月に嗤う紅

ayaya

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第1章

あの夢は

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あれから何回も、注意されては返事をする。
その繰り返しだったが、やっと退屈な授業も終わりやっとチャイムが鳴る。
その瞬間、雲の子を散らすようにみんな机から離れていく。
私も梨香の所へ行こうかな。
そんな事を思いながら、席を立つと
「また寝てたの??」
と少し笑いながら梨香がこちらへやって来た。
「うん、だって眠いじゃん。」
そう言うと、梨香は瑠美らしい。
そういって、私の向かいにある机に座った。
「いつも、思うんだけど、
寝てる時ってどんな夢見てるの??」
梨香が首を傾げながら聞いてくる。
「えっと」
そういえば、どんな夢を見てたんだっけ。
いつもは夢なんて見ない。
ましてや、夢を見てもすぐ忘れる。
けど、今日は珍しく覚えている。
とても不思議な夢だった。
確か、夜の海で1人で…。
「あはは、忘れちゃった!」
てへっと、舌を出す。
少しは覚えていたけど何だか言ってはいけない気がした。まるで、誰かに口を塞がれたように。
「見た夢、忘れちゃったの!?まぁ、夢だから仕方ないか」
「そうそう、所詮夢だよ。」
あれは、夢……のはずなのに妙にリアルだったような。
実際に体験した事が夢に出てきただけだろうか。
ただ、夜の海で1人。
そんな経験が今までにあっただろうか。
んー……思い出せない。
ま、そのうち思い出すだろう。
その後、私は何も思い出せないまま
梨香をたわいのない話をした。




そして、私たちの話を遮るようにチャイムが鳴る。
次は、授業を告げる音だ。
面倒臭い…
そんなことを思いながら、
段々離れていく梨香の背中をぼっーと眺めた。
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