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プロローグ

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 ひと言で言い表すと、史上最悪の街。
 そこには腐敗し、落ちこぼれと化した人間たちが集い、今も復讐の為の計画を練っている。現在、この瞬間にでも世界の消滅計画は淡々と進んでいるのだ。

 そんな話を、貴方は信じますか?

――秘伝書『無題』より


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 安久元年、βと呼ばれる謎の組織が大都市《ラプチャー》の大統領を暗殺し、軍事行動を開始した。
 今分かっている事はただ一つ、彼らの本拠地はこの世界に存在しない。発信源は未だに特定できないが、この情報はメディアを通して広く知れ渡った。政府は有力な人材を徹底的に集め、更なる手掛かりを目指して行動を起こす。《アトラス》教授もまた、そのうちの一人であった。

 ある夜のこと《自由の女神》が存在する郊外の街《アキレス》に、隕石の落下が観測される。直径およそ十五メートルほどの欠片に過ぎなかったが、後に行われた科学者による研究により《βエンジン》と呼ばれる特別な物質が含まれていることが公表される。

 次元の狭間――この物質さえあれば転生が出来ると《クロノス》博士は確信し、《アトラス》教授と共に物質の解明を進める。
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