死にたがりの半妖が溺愛されて幸せになるまで。

天城

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七話-01

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「急拵えで申し訳ありません」

 眉を下げてそう言ったエンジュは、充分過ぎるほど柔らかな布団にオレを降ろしてくれた。
 そして棒みたいなみすぼらしいオレの腕をそっと持ち上げると、手首、手の甲、指先に柔らかい唇を押し当ててくる。それが妙にくすぐったくて、首を竦めた。

「ハル様のその耳と尻尾は、儀式の際に飲んだ薬と香の効果です。妖魔の里とこちらでは時間の流れが違うという話は聞いておられると思いますが、それを一時、こちらの流れに乗せる術が施されています」
「……時間を、人と同じにした?」
「さようです。しかし無理矢理こちらの世界に合わせて頂くのですから、御身に負担もかかります。その防御のため、本能の一部を開放し……獣性を残した姿を保つようになっています。ところでハル様、この尻尾の輪は」
「あっ、それは冬青が」
「……」

 パチン、と無言でその輪を外したエンジュは、手の中にその金属を握り締め、粉々にしてしまった。

 そんな脆いモノのように見えなかったので呆然とする。

 ちょっと怖くて窮屈な輪が外れたのは良いけれど、壊していいものだったのか?オレは呆気にとられたままエンジュの手元を見上げていた。

 小さく『あの愚か者が』と呟く声が聞こえた。でも次の瞬間エンジュはいつもの笑顔になっていたので気のせいだったかもしれない。

「ハル様。冬青殿は、眷族と人間はどのように触れ合うと? お許しを頂けるならば同じように触れさせて頂きたいのです」
「……あ」

 寝台の上に座らされ、正面から問われてオレは目を泳がせる。冷静にそうして話されると、それが普通だと思ってきたものが恥ずかしい事だったように感じる。言い淀み、でも答えを待っているエンジュに悪くて意を決して顔を上げた。

「エンジュ、ここに座って」

 寝台の奥の壁に凭れる場所にエンジュを座らせ、その身体に背を向けるようにしてオレも座る。胡座をかいたエンジュの膝に乗った状態で、筋肉質な胸板に寄りかかり、大きな両手を着物の合わせに導いた。

「オレの胸はちいさくて、育てないといけないから、……ゆっくり揉んで、さすって。たくさん」
「……はい、ハル様」

 冬青の手は少しざらついていて無骨な手だったけれど、エンジュは指が長くて肌が滑らかだ。その手が、繊細な動きでオレの胸を掴み、やわやわと揉み上げる。

 オレは肉付きが悪いからさして掴めるものもない、貧相で面白みのない身体だ。妖魔の里ではよくそうやって嗤われた。

 申し訳ない気持ちになりながら、エンジュの手にオレの手を重ねる。ぎゅっと握って誘導した。

「指で……オレのち、ちくび……はさんで、こりこりって引っ張り出して……」
「はい」
「っん、……ぁ、……摘まみ難い、くらい、ちいさいって、ごめん、なさい……あっ、んっ、……もっと強くて、へいきっ……あぁっ!!」
「痛くないですか」
「んっ、だいじょうぶ、がまん、できるっ……ンンッ、ぅ、……ぁんっ」
「我慢しないで、気持ち良いくらいでやめましょう。これくらいですか?……こう?」
「ンッ、ぁ、ふ、……んんっ、きもちっ、いっ……あぅっ……」

 耳元で優しく囁いてくるエンジュは、オレの乳首を軽く弾いたり揉んだりするだけで気持ち良い事だけしてくれる。オレは膝を擦り合わせてもじもじと身体を捩った。

 きもちよくて、身体の力が抜けて、とろとろにされてしまう。
 触るのを許したのはオレだから、『かし』っていうのはよく判らないけど、ちゃんとエンジュに教えてあげなきゃいけない。がんばらないと。

 オレの乳首は本当に小さくて、冬青の指では最初上手く掴めなかったんだ。だから乳輪を摘まんでくにくに弄ったり潰すように撫でるのからはじまった。そうして揉んで摘まんでくり出してやるとぽつりと尖りが膨らんできて、ようやくまともに摘まめるようになる。

 毎回手間をかけさせてしまうので、どうにかならないかと思っていた。
 あまり面倒だと、冬青も触りたくなくなってしまうかもしれない。こんな痩せ細った雄の身体に興味を持って、触ったり撫でたりしてくれるなんて奇跡みたいなものだ。いつ飽きられて、しなくなってしまうのかも判らない。

 出会った人間、みんなこんなに優しいのに。オレはまだどこかで彼らを信じられなくて、いつ裏切られるかと怯えていた。

「はぁ、はぁ……あと、あとは……あれ、これは夜?」
「昼間と夜で触る場所が違うのですか」
「うん。昼間は、縁側で日向ぼっこしながら……ちくびと、胸を揉むのと、口吸いたくさん、……オレの腰が立たなくなったらおしまい」
「……。夜は」
「よ、夜は……冬青が舐めて穴を濡らしてくれて、指で慣らして……それと」
「それと?」

 カアッと顔が熱くなって、耳がへたりと伏せてしまうのが判る。そろりと慣れない仕草で自身の股間に手をやって一瞬言い淀んだ。ブルブルと身体が震えて、ぎゅっと目を閉じる。

「こ、ここを……手と口で、かわいがって、もらった…」

 エンジュの反応がどうなのか確かめるのが怖くなってしまう。


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