適正異世界

sazakiri

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第82.5話

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「なぁアリス」
「なに?」
「お前ってこの街に詳しいか?」
「うーん、まぁまぁだね」
「と言いますと?」
「そんなに人間の文化に興味がないんだよね」
「急に人外発言じゃん…」
さっきまで人間同士の会話だったのにな

「じゃあ…逮捕された人は分かるのか?」
「逮捕?罪人のことか?」
「あぁ…そうだ」
ここらへんは現世との違いだな。

「新聞に載るよ」
「新聞だと?」
「ん?何か変?」
「いや…大丈夫だ」
この世界に新聞ってあるのかよ
まぁそんなことはどうでも良いが
それより、罪人は新聞で公開処刑ってことだな
この世界は結構プライバシーに忠実じゃないんだな…
まぁそんなことをしないのが当たり前なのだろう。

「アリス」
「なに?二人を探す?」
「探さない」
「え!?探さないの?」
「まぁ…話を聞け」
まぁ俺だって仲間を平気で裏切るわけじゃない。

「近いうちにあの二人は新聞に載る」
「だろうね」
アリスが頷く。
おそらくだが、あの二人が逃げきることはないだろう。
まぁこれは予想だがな。
憲兵達の力量にもよるだろうが…
あの親方の言い方的に逃げることは不可能だろう。

「新聞に載ったら、金額が書かれるだろ?」
「へぇ…トウマ知ってるんだ!」
「あぁ…最近知った」
そう。罪人はギルで釈放できる。
つまり下手に探すより、待った方が確実ってことだ。

「なるほど…でもギルはあるの?」
「それは大丈夫だ」
「へー」
まぁこれは心配する必要はないな。
流石に二人分の釈放金はあるだろ

「トウマ」
アリスが話しかけてくる。
「なんだ?」
「これからどうするの?」
「時間を潰す」
「だよねー」

まぁ作戦は整ったってとこか。
まずはあの二人がどこまで頑張るか見物だな…
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