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第八話-1
しおりを挟むさして広くもない天幕の中、簡単に整えられた寝床の上で俺は真剣に事態と向き合っていた。
「……公子殿?あー……俺は別に構わねぇけどよ」
困り切った表情で俺の目の前にいるのはマグナス団長だ。
装備を外し、簡素なシャツとズボンだけの姿になっている。シャツが張り裂けそうなくらい立派な胸筋が、俺の目前に晒されていた。
実は俺が今現在座っているのは、マグナス団長が胡座をかいたその膝の上だ。こうしてみると本当に身長差……というか体格差がエグい。俺だって平均よりは育ってる方なんだが。
そもそもなんでこんなことになったのか?
それは俺も今悩んでいるところだった。
団長を訪ねたのはこういう意図じゃなかったんだが。
剣術授業の実地訓練の日は意外と早くやってきた。
学院内の特別授業で、4日間の遠征日程が組まれた。拘束時間を考慮して1ヶ月分の出席に換算される。
各自、遠征に出かける騎士団の装備を借りて学院を出発した。
そして一日中魔獣のはびこる東南の森で実地訓練をした後、夕暮れには本日の野営地へと着いた。
俺の強さを噂以上にちゃんと知っているのはこの中ではほんのひと握りで、狭い人間関係の中では知られると面倒な事なので黙っていた。
今でも若干遠巻きにはされているが。
面倒事を避け、適度に手を抜いて人の目に触れないように魔獣を倒していたが、どうしても単独行動のように見えてしまう。
それについては団長もダメだとは言わなかったので、好きにさせてもらった。成果として魔獣の身体の一部を持ち帰っていたので、文句はないだろう。
ちなみにこの魔獣の部位については冒険者ギルドで教えてもらった。ギルトで換金が可能なので後で回収する予定だ。
日が暮れる前に、一行は結界石を使い野営の天幕を張った。
団長が騎士団から数人手伝いを呼んでくれているので、安全は確保されている。携帯食で簡単な食事も済ませ、また明日の訓練に備え各自休むことになった。
生徒達が持ってきたのは2人用の小さなテントだ。騎士団では、ペアを組み交代で寝るのが遠征任務の常らしい。
当然だが俺のペアは同学年のフレデリックだった。
しかも今回は授業なので見張りで一人起きている必要はなく、寝ていていいぞと気の良い騎士団の面々に言われてテントに入った。
……そこで俺は散々な目に遭った。
当然のように始まるフレデリックの房中術スキルアップ講習に、俺は半泣きになって逃げ出してきた。それでも数時間は耐えたのだからもういいだろう。フレデリックは基本的には俺の制止に逆らわないので、強く言えば行為は終わる。
ただ幼い頃から染みついた修行根性が、無理だダメだの言葉を勝手に封じるのだ。限界まで我慢して、それでようやく逃げ出す判断が出来る。
幼馴染で俺の性格をよく把握しているフレデリックは、俺の意地も見抜いているようだった。
フレデリックに執拗に弄られた乳首はじんじんと痛むし赤く腫れてしまっている。
こういう場合、翌日サロンに行けば察したエルヴェが軟膏を塗ってくれるのだが、今は遠征授業中なので彼らには近寄っていない。訓練の邪魔をするのはさすがに気が引ける。
それでフレデリックを避けて逃げ込む先といえば、マグナス団長の天幕しか思いつかなかった。
それで今、俺はこの天幕に居る。
すでに寝る支度を整えたマグナス団長を前に、俺は事の顛末を話していた。もちろん、アデラやガチムチハーレムの話は伏せている。
訳があって房中術の訓練をする必要があるが、俺はフレデリックとの鍛錬がうまくいっていないと説明した。
俺の悩みを聞いてマグナス団長は酷く同情したらしく、天幕に匿ってくれることになった。
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