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全てが終わった日。
2話 王族と転生者
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「…う…。」
「お目覚めかな。よく寝るよほんと。」
ぎしりとベッドが揺れる。
何を言ってるんだ、さっき眠りに着いたのに。
はぁ…リックは_
はっと意識を声の方へ向ける。
成人の手が楽しそうにベッドに体重をかけて遊ぶ。
全体的に白髪でインナーカラーが赤い、真っ黒い瞳のガタイのいい男。
瞳は、何も映さないほどの漆黒。にぃっと笑った歯は吸血鬼のような牙が生えていて、白いタートルネックはガタイの良さでピチピチになっている。
「わぁ!危な~!」
私の火魔法なんて消せる癖にぴょんっと避けて遊んでいる。
「ははは、お遊びはこれぐらいでいい?…ベロニカ様がお呼びだ。早く来い。」
「…はい。」
黒いレースが基調の洋服を纏う。
服が生傷に擦れて痛みを伴う。
首元を飾る黒いレースの下から胸までは白地にさらに白い刺繍されたレースで一切肌の色は見せていない。
柔らかいように見えるが、案外硬い素材で出来ているらしい。
白地に黒いアクセサリーが映える。
ダイヤと十字架を模したピアスやネックレスたちを見つめる。
この国の国旗に含まれている。
死と戦争の国。
闇の神獣 オーディンを所持する黎明帝国の。
鏡に映る首元の痣が忌々しい。
黎明の奴隷である印。
この喉を掻き切ることができたら、どれだけいいか。
ぎゅっと2連のネックレスの1つを握りしめる。
この国が、世界の均衡をぶっ壊した。
火の国を、レッドウィングを、滅ぼしたのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
コツコツとブーツのヒールを鳴らし、食卓に足を踏み入れる。
「キャハハハハハッ!」
皿が割れ、中に入っていたシチューが飛び散っている。
「ベロニカ様。もうお食事はいいのですか?」
さっき部屋に入ってきた男が問う。
「アハハ!これもう嫌ー!おい!他のを作れ!!!」
甲高い声で召使に指示を出す。
「は、はい!!かしこまりました!」
このワガママお姫様が、闇の神獣 オーディンの継承者、ベロニカ・ウィムスタ。
白髪の髪は長く毛量もあり、全体的にギザギザとした歯。特に犬歯が異常に尖っているが、部屋に来た男よりはマシだ。
血液を思い出される赤い瞳は戦闘狂にピッタリだ。
服は黒と赤を基調にされている。
ブラウスの黒い生地に同じ色の刺繍がくっきりと入って硬そうに見える。
赤いベストと、赤いネクタイには宝石が飾り付けされている。
髪留めにはコウモリのヘアピンと、何かの実を模したピアス。
裕福な、金持ちの服装だ。
「今日は誰を殺すー!?どこ滅ぼすー!?ぱーぱ、喜んでくれるかなぁ!!!」
こんな、こんな狂気の元に、私は10年もいる。
あの日から、あの日から、10年の月日が流れた。
私がなぜ生きているのか、なぜこいつのそばに居ることになっているのか。
それは、私が転生者だかららしい。
転生者、聞いたことがなかったが、不思議と腑に落ちた。
「サガラ、どっか殺していいやつ居ないのー??」
そう、あの女のそばにいる男も転生者だ。
相良 貴彦。そう名乗った。
実際に、この世界にない読めない文字を書いていた。
自分は転生者だと、言った。
ここ10年で、様々なことが変わった。私の知らないことを知った。
神の力、神獣は人から人へ力は伝染するため、王族が権力として持っていることが絶対である。
まれに転生者というのが現れるらしいが、そいつらは、特別な魔法を使うと言われている。
王族のことを古代神王。転生者のことを近代術者と呼んだ。
発見され始めたのは、ここ数年だ。
神の力を継承していることや他には無い力を持つことが多いため、各国々で、代々従者として王族に仕えさせる取り決めがされた。
