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閑話―フレデリック・3

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 ウォルフハルドが、自分より長身の殿下の顎を掴んだ。ふ、と蕩けるような笑みを浮かべた殿下が頷いて頭を垂れる。

 それで話は終わったとばかりに、ウォルフハルドは視線を巡らせた。
 そして今日の野営地とは逆方向へと踏み出した。

「ウォルフハルド、何処行くんだ」
「綻びはなくなったから魔物はこれ以上増えないが、それより前に出てきたヤツは掃除しないとな。この山の向こうは火竜の群れがいるんだ。前に討伐依頼が出ていて覚えてる」
「……もしかして一人で火竜の群れに突っ込む気なのか」

 はぁ、とため息をついた俺にウォルフハルドはにこにこと上機嫌に問いかけてくる。

「そっちの三人は城に戻るのが最優先。……だからフレデリックはこっちで俺の手伝いだ。いいだろ?」










 火竜の群れは思ったよりも数が多かった。小さな個体もいたので繁殖をしていた可能性もある。早めに対処できてよかったのかも知れない。

 俺は得意の即死魔法と、麻痺、毒、精神攪乱などの補助魔法を使い火竜の動きを鈍らせ、そこをウォルフハルドが捌いていった。

 朝出立して結界を直し、日が暮れる頃には火竜の巣が死体の山になっていた。流石に装備も汚れて身体も疲労している。
 ウォルフハルドは火山の中腹に温泉が出ていると地図を見て言い、そこに連れて行ってくれた。

 昔は地元の村人が使っていたのか、石で囲われた露天になっている。きっと火竜が住み着く前は村人の憩いの場所だったんだろう。

 ……ともかく、戦いの汚れを落とせたのは良かった。血や泥にまみれて帰りたくはない。

「ウォルフ」
「ん」
「城は大騒ぎになってるだろうな」
「ああ。アデラの予定よりはだいぶ早いが、『王でさえ俺の顔色を窺うようになる』んだってさ。笑えるよな」

 湯を使い布で身体を拭っていたウォルフハルドは、笑いながらそう言った。その背に俺も濡らした布を当てて、背中側も拭いてやる。肩越しに振り返ったウォルフハルドが目を細めた。

「お前、アデラから何を聞いた?」
「大した事は聞いてないよ」
「じゃあどんな些末な事を聞いたんだ、フレッド」

 名前まで呼んで食い下がってくるウォルフハルドの唇を、キスで塞いだ。
 ムッとした表情で俺を見つめる目が、ちゅ、ちゅ、と軽くついばんでいくごとにじんわりと熱を帯びる。

 薄い唇が開いて俺の舌を受け入れ、ウォルフハルドの腕が俺の背に回ってきた。温泉の湯で濡れた縁石に腰を下ろして、キスを深くしながらウォルフハルドを抱き上げる。
 座った腰の上を跨がせて向き合うように抱き締めると、ジッと見つめてくる黒い瞳が期待に潤んでいるのが見えた。

「勃ってる」
「お前もだろ。クソ、なんでそんなに手慣れてるんだよフレデリックは!同い年だよな!?」

 スキルのおかげで、なんて言おうものなら何処で身につけたと聞かれるかもしれない。
 俺はシレッと無視してウォルフハルドの性器を片手に握り込んだ。きゅっきゅっと手の平の中で擦り上げると、ソレは立派に育っていく。
 均整の取れた逞しい身体に見合った性器だ。つまり体格が良いのでナニもデカい。これがミサ内だったらウォルフハルドは男にも女にも大人気だろうなと思った。……美しいウォルフハルドを見せびらかしたい気持ちはあるから、嬉しい反面、少し気に入らない。

「……」
「な、なんでそんなに見るんだ……」

 思わずジッと性器に見入っていたら、ウォルフハルドが声を上げた。ハッとした俺は自分の性器とウォルフハルドのモノを一緒に握り、緩く扱き始めた。

 うながすと彼の手も性器に伸び、ソレを擦り立てていく。夢中になって腰を揺らすウォルフハルドが可愛くて、ついまじまじと凝視してしまった。本当は一秒たりとも目を離したくない。

「……選んでおいて、ウォルフハルド」
「う、……ん?」
「選ぶんだ。どっちがいいか」

 腰を支えていた手をするりと尻へ伸ばし、震えているアナルを指先でスリスリと撫れる。
 ひくん、とウォルフハルドの腹筋が動いた。驚いたらしくまだ理性の残る瞳が俺をジッと観察している。

「意味がわからないわけじゃないよな?……俺を抱きたいのか、抱かれたいのか、結論をつけておけって事だよ。選ぶのは、ウォルフだ」



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