではない。昨日会ったばかりのマヘンドラも、歳を取った老婆も。みんな僕の獣化した姿を褒め称えていた。こんなこと、生まれて初めてだ。少しばかり驚愕する僕に、リヤが近づき、ほら、ここの皆様はあなたを否定しませんよと声を掛けてくれた。
「あ・・・ありがとうございます、皆さん・・・」
僕は少々照れながら民衆に対して礼を言う。そしてリヤは、民衆に僕に関する説明をする。
「この方は、ご覧のように、獅子の獣人の姿と、人間の姿の二つの姿を持っています。ですが、安心してください。この方は誰よりも優しく、そして頼もしいお方です。わたしの予言は必ず当たります。きっとこの集落を、巨大な大国に導いてくれるでしょう。今日からこの方が、わたしに代わり、この集落の長となるのです」
おおおと上がる民衆の歓声。そう、僕の建国は、ここから始まる――――
「うん、大丈夫だよ」
「この集落の皆様は、既にわたしの予知能力でシン様の情報を知りえています。そう緊張なさらずに」
リヤの家で一夜を過ごした僕たちは、この集落で暮らす住民達に新しく自己紹介をするため、朝早くからではあるが集落に暮らす民たちを集め、集会を開いた。集落の家屋の数に反して、民の数は意外にも多く、全体の数はざっと80人程度はいた。
王族の頃はこの数以上の民衆を相手にすることはしょっちゅうだったから、僕としてはこういった場にも場慣れしている。だが、それは兄や姉と一緒に居る時の話であるため、一人だけでこうした場に立つことは実は緊張している。
民衆は既にリヤの予言を聞いていたからなのか、僕の自己紹介に期待に胸を膨らませているのが表情からわかる。緊張していても仕方がない。そろそろ自己紹介をするとしようか。リヤの予知能力で民は情報を得ているとはいったものの、どこまで説明しようか。・・・全部説明したほうがいいかな。
そう思いながら、僕は民衆の目の前に立ち、声を発した。
「皆さん、初めまして。僕はシンと言います。僕はナアト王国の王族で、第9王子でしたが、ある理由から国を追放され、このジャングルの中を彷徨っていたところ、リヤと出会い、この集落に招き入れられました」
「僕が国を、そして王族を追放された理由。それは、僕が獣人という人ならざる者だからです。僕は自由自在に、人間の姿から獅子の獣人の姿へと変身をすることができます。リヤからもうこの情報も聞いているかと思いますが、まずはそれを見てください」
僕は民に一通り自己紹介をし、獣化した姿を見せる。程よく全身に力を込めると、僕の身体は頭部は獅子へと変化し、体毛が全身に生え、尾てい骨あたりからは尾が姿を現す。
これが民に受け入れられるかどうかが、僕にとっての最大の難所だ。もしこの獣人の姿が気味悪がられたりしたら、間違いなくまたジャングルの中を彷徨うことになる。ナアトで暮らしていた頃は、普段は人の姿で過ごしてきた。だからこそ、人前で獣化するのは慣れていない。リヤは普通に接してくれたが、果たして結果はどうなのだろう。完全に獣化が終わった時、僕は不安に押しつぶされそうになっていた。
ざわざわと民衆はどよめいている。ああ、やっぱり。僕のこの姿は人ならざるものだから、今回も受け入れてはくれないんだろうな。そう思っていた時、民衆の中から、小さな子供が僕に歓声を浴びせた。
「すごーい!かっこいいー!!」
「おおお!!これが俺がナアトにいた頃に噂に聞いていた獅子獣人の王族様か・・・!なんと雄々しくて美しいのか・・・!」
「都を追放されて悲観に暮れていたけど。でも、そのおかげで良いものが見られたねぇ」
子供だけではない。昨日会ったばかりのマヘンドラも、歳を取った老婆も。みんな僕の獣化した姿を褒め称えていた。こんなこと、生まれて初めてだ。少しばかり驚愕する僕に、リヤが近づき、ほら、ここの皆様はあなたを否定しませんよと声を掛けてくれた。
「あ・・・ありがとうございます、皆さん・・・」
僕は少々照れながら民衆に対して礼を言う。そしてリヤは、民衆に僕に関する説明をする。
「この方は、ご覧のように、獅子の獣人の姿と、人間の姿の二つの姿を持っています。ですが、安心してください。この方は誰よりも優しく、そして頼もしいお方です。わたしの予言は必ず当たります。きっとこの集落を、巨大な大国に導いてくれるでしょう。今日からこの方が、わたしに代わり、この集落の長となるのです」
おおおと上がる民衆の歓声。そう、僕の建国は、ここから始まる――――
0
あなたにおすすめの小説
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~
夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。
全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった!
ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。
一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。
落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!
パーティーから追放され、ギルドから追放され、国からも追放された俺は、追放者ギルドをつくってスローライフを送ることにしました。
さら
ファンタジー
勇者パーティーから「お前は役立たずだ」と追放され、冒険者ギルドからも追い出され、最後には国からすら追放されてしまった俺――カイル。
居場所を失った俺が選んだのは、「追放された者だけのギルド」を作ることだった。
仲間に加わったのは、料理しか取り柄のない少女、炎魔法が暴発する魔導士、臆病な戦士、そして落ちこぼれの薬師たち。
周囲から「無駄者」と呼ばれてきた者ばかり。だが、一人一人に光る才能があった。
追放者だけの寄せ集めが、いつの間にか巨大な力を生み出し――勇者や王国をも超える存在となっていく。
自由な農作業、にぎやかな炊き出し、仲間との笑い合い。
“無駄”と呼ばれた俺たちが築くのは、誰も追放されない新しい国と、本物のスローライフだった。
追放者たちが送る、逆転スローライフファンタジー、ここに開幕!
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる