石炭と水晶

小稲荷一照

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装甲歩兵旅団

マジン二十八才 1

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 セラムがローゼンヘン館に帰ってきてから驚いたことは、当然に建物の山側にひとつ大きな建物ができていて女子供が合わせて千数百ほどもいたということなのだが、その女たちの歯を入れているうちにマジンがすっかり歯科医として一人前というかそれ以上になっていて、体の中を輪切りに眺められるくらいに様々な医療行為の研究を始めていることだった。
 事の起こりはジェーヴィー教授の論文の内容の査読からX線受像機の改良が加えられそうだというところからはじまった。
 エックス線の電磁気回路による受信という技術は化学的な感光紙の性能向上よりもむしろ簡単で、それを連続的に記録する技術というものも要素としては既にできていた。
 全くアンバランスな性能だった電算機が特に表示機能の性能が飛躍的に向上してきたことで計算させた数値を元に絵を作らせる事ができるようになってきた。
 そのことでエックス線受像機の信号の合成から非破壊的な人体断面の図をこれまでの化学的な写真乾板よりも小さな電磁波出力で作れるようになった。
「なにが良くなったの」
「大事なところをまぐれ当たりで壊しにくくなった。というところかな。非破壊検査と言っても結局は超小さな普通はほとんど全部通り抜けるような針のようなものを物差しにしているようなものだから、まかり間違うと針がどこか変なところに刺さることもないわけではない。針が一本や二本刺さっても死なないように普通はなんともなくて勝手に治るんだが、運が悪く余計なところに刺さると治る前に壊れる。同じ所に針が刺さり続ければ、針の傷でも大きく崩れて治らなくなるし、一旦壊れると手がつけられないような直し方がわからんこともある。これまでは例えばそういう針を一億本ほども刺していたところが、一万本くらいになった」
「それでその一万本ぐらい針を刺して探ってみた感じが、この骸骨だかなんだかの私の頭ということね」
 セラムは自分の頭の縦横の断面を面白そうに眺めていた。
「――つまりこの左目はなにが起こったの」
 セラムの眼球は左右で構造が違っていた。
「完全ではないが君とつながった。取り外すと云うのはもう手遅れだ」
 セラムは今は眼帯を外した顔で持って生まれた右目を閉じて鼻で笑ってみせた。
「道理で夜明るく感じるわけだわ。……冗談よ。なにが起こっているかルミナスが生まれた年の冬頃には覚悟していたわ。話としては四年前に聞いたことだし、今もあなたの困った顔見えている。それでこの後どうなるの」
「わからない。眼窩側、脳の方から枝が伸びていて、義眼の方からではない様子だから悪くはならないと信じたいけど、設計と違うことが起きているから全くわからない」
「相変わらず正直ね。錬金術的魔法で目は治りましたっ。とかそういうウソっぽい答を期待していたわけじゃないけど、前と同じことがちょっと詳しくわかったってことね」
「怖かったり痛かったらボクが責任を持つ。まぁ代わりの義眼も用意するが」
 セラムは困った顔で笑ってみせた。
「それはあなた。あなたの申し出のほうがよほど怖いよ。せっかく見えるようになったって喜んでるのに、見えるようになったから抜きましょうって意味でしょ。バカなの。……まさか、他に四人に目を上げたって人にも目を抜きましょうとか云ってるんじゃないだろうね」
「あとから入れた四人には痛みを感じたら抜けとは云っているけどね」
「まぁ私は目に痛みはない。ただ、体はあちこち痛いわ。風呂にも入りたい。戦車の乗り心地はまだなれないわ。普通に走っている分には全然問題ないんだけど、無茶させるのが当たり前だから腰ひねったまま止まったり動いたりすることが多くて、膝とか腰とか首とかコルセットを準備してもらったけど疲れてくるとあっても辛い。ゆっくりお風呂入りたいわ。その後肩と腰を揉んで。あ、あとブラジャー作って。形変わったみたいでさ。なんかちょっと痛いんだよね。今更大きくなるとも思えないから弛んだんだったらやだなぁと思ってるんだけど」