神が王へ贈った者とされるが、知識のない人間に発見される場合は、なんの権力も持たない奴隷になっていることがある。
神獣は王族の血筋が継承し、神獣特有の魔法も受け継がれる。
手から炎や水を出す程度の威力を持っている時点で、この世界では優秀な部類になる。
均衡が崩れた今、戦争に使う手駒になるのは、間違いなく、取り決めはしたが、転生者の使い方は、国それぞれだ。
1人を従者にして、他は戦争に送り込んだり、従者という肩書きの奴隷にしてこき使ったり。
私のように、記憶がない転生者もいれば、相良のように記憶のある転生者もいる。
領土を求め、攻め込んだレッドウィングで、偶然、転生者を見つけたあいつは、他にもいるかもしれないと考え、仲間にすれば国の統一も可能ではないと帝王に具申した。
諸国は国を上げて、転生者を捕まえようとしている……が、転生者の見分け方はわからない。だから、誰彼構わず、瀕死まで追い込むようになった。
今まで、神獣のみだと思っていたら、別の戦力が見つかったのだ。
均衡なんぞはなくなり、戦争の世に向かっていったことは言うまでもない。
私がこうして、憎くてたまらない相手の従者といるのも、この国のやり方だ。
可愛いお姫様を守るために皇帝様は、2人も転生者を付けたのだ。
私が姫様の首を掻こうとしても、不眠が能力の一つである男がずっと見張っている。
故郷の形が目と鼻の先にいるのに、殺せない悔しさをずっと抱え続けてこの場に10年も留まっている。セドリックは、みんなは、この女に殺された。
私が、私がやらないと、みんなが報われないのだ。
転生者だからこの場にいれる。私がこうやって良い服を着て、何不自由なく生き残れているのは、女神の加護とやらで死ねない体になっている。恐らく、外傷では死ねない。
それに気づいた相良は私を従者へと推薦した。
私を肉壁として使うために。
戦争のきっかけであるこの国は、恨みを買い、10年そこらでは争いの落ち着きを見せなかった。
ベロニカ自ら、私に剣技や魔法を教え、強い兵器に育成された。なりたくもない兵器に。
「お目覚めかな。よく寝るよほんと。」
ぎしりとベッドが揺れる。
何を言ってるんだ、さっき眠りに着いたのに。
はぁ…リックは_
はっと意識を声の方へ向ける。
成人の手が楽しそうにベッドに体重をかけて遊ぶ。
全体的に白髪でインナーカラーが赤い、真っ黒い瞳のガタイのいい男。
瞳は、何も映さないほどの漆黒。にぃっと笑った歯は吸血鬼のような牙が生えていて、白いタートルネックはガタイの良さでピチピチになっている。
「わぁ!危な~!」
私の火魔法なんて消せる癖にぴょんっと避けて遊んでいる。
「ははは、お遊びはこれぐらいでいい?…ベロニカ様がお呼びだ。早く来い。」
「…はい。」
黒いレースが基調の洋服を纏う。
服が生傷に擦れて痛みを伴う。
首元を飾る黒いレースの下から胸までは白地にさらに白い刺繍されたレースで一切肌の色は見せていない。
柔らかいように見えるが、案外硬い素材で出来ているらしい。
白地に黒いアクセサリーが映える。
ダイヤと十字架を模したピアスやネックレスたちを見つめる。
この国の国旗に含まれている。
死と戦争の国。
闇の神獣 オーディンを所持する黎明帝国の。
鏡に映る首元の痣が忌々しい。
黎明の奴隷である印。
この喉を掻き切ることができたら、どれだけいいか。
ぎゅっと2連のネックレスの1つを握りしめる。
この国が、世界の均衡をぶっ壊した。
火の国を、レッドウィングを、滅ぼしたのだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
コツコツとブーツのヒールを鳴らし、食卓に足を踏み入れる。
「キャハハハハハッ!」
皿が割れ、中に入っていたシチューが飛び散っている。
「ベロニカ様。もうお食事はいいのですか?」
さっき部屋に入ってきた男が問う。
「アハハ!これもう嫌ー!おい!他のを作れ!!!」
甲高い声で召使に指示を出す。
