俺のテイマーとかいう雑魚職業が実はチートだった件

あどりりりりり

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2章 異世界に美少女しかいない件

カップルではありません。

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 カフェに入ってから、俺とリゼさんは良い一時間ほど、愚痴を言い合ったり、他愛のない話をしたりした。
 愚痴を言うのは殆どリゼさんで、どっちかって言うと、俺は聞き手側だった。それはもう、聞きすぎてギルマスの性格が全部わかるレベルで。

「本当、ユウトさんは聞き上手ですね。いつも愚痴聞いてもらってありがとうございます。」

「いやいや。色々教えてもらったんだから、これぐらいはいつでもやりますよー。任せてください。」

「じゃあ、また今度聞いてもらいますね。あ、もうこんな時間……。」

 そうこうしている内に、気づけば、カフェに入ってから一時間ほど時間が経過していた。

 さすがに、そろそろリゼさんの休み時間も終わる頃だろうし、並んでるお客さんたちのためにも、もうこのカフェは出た方がいいかな。

 俺が手を上げて、「お会計お願いしまーす。」というと、

 こっちに気づいた女性の店員さんが伝票みたいなのを持って駆けてきた。そして俺たち二人を見比べたあと、少し考えるようなそぶりを見せて、

「カップルの方々に、飲み物一つ無料で差し上げてるんですけど、いりますでしょうか?」

「ん? 僕たち別にカップ――『いただいてもいいですか?』……え?」

 俺の言葉を遮るようにしてリゼさんが言った。予想外の言葉に小さく驚きの声を漏らす。

「わかりました。ではごゆっくり。」

 店員さんが一礼してカウンターの奥へ引っ込んで行った。

「リゼさん? 別に俺たちカップルじゃないんじゃ?」

 すると、リゼさんは小悪魔のような笑みを浮かべたあと、

「別にいいじゃないですか。貰えるものはもらっておけばいいんです。」

 確かにそれもそうだろう。貰えるものをもらっておいて、特に損はない。が、リゼさんはわざわざ俺とカップルと思われてでも、もらうようなケチじゃないはず。それに、リゼさんのそんな小悪魔みたいな笑い方は初めて見た。

 俺は疑問に思いながらも、そんなこともあるだろうと無理やり自分を納得させた。

 少しすると、そのカップル用の飲み物を持った店員さんが来て、俺たちの机にコトッと置いて、一礼してから去って行った。

 俺は、そんな店員さんには一瞥もくれず、運ばれて来た飲み物の方に釘付けになっていた。
 ストローが絡み合ってハートの形になっていて、両脇から二本のストローが枝分かれしている。これがいわゆるカップルのカップルによるカップルのための飲み物か。爆ぜろリア充。

 俺がそんな物騒なことを考えていると、リゼさんが不思議そうな顔をしながら見つめてきた。

「ユウトさんは飲まないんですか?」

「え? 俺も飲むんですか?」

「そうじゃないんですか? これ、二人で飲む用みたいですし。」

「で、でも、それじゃあリゼさんと俺がカップルみたいじゃないですか。」

「んー。じゃあ、愚痴を聞いてくれたご褒美ってことで。」

 リゼさんが髪を耳にかけながら、可憐に笑った。

「そ、そうですか。じゃあ、遠慮なく……。」

 顔をストローの近くまで持っていく。リゼさんとの距離がおよそ数センチのところまで迫って来た。心臓の鼓動が超高速で暴れまわる。静かにストローを吸う音が聞こえる。


 そんなご褒美タイムが五分ほど続き……。

「ぷはーっ。美味しかったですねー! また今度二人でくる機会があったら、飲みましょうね!」

「え、ええ。また飲みましょう。はい。」

 興奮冷めやらぬ俺が、浮ついた声で返す。それにしても顔近すぎだろ。リア充はあれを乗り越えてきたのか……爆ぜろとか言ってごめん。

 俺は、リア充に対して少しだけ尊敬を覚えつつ、もう一度店員さんにお会計を頼んだ。
 店員さんが丁寧に渡して来た伝票を適当に読み流す。そこで俺はあることに気づいた。

 これは俺がお金を払うべきなのかな? 森で狩ったモンスター達をギルドに提出してもらった金があるから全然足りるんだけど。
 などと俺が思っていると、リゼさんが財布を手にしていた。俺は慌ててお金を出し、

「あ、待って待って! 俺が払いますから! お金ぐらいならあるし。」

「でも、私の愚痴を聞いてもらった上に、お金まで……」

 リゼさんがものすごく申し訳なさそうな顔をして下を向いた。

「じゃあこれは俺をあの家まで連れて行ってくれたお礼です。ちゃんと報酬は受け取ってくださいよ。」

 俺の言葉を聞いたリゼさんが一瞬驚いたような表情を浮かべ、小さく笑った。

「分かりました。お言葉に甘えさせてもらいます。」

 俺が店員さんにお金を払い、周りを見ると、お客さんや店員さん達が俺たちに向かって優しく微笑んでいた。

 恥ずかしいからやめてほしいな……。なんかこの場の雰囲気が暖かくなってるし。

 俺は、恥ずかしく鳴って、リゼさんの手を取ってそそくさとカフェを後にした。ドアについた風鈴がからんからんと小さく鳴る。

「なんだあの微笑みは……うぉぉ。思い出すだけで背筋に寒気が……。」

「そうですか? みなさんいい人じゃないですか。」

 リゼさんが手を顎に当てて首をかしげた。

「あ、そろそろ私、仕事なんで帰りますね。」

「そうですか。じゃあ、また今度役場で会いましょうね。」

 そう言ったのだが、なかなかリゼさんは動き出そうとしない。というか、困ったような表情を浮かべて俺を見ている。どうしたんだろう? などと俺が心配していると。

「あ、えっと、手、離してもらわないと帰れないんですけど。」

「え……? うわぁぁぁ! 申し訳ないです!」

 俺は自分の手を見てから、指をばっと広げ、リゼさんの手を離す。

「そ、そんなに謝らなくていいですよ。悪気はなかったんですし、私も嫌じゃありませんでしたから。」

「そ、それならいいんですけど。」

「はい。……あ、もう時間ヤバい。私、急いで帰りますね。また今度ー!」

 リゼさんは手を振りながら、人混みの向こうへと消えて行った。




「さてと、これからどうするかな。」

 リゼさんの背中が見えなくなると、俺は巨大な豪邸を見ながら呟いた。明日まではまだまだ時間は残ってる。だが、豪邸の中がどんな構造になっているかが全く分からない。今きている服は真っ黒。ついでにフード付き。

 となると、

「夜に忍び込むか……。できるだけ犠牲は最小限に抑えて助け出そう。あの時の盗賊とは違って、今回の人たちは貴族なんだから。死者は出せない。」

 そう呟いて、俺は、ゆっくりと豪勢な門へ向かって歩き出した。今更になって、なんで俺は盗賊を殺す際にためらいがなかったんだろう。と思った。
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