8 / 12
八話 エーリカの夢
しおりを挟む
僕に会ったことで、母はずいぶん気力に満ちているようだった。
「奥様のお世話を長らく任されていますが、自ら朝食を取りたいとおっしゃられたのは今日が初めてです。きっとヴェルナーさまが一緒に食べようと誘ってくださったからでしょう」
使用人頭はニコニコしていた。
そうだったのか。
なんのけなしに母を朝食に誘ったが、それならば良かった。
ゆっくりとしか歩けない母を、食堂までエスコートする。
エーリカから、少しでも歩いたほうがいいと教えられたから、抱き上げて運ぶことは止めた。
柔らかい日差しがレースのカーテンに弾かれ、テーブルに並んだ皿へきらめきをこぼす。
その皿には、爽やかな朝もビックリの肉の塊。
なんと僕のために、料理長が朝から肉を焼いてくれたのだ。
実は騎士団の朝食でも肉が出るのだが、こんなにいい肉ではない。
そしてエーリカの前には飾り切りされた可愛らしい果物の数々。
料理長の歓迎の心を感じた。
母の前には滋養によさそうな野菜のスープが置かれる。
これはいつも用意されているものだそうだ。
エーリカと母、そして僕で囲んだ食卓は思いの外にぎやかなものとなった。
母の食べる量は少なかったが、それでも僕が美味しいと言ったものを食べたがり、料理長が泣いて喜んでいた。
母の食欲を見てエーリカがさっそく助言する。
「奥様、これからは野菜のスープだけでなく、もっと食べられるものの種類を増やしていきましょう。足りない栄養を薬で補給することもできますが、日々の食事から摂るのが体にとっては自然なんです。それから食事の量をいきなり多くするよりは、食事をする回数を多くしましょう。三食以外に、お菓子をつまみながらヴェルナーとお茶を飲む時間をもうけませんか?」
「それは素敵な提案だわ。ヴェル、どうかしら? 私と一緒にお茶を飲んでくれる?」
出会ったときからそうだったが、母は僕をヴェルと呼ぶ。
小さい頃の愛称だったんだろう。
呼んでくれる人がいなくなったことで、僕も忘れていた。
「もちろんです」
「ヴェルナーにはお茶の時間の前に奥様とお散歩をすることもお勧めするわ。少し動いたあとの方が、摂取したものが体に取り込まれやすいの」
「まあ、それもいいわね! ここは山の頂だから、眺望のいい場所があるのよ。ヴェルにも見てもらいたいわ」
母がウキウキしているのが伝わる。
これまでほとんど部屋にこもりきりで、僕の絵を日がな一日眺めて過ごしていたと聞いた。
国王陛下が眺望のいい場所に連れ出しても、王都のある方ばかりを見ていたそうだ。
母にとって残してきた僕の存在は大きく、片時も忘れることが出来なかったのだろう。
「お散歩は日差しの柔らかい午前に、午後からはヴェルナーと体操をしてもらいます。奥様の体は凝り固まっていて稼働領域が随分と狭まっていますから、このままでは思わぬ怪我をすることもあるでしょう。少しずつ体をほぐして、それと共に筋肉もつけていきましょうね」
エーリカはうまいこと僕を餌にしている。
母は僕と一緒に出来ることはなんでも積極的にやりたがる。
しかも喜んでやるのだから、僕だって嬉しい。
三人で始めた療養生活は、想像していた以上に楽しいものだった。
◇◆◇
「エーリカ、見てちょうだい。ヴェルがお散歩のときに拾ったきれいな石をプレゼントしてくれたの。この子は石を拾うのが大好きでね、小さい頃からこうしてよくプレゼントしてくれたのよ。今でも宝物として大事にとってあるわ」
知らなかった。
今日の散歩道に、なんとなく心惹かれるキラキラした石があったんだ。
それを拾って手の中でもてあそんでいたら、母が嬉しそうな顔をしていた。
だからその場でプレゼントしたのだが。
昔からしていたのか。
「いいことですよ、奥様。そうして思い出に残るものを、これからもたくさん作ってください。そして心が寂しくなったら思い出の品を見るんです。幸せの再生と言って、精神的に上向く有用な効果があるんですよ」
エーリカに勧められて、母はここで僕と過ごす毎日を日記に残している。
毎晩、最初の一日目から読み返しているのだそうだ。
だんだん長くなるのだから、読むのも大変じゃないかと聞いたことがある。
しかし、エーリカの言うように、読めば読むだけ幸せになるのだそうだ。
ここでは同じようなことしかしていないし、書くことも少ないのかと僕は思ったが、僕が何を美味しそうに食べたとか、エーリカからこんなことを聞いたとか、ほんとうに他愛のないことまで母は詳細に書き記していた。
「今日のお菓子の中では、ヴェルはチョコと胡桃のクッキーがお気に入りだったわね。私も食べてみたけど、香ばしく胡桃が炒ってあって、コリコリした歯触りも良かったわ」
「奥様、ちゃんとお茶にミルクは入れましたか?」
「もちろんよ、だってヴェルが監視しているのですもの。たっぷり入れたわ」