「は、はい!!かしこまりました!」
このワガママお姫様が、闇の神獣 オーディンの継承者、ベロニカ・ウィムスタ。
白髪の髪は長く毛量もあり、全体的にギザギザとした歯。特に犬歯が異常に尖っているが、部屋に来た男よりはマシだ。
血液を思い出される赤い瞳は戦闘狂にピッタリだ。
服は黒と赤を基調にされている。
ブラウスの黒い生地に同じ色の刺繍がくっきりと入って硬そうに見える。
赤いベストと、赤いネクタイには宝石が飾り付けされている。
髪留めにはコウモリのヘアピンと、何かの実を模したピアス。
裕福な、金持ちの服装だ。
「今日は誰を殺すー!?どこ滅ぼすー!?ぱーぱ、喜んでくれるかなぁ!!!」
こんな、こんな狂気の元に、私は10年もいる。
あの日から、あの日から、10年の月日が流れた。
私がなぜ生きているのか、なぜこいつのそばに居ることになっているのか。
それは、私が転生者だかららしい。
転生者、聞いたことがなかったが、不思議と腑に落ちた。
「サガラ、どっか殺していいやつ居ないのー??」
そう、あの女のそばにいる男も転生者だ。
相良 貴彦。そう名乗った。
実際に、この世界にない読めない文字を書いていた。
自分は転生者だと、言った。
ここ10年で、様々なことが変わった。私の知らないことを知った。
神の力、神獣は人から人へ力は伝染するため、王族が権力として持っていることが絶対である。
まれに転生者というのが現れるらしいが、そいつらは、特別な魔法を使うと言われている。
王族のことを古代神王。転生者のことを近代術者と呼んだ。
発見され始めたのは、ここ数年だ。
神の力を継承していることや他には無い力を持つことが多いため、各国々で、代々従者として王族に仕えさせる取り決めがされた。
神が王へ贈った者とされるが、知識のない人間に発見される場合は、なんの権力も持たない奴隷になっていることがある。
神獣は王族の血筋が継承し、神獣特有の魔法も受け継がれる。
手から炎や水を出す程度の威力を持っている時点で、この世界では優秀な部類になる。
均衡が崩れた今、戦争に使う手駒になるのは、間違いなく、取り決めはしたが、転生者の使い方は、国それぞれだ。
1人を従者にして、他は戦争に送り込んだり、従者という肩書きの奴隷にしてこき使ったり。
私のように、記憶がない転生者もいれば、相良のように記憶のある転生者もいる。
領土を求め、攻め込んだレッドウィングで、偶然、転生者を見つけたあいつは、他にもいるかもしれないと考え、仲間にすれば国の統一も可能ではないと帝王に具申した。
諸国は国を上げて、転生者を捕まえようとしている……が、転生者の見分け方はわからない。だから、誰彼構わず、瀕死まで追い込むようになった。
今まで、神獣のみだと思っていたら、別の戦力が見つかったのだ。
均衡なんぞはなくなり、戦争の世に向かっていったことは言うまでもない。
私がこうして、憎くてたまらない相手の従者といるのも、この国のやり方だ。
可愛いお姫様を守るために皇帝様は、2人も転生者を付けたのだ。
私が姫様の首を掻こうとしても、不眠が能力の一つである男がずっと見張っている。
故郷の形が目と鼻の先にいるのに、殺せない悔しさをずっと抱え続けてこの場に10年も留まっている。セドリックは、みんなは、この女に殺された。
私が、私がやらないと、みんなが報われないのだ。
転生者だからこの場にいれる。私がこうやって良い服を着て、何不自由なく生き残れているのは、女神の加護とやらで死ねない体になっている。恐らく、外傷では死ねない。
それに気づいた相良は私を従者へと推薦した。
私を肉壁として使うために。
戦争のきっかけであるこの国は、恨みを買い、10年そこらでは争いの落ち着きを見せなかった。
ベロニカ自ら、私に剣技や魔法を教え、強い兵器に育成された。なりたくもない兵器に。
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