死にたがりの半妖が溺愛されて幸せになるまで。

天城

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七話-02

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 だって冬青は、まるでオレが鬼族の男達にしていたように、口淫をしてくれたのだ。奉仕すべきなのはオレなのに、こんなオレの性器を嬉々として頬張ってたくさん舐めて、気持ち良くしてくれた。

 そこを可愛がられるのがこんなに恥ずかしくて気持ち良い事だって、オレは知らなかったんだ。オレの記憶の中では、口淫は恐ろしくて怖くて、太いモノを無理矢理突っ込まれる辛い行為だと思っていたから。

「判りました」
「……え。……エンジュ!?」

 くるりと居る場所を交代させられて、壁に背をつく。帯を解かれ、優しく足を開かされて露わになった性器を軽く扱かれた。大きな手に覆われてちゅくちゅくと濡れ始めた先端が、淡く色づいていく。
 
「は、……は、……っ、んぁ、あっ」

 快感に息を跳ねさせ、短く呼吸を継いでいたオレのソコを、エンジュがすっぽり口に含んでしまった。温かい粘膜に包まれて吸われ、舌で亀頭からカリの部分をなめ回される。

 それからもっと奥まで飲み込まれて、とろとろした唾液の中でジュッ、ジュッ、と吸われたり揉まれたりした。

「ああっ、あっ、ぁんっ……!」

 腰がビクビクと震えてオレは高い声を上げた。
 気持ち良くて頭の中がびりびりと痺れていくようだった。強すぎる快感は、少し痛い。身体が跳ねて無意識に逃れようとするのに、壁とエンジュの身体に挟まれて身動きがとれなかった。

 尻を掴まれ、ぐうっと引き寄せられてより奥まで咥えられる。ゴリゴリと触れるのはざらついた喉の壁だ。
 その刺激がゾクゾクするほど心地良くて、オレは呆気なく射精した。

 エンジュの口の中に、とぷ、とぷ、と薄い精液を吐き出していく。昨夜も冬青にたっぷりと絞られたから、最近はずっと薄い精液しか出なかった。

「エンジュ?……ぁ、ひっ……イッた、からっ……エンジュ!」

 残った精液まで亀頭から吸い出したエンジュは、すぐにまたソレを口に含んで愛撫を始めた。今度は濡れた指先で肛門も優しく揉み込んでくる。敏感になった粘膜を執拗に弄られ、強すぎる快感に追い上げられていった。

「ぁ、あ、あっ、でちゃっ……でちゃう、……えん、じゅっ……ひっ、ぁ、あっ、ぁっ」

 とぷっ、とまたすぐに精液を吐き出して、オレははあはあと荒い息を吐いた。性器を濡れた口の中でいじり回されて、頭の奥がズキズキするくらい気持ち良くて、苦しくて、つらい。

「え、えんじゅっ、も、でないっ……あっ、あっ、きもち、よ、すぎるっ、ぁ、あ、ひっ……ああっ」

 じゅぽ、じゅぽ、と下品な音を立ててエンジュの口からオレの性器が出入りする。唾液に塗れたそこは擦られ過ぎて少し赤くなってきている。イッてからも快感に逆らえず勃起して、ブルブルと震えていた。薄くて少量の精液をまたびゅっと吹きだして、脱力する。

 それでもエンジュはオレの亀頭を舐めしゃぶり、じゅるじゅると唾液をまぶしては吸っていた。ひくひく、とオレの薄い腹が快感に震えている。

 でもオレはもう、息を乱して泣いているしかできなくて、ゾクゾクッと背を走る異様な快感にも流されるしかなかった。

「ふ、ぁっ……――ッ、ぁ!!」

 ぷしゅっ、と精液でないものが、亀頭から吹きだした。さらっとした液体が何なのか判らなかったが、ほとんどエンジュの口で受け止められ飲み込まれてしまう。
 まさか漏らしたのではと驚いて『飲んじゃダメ』と言って飛び起きると、カクンと腰が抜けてエンジュの方へ倒れ込んだ。

 両手を広げたエンジュがそっと抱き留めてくれて、温かい腕の中にすっぽりと包まれる。『大丈夫ですよ、これは潮です』と耳元で囁かれた。しお?ってなんだろう、小水とは違うのか。

 大きな腕に抱き締められると、さっきまで性器を責められてばかりで苦しくて辛かったけれど、そんなの全て吹っ飛ぶくらいに心地良かった。
 ぎゅっと抱き締められるのがこんなに気持ち良いことだって、オレは長いこと忘れていた。

「エンジュ、もっと」
「……いくらでもご奉仕させて頂きます」
「ちがう、ぎゅってしてくれ。ぎゅーって」
「……。はい、ハル様」

 腕がまわらないほど分厚い身体に、一生懸命手を回す。ごつごつした背の筋肉に手を這わせると、腰と首の後ろに大きな手が回ってきて、ぎゅうっと抱き締められた。
 
 ああ、気持ち良い。あったかい。

 ぽわっと胸の真ん中があたたかくなって、泣きたくなるほど心地良かった。頭の中が痺れてしまうくらい幸せでいっぱいになる。はぁ、と安堵のため息が漏れた。

 しっかりと抱き締められたまま、顔を上げると潤んだ黒い瞳と目が合った。

 なんでそんなに、泣きそうな顔をしているんだろう。こんなに幸せなことはないのに、気持ち良くて天国にいるみたいなのに、どうしてエンジュはそんなに悲しそうなんだ。

 可哀想に。泣かないで、エンジュ。

 そういう気持ちを込めて顔を近付け、ぺろ、とエンジュの頬を舐めた。さり、さり、と目尻の方まで舐めて、もう一度顔を覗き込むと頬が薄赤く色付いていた。人間の肌に、獣の舌は痛かっただろうか?

「あまり見つめないでください、吸い込まれてしまいそうだと申し上げたでしょう」
「……え」
 
 頭を支えられたまま、布団の上に押し倒される。見上げた先で、法衣を乱暴に脱ぎ去ったエンジュは乱れた黒髪を荒っぽく掻き上げた。
 ずっと穏やかだったエンジュには似合わない仕草で、何故か背がゾクリと震える。

 狩りの獲物になったような気がしたからだ。黒い瞳に、一瞬ギラつく獣の光を見た気がした。もしかして、かあさまの血筋ってエンジュも……。

「妖力と霊力が混じる?それは随分とぼかした表現ですね。貴方から与えられるモノはすべて私たち末裔には『力』になるんですよ。ハル様にはなにも利点はない。ただ私達が、貴方に愛されたくて慈悲を乞うのです。……ああ、食べても食べても、もっと貪りたくなる。貴方の身体は麻薬のようですよ。こうして目の前に現れるまで、私はこの飢えを知らなかった」

 ギラギラと欲に彩られたエンジュの瞳は、それでも理性を残していた。

 オレに触れてくる手は乱暴ではなく、そこに気を遣っているため他が荒っぽくなってしまうようだった。

 乱れた寝台に、脱ぎ散らかされた法衣、切羽詰まったエンジュの吐息、どろどろに蕩けさせられていくオレの身体と、喘ぎ、泣き声、そんなものが夜半過ぎまでその部屋を満たしていた。


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