俺のテイマーとかいう雑魚職業が実はチートだった件

あどりりりりり

文字の大きさ
13 / 19
2章 異世界に美少女しかいない件

何回死ねばいいんだ……

しおりを挟む
 今日も森――もとい、森だった場所に何十発もの魔弾が流星群のように放たれる。

 森の中では、真っ白な1匹のドラゴンと黒いローブを羽織り、黒い剣を持った男が静かに対峙していた。

ドラゴンから打ち出される魔術を男が剣で弾いたり、避けたりしている。……たまに当たって、かなりの距離を吹っ飛んでいるが。男は立ち上がると、また、すぐに戻ってきて、また魔術を弾いたり避けたりして、当たって吹っ飛ぶ。

……ドMなのかな?
 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 あれから、俺は、毎日みっちり修行に励んだ。休むのは寝る時とご飯食べる時と家に帰る時だけ……。本当に辛かった……。

 特にあの二匹、手加減とかそういうものを知らないから、何回死にかけたことか……。てか何回死んだことか。……実は俺、今回の修行で十五回死んだ。ちょっとこれ自慢できんじゃね? 誰が信じるのかはわからないけど。

 じゃあ、なんで生きてるのかって? 
 そんなの決まっているだろう。クロノスに時空魔法で何回も何回も復活させられたんだよ……。マジでアホかあいつら。

 どこかの星の戦闘民族さん達みたいに、死にかけてめっちゃ強くなったー! とかはならなかったけど、何回も死んでると、流石に体が丈夫になるみたい。勝手に筋肉がついてた。

 人間って、死の危機に瀕するとほんとに進化するんだね。……いや、まあ、死の危機に瀕したんじゃなくて、死んだんだけど。

 あ、あと、あの二匹から逃げてたら、めっちゃ足早くなってた。多分これも死にそうだったから進化したんだろうな。

 人間マジ半端ない……。てか、俺でも死の危機に瀕するとちゃんと進化するんだな。なんかちょっと安心。

 まぁ、そんなこんなで、もう、あの日から29日経った。約束の日まであと1日……。なんだけど、俺、結婚式の会場がどこかわからないんだよね。てか、まず家すら分からない。何をやってるんだ俺は……。

 ということで、今日は、ソフィアの家を探すことにした。あわよくば結婚式の会場も。

「ちょっと今日はここまでにするぞー! ソフィアさんの家探さなきゃいけないからー!」

 そう言うと暴れ回ってたドラゴン2匹は、少し残念そうな表情を浮かべてから、二本の剣になった。

 あ、そうそう。なんか、ドラゴンの表情も読めるようになってきた。全然いらない能力だけど……。

「さ、行くかー。」

 俺は慣れた手つきで剣を地面に刺して、早口で呪文を詠唱した。魔法陣がピカっと光ってダーマ王国の門の目の前に来る。

 探すと言っても、どこを探せばいいのか分からないな……。とりあえず地区役場にでも行くか……。あの子の名前はわかるし。

 流石に1ヶ月もこの地区にいると、俺は大体の建物の位置を把握できるようになっていた。
 服屋や定食屋など、特に生活用品を扱うお店は、ほぼすべて覚えている。

 因みに、今、俺が来ている服は薄めの真っ黒のコートだ。なんか中二病心くすぐられない? 黒色って。ま、そんな変な理由で俺は黒色のコートを着ることにした。薄めにした理由は暑いのがやだから。それだけ。

 最近、お店の人に服だけじゃなくて防具も買った方がいいんじゃないですか? って心配されてるんだけど……、正直、防具とか必要ないんだよね。いや、これ割とガチで。

 あの2匹と追いかけっこしたり修行したりしてると、たまに、魔物と鉢合わせたりするんだけど、もうその魔物の攻撃の遅いこと遅いこと……。

 仮にも神の座につくヤツらの攻撃力とか速度とかほんと伊達じゃないから。しかも手加減しないっていうオマケ付き。クロノスがいなかったら俺は今頃どうなっていたことか……。確実に天に召されてただろうな。

 ま、それは置いといて、そういう理由で防具がいらないんだよね。だから、中二病心くすぐられる真っ黒のコートとか着ちゃってるんだけど。

 街を適当に歩いていくと、地区役場にはすぐに着いた。ドアを開き、中に入る。
 今日も、役場は観光客のような人たちで賑わっていた。そんな観光客達の横を一直線に進み、俺は受付の女の人に話しかけた。

「あの、すみません。」

「はーい! 今日はどうしましたー?」

 元気いっぱいの声と笑いが飛んでくる。この人は俺が修行している間、色々とお世話になったリゼさんだ。美味しいご飯屋さんとか、オシャレな服屋とかを教えて貰った。
 ソフィアには及ばないものの可愛い寄りの美人さんだ。小柄な体型に申し訳程度の胸。15歳らしいが、どう見ても12、3歳にしか見えない。
 
 でも、子供扱いすると、顔を膨らませて拗ねる。……まあ、可愛いからいいんだけど。てか、この世界はどうなってる。美人さんしかいないのか?