ミルクは骨を強くするから、相性のよいナッツのお菓子が出たときはなるべくお茶に入れるようにと、これもエーリカの指導だ。
食べ物も、同時に摂るといいものと、駄目なものがあるそうだ。
エーリカの知識は薬に留まらず、底が知れない。
療養先に滞在してもう半月になるが、母は元気になる一方だ。
今ではずいぶんと散歩の距離も延びたし、食事の量も増えた。
細いだけだった体にも、筋肉と脂肪がつき始めている。
一人だけ僕たちと一緒に残ってくれていた医者も喜んでいた。
「やはり同性同士というのは気兼ねせず相談も出来て、いいものです。私はどう頑張っても、奥様のおじいちゃんにしかなれません。それでは話しにくいこともあるでしょうから」
「先生の医師という立場は揺るぎませんよ。それは薬師である私が侵していい領域ではありません。だけど女性同士じゃないと話しにくいことというのは、確かにあると経験上からも思います」
「もっとこの界隈に女性が増えるといいのですが、頭の固い男性陣ばかりで。まだまだですな」
大きな課題だと医者は溜め息をつく。
エーリカもそれには思うところがあるようだった。
その日の夜、星がきれいだからとエーリカを散歩に誘った。
僕はときどき、こうしてエーリカを連れ出す。
ずっと母についているのも大変だろうし、なにより僕がエーリカと話したかったから。
「エーリカはどうして薬師になったのですか?」
今日の医者の話を聞いていて、ふと思ったことだった。
医師にも薬師にも女性は少ない。
それなのになぜ、薬師という職業を選んだのだろう。
「私の生まれた田舎はね、田舎すぎて医師はいないの。かろうじて通いの薬師がいるくらい。でも私たちは足元を見られて、高い薬を買わされる。だから自分たちで薬の知識を身につけるのが普通だったわ」
王都でしか生活したことのない僕には、エーリカの田舎の話は驚きだった。
医者のいない場所で大怪我でもしたらどうするんだ。
もしかしたらエーリカが死んでいたかもしれない未来にゾッとする。
「とくに男性の薬師は女性の病気に無頓着なの。だから女性たちは女性たちの間で、秘伝のように知識を受け継いできたわ。私の薬の知識もそう。ほとんどがおばあちゃんに教わったものよ」
エーリカの果てしない知識を目の当たりにしている僕には、そのエーリカのおばあちゃんが魔女かなにかに思えた。
きっと何代も何代も、知識を積み重ねてきたのだろう。
自分たちの子孫の命を守るために。
「私が田舎を飛び出して薬師になったのはね、王都で一旗あげようと思ったからなの。ここで商売を軌道に乗せて、田舎にいる薬師並みに知識のある子たちを呼び寄せて、女性ばかりの大きな薬店を開きたいの。女性特有の病気に苦しんでいる人は数多くいるわ。そしてそれを男性の医師に相談しづらくて困っている人もね。私たちがそういう人たちの救世主になれるんじゃないかと思っているの」
壮大だった。
思っていた以上に壮大な理由だった。
そしてこれがエーリカの言っていた、大きな夢なのだと分かった。
エーリカに、いつ自分の気持ちを告白しようかとタイミングを計っていた僕は、うっかりその夢に飲まれてしまって、黙り込むしかできなかった。
「奥様のお世話を長らく任されていますが、自ら朝食を取りたいとおっしゃられたのは今日が初めてです。きっとヴェルナーさまが一緒に食べようと誘ってくださったからでしょう」
使用人頭はニコニコしていた。
そうだったのか。
なんのけなしに母を朝食に誘ったが、それならば良かった。
ゆっくりとしか歩けない母を、食堂までエスコートする。
エーリカから、少しでも歩いたほうがいいと教えられたから、抱き上げて運ぶことは止めた。
柔らかい日差しがレースのカーテンに弾かれ、テーブルに並んだ皿へきらめきをこぼす。
その皿には、爽やかな朝もビックリの肉の塊。
なんと僕のために、料理長が朝から肉を焼いてくれたのだ。
実は騎士団の朝食でも肉が出るのだが、こんなにいい肉ではない。
そしてエーリカの前には飾り切りされた可愛らしい果物の数々。
料理長の歓迎の心を感じた。
母の前には滋養によさそうな野菜のスープが置かれる。
これはいつも用意されているものだそうだ。
エーリカと母、そして僕で囲んだ食卓は思いの外にぎやかなものとなった。
母の食べる量は少なかったが、それでも僕が美味しいと言ったものを食べたがり、料理長が泣いて喜んでいた。
母の食欲を見てエーリカがさっそく助言する。
「奥様、これからは野菜のスープだけでなく、もっと食べられるものの種類を増やしていきましょう。足りない栄養を薬で補給することもできますが、日々の食事から摂るのが体にとっては自然なんです。それから食事の量をいきなり多くするよりは、食事をする回数を多くしましょう。三食以外に、お菓子をつまみながらヴェルナーとお茶を飲む時間をもうけませんか?」
