ケモノだから王族を追放されたけど存外元気にやってます~国家もなにもかも全ては模倣から始まる~

岸谷 畔

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第6話 集落の宴

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僕はリヤとと共に、集落の宴へと参加した。時刻は既に夜で、星空が広がっていた。もう既に宴の準備は出来ているようで、キャンプファイヤーの炎を中心に、集落の民達が集まっていた。



「あ!シン様!」



そこには朝から夕方まで農作物を育てる際に、一緒に魔法を行使したアーシャもいた。アーシャはああいった作業に対して慣れているのか、30回ほど農作物を育てるルーティーンを繰り返したというのに疲れを見せていない。僕はもうクタクタである。



「今日は本当にお疲れさまでした・・・!私が調子に乗って30回ほど農作物を育てる作業を展開してしまいましたが、それでもお付き合いしてくれて嬉しかったです」



僕はアーシャの笑みを見ながら、良かったねと言った。疲れているが、やはり他人から感謝の念を向けられるというのは嬉しいものだ。アーシャの屈託のない、邪気のない笑みを見て、僕は久々に心が安らいでいくのを感じた。



「今日はシン様が育ててくれた作物を使って、料理を作ります!私の自信作なので、是非とも召し上がってくださいね!」



うん、と僕は頷く。隣に座っていたリヤも頷いた。辺りはすっかり夜になっており、キャンプファイヤーのパチパチという音と、集落の人間が話す賑やかな音で溢れかえっていた。集落にはこうして全ての民が集まり、月に1回程度の頻度で宴を開く。そして、みんなで食事をしたり、踊りを踊ったり、見世物として闘いを披露したりする。そういった事を、リヤは教えてくれた。



僕とリヤはキャンプファイヤーの近くで、アーシャをはじめとする食料係が作る食事を僕達は待っていた。すると、そこで僕達にマヘンドラが話しかけてきた。



「これはシン様にリヤ様。この宴に来てくださったのですね」



「ええ。この集落の大事な行事ですもの。シン様も来てくださいましたわよ」



「ハッ。シン様もお疲れのところお越しくださり本当にありがとうございます」



大丈夫だよ、と僕はマヘンドラに言い、爽やかな笑みを送った。マヘンドラも満足そうに僕の方を見つめる。そしてマヘンドラは、僕に対して更に言葉を紡いだ。



「シン様、もしよろしければの話なのですが」



「何かな?」



「この月に一度開かれる宴では、皆の衆を楽しませるための闘いがございます。その闘いは、ルールを設けて、そのルールに反さぬように闘うというものなのですが、是非とも私と戦っていただきたいのです」



え?僕が?・・・なんだろう、王族として闘いをたしなんではいたけど、でもどう考えてもマヘンドラの方が僕よりも強いような・・・。実際、今日は農作物の生育と収穫が終わった後に、マヘンドラが集落に食料を求めて侵入しようとした熊の首を切り落として退治してたのを見てたし。



「マ、マヘンドラ。もしかしてだけどさ、僕の首も今日この集落に侵入しようとしていた熊の首みたいに斬り落としたりとかしないよね?」



僕は少し緊張をしていたのか、言葉に詰まりながら必死にマヘンドラに対してそれは大丈夫なのかという確認の意を込めて言葉を放つ。しかし、マヘンドラはハッハッハッと気丈に笑いながら、



「シン様がここに来る前に、リヤ様が予言で、シン様は私よりも強いとお告げをしました。だから本気で今日は参りますぞ!」



ええ・・・。もう不安しかないよ。僕は基本的な体術は使えるけど、基本属性は模倣しかない。対するマヘンドラは確かーーー雷属性だっけ?リヤから聞いた情報が正確であるならば。まあ、リヤが嘘をついているというわけではなさそうだし、今日マヘンドラが熊を退治していた時に、電撃のようなオーラを纏った剣を使っていたから、間違いではなさそうだけど・・・





「いや、かなり心配だよ・・・」



「大丈夫ですよ、シン様。あなた様はマヘンドラに必ず勝てます。それに、そもそも宴の闘いが行われる際には、わたしをはじめとする術者が、魔法や剣などの武器の威力を大幅に下げる空間属性の魔法を展開します。その魔法が付与された空間で闘っている限りは、致命傷となるダメージは負わないようになっていますので」



「はあ・・・」



少々不穏な空気を僕は感じている中、みなさん、ご飯ができましたよーというアーシャの声。



僕らはひとまず、食事にすることにした。

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