「えっと、ソフィア=ノエルっていう女の子を探してほしいんですけど。」

「えっ!? あの貴族令嬢の方ですか?」

「えっと……ああ。多分そうですね。」

 俺は貴族のような身なりを思い出して言った。そういや、血で汚れたあの服はどうしたんだろう……。まず、なんであんな変なところで魔物に襲われてたんだ? ま、後で聞くからいいけどさ。

「それなら私が案内しますよ。丁度、休みに入って暇になりそうでしたし。」

「あ、マジすか。ありがとうございます。」

 俺はそう言って深々と頭を下げた。顔を上げると、リゼさんは「いえいえ」と言いながら笑っていた。

「じゃあ、行きましょうか。」

 俺とリゼさんは、並んで地区役場をでた。心地よい風が髪を優しく撫でる。

 そこから世間話をしながら、少し歩いて行くと、リゼさんがめっちゃ大きなお屋敷を指さして、

「ほら、あの大きいのがソフィア=ノエル様のお家ですよ。」

 ……は? いや、あの家に人住んでんの? あれって人が住むものじゃないだろ……。博物館とか美術館的な何かだと思ってた。貴族ってすげえなオイ。

「じゃ、あの家に行けばいいんですね?」

「そうですよー。一緒に行きます?」

「おお! お願いします!」

 俺とリゼさんはソフィアの家に向かって歩き出した。でっかい豪邸がどんどん近づいてくる。……でけえ。マジでけえ。俺の宿屋より何倍もでかいぞ……。どうなってんだソフィアの家は……。

「ところでその背中に背負ってる剣なんですか? 見たことないですね。」

「ん? ああ。えっとこれは五神龍の中の……じゃない!」

「五神龍?」

「違います! これはーえっとー……そうだ! アレです! なんかよく分からないレアドロップです!」

 ……自分で言うのもなんだが、なんて苦しい言い訳なんだ……。どの魔物のレアドロだよ……。でも、まあ、ここで主人公補正が俺にかかってリゼさんが信じてくれるんだろうな……。

「へぇー! 凄いですねー! レアドロップなんてそんなに見れるもんじゃないですよー!」

 ……う、嘘だろ!? マジで信じた!? 俺、主人公補正かかってたんだ……。いや、まあ、この世界に来たクラスメイトの奴らに比べたら俺が一番強いんだけどさ。

「そうなんですか……。」

「そうですよー!」

 そんな世間話をしていると、豪邸の入口まで来た。シンプルな形をした門の横から中の豪邸を囲うようにぐるっと塀がたっている。

「……凄いな。で、ここからどうしよう?」

「なんか用があって来たんじゃないんですか?」

「えっと、用というかなんというか……気になったからですかね。」

「? 変な理由ですね。ま、いいですけど。……あ、そうだ。どうせですし、近くでお茶でもします?」

「え? あ、ああ。はい。そうですね。」

 女子相手からお茶に誘われるのとか明梨以外で初めてなんだけど!? ま、待て、これは俺の異世界生活においての大きなフラグイベントなんじゃないか!? 

 できればソフィアさんとお茶したかったけど……そんな贅沢はいえん。

 こんな美人さんが俺を誘ってれる時点で奇跡なんだから……。
となると、失敗は許されないぞ! 俺!

「じゃ、あそこの店にでも入りますか?」

 俺が少し洒落たカフェのようなところを指差す。リゼさんにもまあまあ好印象だったようで、笑って頷いてくれた。

 俺とリゼさんはカフェに入ってから、2人がけの席に腰掛け、各々飲み物を注文した。リゼさんはキャラメルマキアートみたいなやつを頼んでた。因みに俺はカフェオレ。……理由は苦いのが嫌いだから。

「なんで俺みたいなのをお茶に誘ってくれたんですか?」

 この質問していいのか分からないけど、気になるからしておくことにした。これで何も返ってこなかったら辛いんだけどね……。

「んー。暇だったからですかね? ユウトさんと話してるとなんか暇つぶしになって楽しいし。」

「は、はぁ。ありがとうございます。」

 この答えは喜んでいい……のかな? いいんだよな。うん。素直に喜ぼう。
しおりを挟む
感想 25

あなたにおすすめの小説

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~

ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。 彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。 敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。 この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。 「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」 無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。 正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

成瀬一
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...