「それは素敵な提案だわ。ヴェル、どうかしら? 私と一緒にお茶を飲んでくれる?」
出会ったときからそうだったが、母は僕をヴェルと呼ぶ。
小さい頃の愛称だったんだろう。
呼んでくれる人がいなくなったことで、僕も忘れていた。
「もちろんです」
「ヴェルナーにはお茶の時間の前に奥様とお散歩をすることもお勧めするわ。少し動いたあとの方が、摂取したものが体に取り込まれやすいの」
「まあ、それもいいわね! ここは山の頂だから、眺望のいい場所があるのよ。ヴェルにも見てもらいたいわ」
母がウキウキしているのが伝わる。
これまでほとんど部屋にこもりきりで、僕の絵を日がな一日眺めて過ごしていたと聞いた。
国王陛下が眺望のいい場所に連れ出しても、王都のある方ばかりを見ていたそうだ。
母にとって残してきた僕の存在は大きく、片時も忘れることが出来なかったのだろう。
「お散歩は日差しの柔らかい午前に、午後からはヴェルナーと体操をしてもらいます。奥様の体は凝り固まっていて稼働領域が随分と狭まっていますから、このままでは思わぬ怪我をすることもあるでしょう。少しずつ体をほぐして、それと共に筋肉もつけていきましょうね」
エーリカはうまいこと僕を餌にしている。
母は僕と一緒に出来ることはなんでも積極的にやりたがる。
しかも喜んでやるのだから、僕だって嬉しい。
三人で始めた療養生活は、想像していた以上に楽しいものだった。
◇◆◇
「エーリカ、見てちょうだい。ヴェルがお散歩のときに拾ったきれいな石をプレゼントしてくれたの。この子は石を拾うのが大好きでね、小さい頃からこうしてよくプレゼントしてくれたのよ。今でも宝物として大事にとってあるわ」
知らなかった。
今日の散歩道に、なんとなく心惹かれるキラキラした石があったんだ。
それを拾って手の中でもてあそんでいたら、母が嬉しそうな顔をしていた。
だからその場でプレゼントしたのだが。
昔からしていたのか。
「いいことですよ、奥様。そうして思い出に残るものを、これからもたくさん作ってください。そして心が寂しくなったら思い出の品を見るんです。幸せの再生と言って、精神的に上向く有用な効果があるんですよ」
エーリカに勧められて、母はここで僕と過ごす毎日を日記に残している。
毎晩、最初の一日目から読み返しているのだそうだ。
だんだん長くなるのだから、読むのも大変じゃないかと聞いたことがある。
しかし、エーリカの言うように、読めば読むだけ幸せになるのだそうだ。
ここでは同じようなことしかしていないし、書くことも少ないのかと僕は思ったが、僕が何を美味しそうに食べたとか、エーリカからこんなことを聞いたとか、ほんとうに他愛のないことまで母は詳細に書き記していた。
「今日のお菓子の中では、ヴェルはチョコと胡桃のクッキーがお気に入りだったわね。私も食べてみたけど、香ばしく胡桃が炒ってあって、コリコリした歯触りも良かったわ」
「奥様、ちゃんとお茶にミルクは入れましたか?」
「もちろんよ、だってヴェルが監視しているのですもの。たっぷり入れたわ」
ミルクは骨を強くするから、相性のよいナッツのお菓子が出たときはなるべくお茶に入れるようにと、これもエーリカの指導だ。
食べ物も、同時に摂るといいものと、駄目なものがあるそうだ。
エーリカの知識は薬に留まらず、底が知れない。
療養先に滞在してもう半月になるが、母は元気になる一方だ。
今ではずいぶんと散歩の距離も延びたし、食事の量も増えた。
細いだけだった体にも、筋肉と脂肪がつき始めている。
一人だけ僕たちと一緒に残ってくれていた医者も喜んでいた。
「やはり同性同士というのは気兼ねせず相談も出来て、いいものです。私はどう頑張っても、奥様のおじいちゃんにしかなれません。それでは話しにくいこともあるでしょうから」
「先生の医師という立場は揺るぎませんよ。それは薬師である私が侵していい領域ではありません。だけど女性同士じゃないと話しにくいことというのは、確かにあると経験上からも思います」
「もっとこの界隈に女性が増えるといいのですが、頭の固い男性陣ばかりで。まだまだですな」
大きな課題だと医者は溜め息をつく。
エーリカもそれには思うところがあるようだった。
その日の夜、星がきれいだからとエーリカを散歩に誘った。
僕はときどき、こうしてエーリカを連れ出す。
ずっと母についているのも大変だろうし、なにより僕がエーリカと話したかったから。
「エーリカはどうして薬師になったのですか?」
今日の医者の話を聞いていて、ふと思ったことだった。
医師にも薬師にも女性は少ない。
それなのになぜ、薬師という職業を選んだのだろう。
「私の生まれた田舎はね、田舎すぎて医師はいないの。かろうじて通いの薬師がいるくらい。でも私たちは足元を見られて、高い薬を買わされる。だから自分たちで薬の知識を身につけるのが普通だったわ」
