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第三話-3
宝石みたいな青色の瞳から透明な涙があふれて、落ちる。
ああ、もう。仕方ないな。俺がお前の泣き顔に弱いのを知ってるだろうに。
お前はそんなに俺のことが好きなのか。他人行儀なよそゆきの笑顔を向けられるだけで泣いて縋ってしまうくらい、どうしようもなく俺に惚れてるのか。
かわいそうでかわいい、俺の幼馴染。
「フレデリック」
「……うん」
屈んでくれ、と指示するとフレデリックはそのまま床に膝をついた。俺の方が頭一つ分より高くなって、涙で濡れた彼の頬を両手に包み込む。
かがみ込んだ姿勢でコツンと額を触れ合わせると、フレデリックはまつ毛に涙を溜めてぱちぱちと瞬きした。ぽろっと雫になって落ちた涙が俺の指先に落ちる。
途端、湧き上がってきたのはゾッとするほど強い衝動だった。
フレデリックをもっと泣かせて精神まで蹂躙してぐしゃぐしゃにしたい。俺の膝に擦り寄って赦しを乞うようにさせたい。俺のどんな無体な要求にも否と言わず全てを受け入れて包み込んで欲しい。俺だけ見て、俺にだけ従って、俺なしでは呼吸さえ出来ないようにしてやりたい。そのためにはどんな調教をしたらいいのか。魔道具で首輪を作るのもいい。犬のように這わせた姿勢から俺を見上げるフレデリックはさぞ可愛らしいだろう──
「……ッ」
「ウォルフ?」
頭をガンと殴られたような衝撃があった。まさか俺の中にこんな欲求が、存在するなんて。
フレデリックは親友で、大切な幼馴染で、かけがえのない存在だ。それを己の欲望のために蹂躙しようだなんて、思うはずがない。……そう思っていたはずなのに、これはなんだ?
フレデリックの頬に触れていた手が震えた。
真っ青になって身体を引く俺を見上げ、フレデリックが困惑したように手を伸ばしてくる。俺はその手に捕まらないよう部屋の奥へ逃げて、頭を抱えた。
嘘だ、嘘だ、と震える吐息で何度も呟いてその場にうずくまる。
「ウォルフ!具合が悪いのか?」
慌てたように近寄ってきたフレデリックは、ぎゅっと俺の身体を抱きしめてくる。しっかりとした厚みのある身体に包まれてホッとする気持ちと、また別の欲求がむくりと頭をもたげた。
「アデラの……」
「アデラ?アデラがどうかしたのか」
「『予言』なんだ。……ごめん、フレデリック」
いつ間にか俺の頭の中は熱いマグマを満たしたように沸騰していた。思考も上手くまとまらない。
衝動的にウォルフの腰を掴み、ポイとベッドの上に放り投げた。俺の筋力ならこれくらいは造作もない。怪我をさせるといけないからなかなか人間相手に表に出す事が出来ないが。
「ウォルフ?」
不思議そうに問いかけてくるフレデリックを見下ろしながら、俺は無意識に唇を舐める。そして湧き上がる欲のまま、彼の唇を噛み付くようなキスで塞いだ。
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