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三章 最強の魔術師
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何でそんなに意外そうな顔するのかな? 師匠がこれからも魔力を吸い取られ続ける意味って、別にないよね。三百年も頑張ったんなら、もう対価としては十分じゃない?
過剰に支払い続けるのは、精霊の理としてもあり得ない。
師匠にとって『親友の亡骸』はそれだけの価値があったのかもしれないけど。
……あ、ちょっと今モヤモヤが再発してきてしまった。
「ここにくる途中でもう一カ所、城の上のほうに師匠の魔力っぽいのを感じたから、結界の礎になってる『右目』の場所はわかるんだ。
でも今どんな状態かもわからないし、取り返しても年月が経ちすぎてもう目の役割は果たせないかもしれないなって……。
だから、結界はこのまま壊して師匠の右目は新しく作ろうと思うんだけど、どう?」
「どう……ってお前」
そんな唖然とした顔の師匠を見るのは初めてだった。
俺もパチパチと何度か瞬きして、もう一度城内の魔力の流れを探ってみる。師匠の『右目』らしきものがあるのは、城の最上階の部屋だ。
王様なのか、精霊術士なのか、入れ替わり立ち替わり誰かしらがそこで結界を監視しているようだった。
あれを正面から相手して右目を奪取するより、結界を破壊……いや『分解』してエーテルにしちゃった方が全然早い。それで落ち着いてから師匠の新しい右目を作ればいいんじゃないかな。
俺が作った目を、師匠が嫌じゃなければだけど。
「王都の結界が壊れれば、何が起こるかわかってるのか」
「戦争でしょう。人がたくさん死ぬかもしれないよね」
「……ああ。近々アンセル王はまた戦争を仕掛けるつもりらしい。俺に、戦に手を貸せと言ってきた。結界を精霊術士たちに維持させて俺を兵器代わりにするつもりだったらしいな」
エレンがクズ王って言うだけあって、本当に意味がわからない王様だ。師匠の魔術をそんな風に使わせるなんて、絶対に嫌だ。
ジッとこちらを見つめる師匠は、本当に結界を壊していいのかと問いかけてるみたいだった。
俺だって、そのせいでたくさんの人が死ぬのは嫌だなと最初は思ったよ。
だけどね、よく考えてみたら、それって本当に俺のせいかな!?
馬鹿な王様が野望を抱いた末の破滅は、本当に俺と師匠のせいになるのかな?
そこまでなんでもかんでも自分のせいとして背負い込むほど、俺はお人好しじゃないよ!
俺は大事なものと、守りたいものをちゃんと上から順位がつけられます。そしてその頂点にいるのが、今目の前にいる師匠だ。
「師匠、俺は怒ってる」
「……うん?」
「この国にも、王様にも、あんな神話を信じて生きてる人々も、師匠を殴った精霊術士にも!」
珍しく強い言葉で叫んだからか、師匠はなにも言わず俺をまじまじと見つめていた。
「それと――三百年前にそんな契約をとりつけた師匠にも! すっごく怒ってる!」
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