王都でしか生活したことのない僕には、エーリカの田舎の話は驚きだった。
医者のいない場所で大怪我でもしたらどうするんだ。
もしかしたらエーリカが死んでいたかもしれない未来にゾッとする。
「とくに男性の薬師は女性の病気に無頓着なの。だから女性たちは女性たちの間で、秘伝のように知識を受け継いできたわ。私の薬の知識もそう。ほとんどがおばあちゃんに教わったものよ」
エーリカの果てしない知識を目の当たりにしている僕には、そのエーリカのおばあちゃんが魔女かなにかに思えた。
きっと何代も何代も、知識を積み重ねてきたのだろう。
自分たちの子孫の命を守るために。
「私が田舎を飛び出して薬師になったのはね、王都で一旗あげようと思ったからなの。ここで商売を軌道に乗せて、田舎にいる薬師並みに知識のある子たちを呼び寄せて、女性ばかりの大きな薬店を開きたいの。女性特有の病気に苦しんでいる人は数多くいるわ。そしてそれを男性の医師に相談しづらくて困っている人もね。私たちがそういう人たちの救世主になれるんじゃないかと思っているの」
壮大だった。
思っていた以上に壮大な理由だった。
そしてこれがエーリカの言っていた、大きな夢なのだと分かった。
エーリカに、いつ自分の気持ちを告白しようかとタイミングを計っていた僕は、うっかりその夢に飲まれてしまって、黙り込むしかできなかった。
0
あなたにおすすめの小説
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
下賜されまして ~戦場の餓鬼と呼ばれた軍人との甘い日々~
イシュタル
恋愛
王宮から突然嫁がされた18歳の少女・ソフィアは、冷たい風の吹く屋敷へと降り立つ。迎えたのは、無愛想で人嫌いな騎士爵グラッド・エルグレイム。金貨の袋を渡され「好きにしろ」と言われた彼女は、侍女も使用人もいない屋敷で孤独な生活を始める。
王宮での優雅な日々とは一転、自分の髪を切り、服を整え、料理を学びながら、ソフィアは少しずつ「夫人」としての自立を模索していく。だが、辻馬車での盗難事件や料理の失敗、そして過労による倒れ込みなど、試練は次々と彼女を襲う。
そんな中、無口なグラッドの態度にも少しずつ変化が現れ始める。謝罪とも言えない金貨の袋、静かな気遣い、そして彼女の倒れた姿に見せた焦り。距離のあった二人の間に、わずかな波紋が広がっていく。
これは、王宮の寵姫から孤独な夫人へと変わる少女が、自らの手で居場所を築いていく物語。冷たい屋敷に灯る、静かな希望の光。
⚠️本作はAIとの共同製作です。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話
鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。
彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。
干渉しない。触れない。期待しない。
それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに――
静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。
越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。
壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。
これは、激情ではなく、
確かな意思で育つ夫婦の物語。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
公爵夫人の気ままな家出冒険記〜「自由」を真に受けた妻を、夫は今日も追いかける〜
平山和人
恋愛
王国宰相の地位を持つ公爵ルカと結婚して五年。元子爵令嬢のフィリアは、多忙な夫の言葉「君は自由に生きていい」を真に受け、家事に専々と引きこもる生活を卒業し、突如として身一つで冒険者になることを決意する。
レベル1の治癒士として街のギルドに登録し、初めての冒険に胸を躍らせるフィリアだったが、その背後では、妻の「自由」が離婚と誤解したルカが激怒。「私から逃げられると思うな!」と誤解と執着にまみれた激情を露わにし、国政を放り出し、精鋭を率いて妻を連れ戻すための追跡を開始する。
冒険者として順調に(時に波乱万丈に)依頼をこなすフィリアと、彼女が起こした騒動の後始末をしつつ、鬼のような形相で迫るルカ。これは、「自由」を巡る夫婦のすれ違いを描いた、異世界溺愛追跡ファンタジーである。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる