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第十三話-1
数時間前の自分をぶん殴りたいと思ったのは初めてだ。
「……っ、ふ、……ぅ、……っく」
「ウォルフ、唇噛まないで。痕が付く」
「んんっ、……ん、ぁ、ふ、……っ」
「噛むなって。……ずっとキスしてようか?」
耳朶に吹き込まれるフレデリックの声が、甘くて甘くて、頭の中をどろどろに蕩けさせてくる。ベッドに押し倒したのは俺の方だったのに、いつの間にかそのままの姿勢で形勢が逆転していた。
温かい手のひらに腰や尻を撫でられるだけでむず痒い快感が走る。予想以上にフレデリックの房中術のスキルが高いせいだろうか。
悔しいことに俺の身体が完全に負けを認めている。
風呂をつかったあと、寝るための薄い夜着を身につけていたのもいけなかったのか、触れられる感覚が近い。それは直に触られているより余計に淫靡な感じがして、堪らない快感を生む。
薄い布地の上から、フレデリックの手は俺の身体すみずみまで撫で擦った。
何度も唇を啄まれて、ぼうっとするほど舌を絡められ口の中をなめ回された。
ちゅく、ちゅ、ちゅ、くちゅ、と濡れた音が立って、すりすりと全身を撫でてくるフレデリックの手が一時、俺の耳を塞いだ。
濡れたキスの音が身体の中に響き、それが腰が砕けるほど気持ち良くて恥ずかしくて、思考が散り散りになっていく。耳を塞いでキスをするとこんなことになるなんて、フレデリックはどこで知ったんだ。もう経験値から違い過ぎて相手にならない。翻弄されるばかりだ。
フレデリックは俺の背に手を回し、服の上から背、腰、尻と熱い手の平を移動させた。
尻にまで到達した手が俺のアナルをくりくりと撫でながら、尻肉を揉んでくる。狭間を優しく撫で、フレデリックは口で俺の乳首も服の上から弄り回した。
ちゅう、と吸い付かれて舌が乳首を押しつぶしてくる。薄い布地がじわりと唾液を吸い込み、濡れて張り付いた。逆の乳首も苛められて、きゅっと唇で強く食まれると腰が跳ねるくらいの快感が生まれた。
じっくりと執拗に身体を探られて快感にひたされ、理性が融解していくのが判った。
どれくらいフレデリックに身体中を愛撫されていたんだろうか。
唇を噛んで声を堪える事を考えていられたのは、最初のうちだけだった。いつの間にか時間の感覚がなくなって、パンパンになった股間をフレデリックの硬い腹筋に擦り付けていた。
やわやわと弱い快感に炙られ過ぎて、もう何処を触られても感じた。全身が性感帯になってしまったかのようだった。
イキたい、と息を乱しながらフレデリックの上で腰を擦り付けていたら、ようやく大きな手が伸びてきて俺のペニスに触れた。ぐるんと視界が反転して、天井を背にしたフレデリックの顔が見える。
見た事もないくらい発情して、色気のある雄そのものな顔をしていた。
「……閨事のスキルには、する側とされる側があるって」
「は、……ふ、ぇ?」
「アデラから聞いてないよな、その様子だと。ちなみに俺が育てたのは、される側。ウォルフは今、そのスキルがほぼ上限まで育ったところかな。たった今、この場で……俺に愛される為の身体が完成したってことだよ。もう嬉し過ぎて死にそう。可愛いウォルフ、たくさん気持ちよくするから」
愛撫の傍ら、ずっと指でちゅくちゅく浅めに弄られていたアナルに、ずぷっと二本の指が入ってきた。一気に入ってきて少し曲がり、前立腺を的確にこね上げてくる。
ビクッビクッと腰を跳ねさせて『ぁんっ』と声を上げた俺に、フレデリックは蕩けそうな笑みを浮かべた。
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