「ん。……ああ」
 少し鈍い良人の返事にセラムは困ったような顔になった。
「何か用事があったかな」
「いや。それはいいんだが、リザみたいな言い草だなと思ったのさ」
 セラムは目を丸くして驚いた様子だった。
「まぁ、それは竿姉妹は義理の姉妹ってことでしょ。……冗談よ。肩とかブラジャーはイヤならいいけど、お風呂入りたいのは本当。流石に前線じゃ風呂に入る余裕なんてないし、ラジエターで濡れタオル温めて垢落とすくらいは毎日できるけど、油断すると泥とか油煤でひどいことになっているしね」
「ま、肩もブラジャーもいいよ。久しぶりに無事帰ってきたんだ。……うん。今更ながらあれだけど、無事の生還と素晴らしい戦果、おめでとう。ファラリエラが帰ってきたらまた言うし、なんかしてやりたいところだけど、ともかくまずは、お帰り、セラム」
「ただいま。あなた」
 そう言ってセラムは笑った。
 言葉通りセラムと風呂に入って揉んでやりながら感じたのは胸の形がというよりもあちこちの筋肉が随分と固く凝っているようだった。
 蒸し風呂の中で体を揉んでやるとセラムはすぐにいびきをかいて居眠りを始めた。
 起きたセラムの体を洗ってやってから、ブラジャーと言わずコルセットや下着やら制服やらを仕立てなおしてやるために裁縫室に向かうと、近頃いつもどおり何人かの女たちが詰めていた。
 赤ん坊が千人近くもいるとみるみる育ってゆき、ほとんど毎日何着か作ってやらないとすぐに寸法が合わなくなるし、使い回しをするにしても名前の札を縫い付けないと洗濯したあとで誰に着せる服なのかわからなくなる。
 他にも、当然に繕い物や足りないものが多く、素人が練習しているうちにうまくなる程の数が必要なら仕立てを頼むよりは型紙だけ用意して自分たちで作るほうがずっと手間がかからない。
 あたかも専門のオートクチュールアトリエのような山側の一角は簡単な刺繍やボタンも縫えるような縫製機械や靴下やタイツが編めるような小さな立体織機が幾台か並んでいた。
 ブローチやボタンの七宝細工を焼ける小さな真空加圧電気釜もある。
 立体織機は銃弾や電池や真空管の製造などにも使っていて、大きさや性能は色々あったのだが、これだけ人が増えると本来の用途に使っても良いようになっていた。
 この間とうとうアルジェンとアウルムの軍服も作ってやったので、基本的にマジンが作ったことのない服はないということになる。
 といって、ここの機材はこの部屋に好きで詰めている女たちが好きに使っている、実質的には彼女たちのためのオートクチュールアトリエでもあった。城詰めの女官などというものは数合わせの男衆よりもよほど専門を求められる機会も多く、それなりの待遇を与えれば相応に腕をふるえるものが多い。
 などと、セラムがいない間の顛末をかいつまんで説明しながら、セラムの体の様子を測定する。
 セラムは胸が垂れてきたというよりどうも姿勢が変わったらしいので、矯正下着を作ることになった。
 元来は爺さんの腰痛とか出産直後の経産婦用の下着なのだが、そういうものを用意してやって、しばらく様子を見させることにした。
 堅くて肌触りが悪く色気もないが、仰向けになっても横になってもどこかが痛いということはなくなるし、疲労の無理がなくなれば、別段ふつうのものに切り替えても問題はない。
 そう説明すると、硬いのはしょうがないけど少し手間を掛けて可愛くしたのはあります、とお針子たちが言い出した。
 どうやら針仕事でうつむいているのが辛くなって彼女たちは日常的に補正下着を使って仕事をしているらしい。
 合成皮革と方向伸縮生地で作ったボディスーツで首元から乳房を避け肩口と肋を覆うことで腹筋と背筋を支えた作りのそれは、可愛いかどうかはともかく顎肩胸という張り出しが強調されるようになっていた。
 男性向けも基本同じデザインで作られていて老人たちには評判が良いらしい。
 口さがない男どもは、くびきのようだと云うわけだが、座り仕事や前かがみが増えてくると頭をおこすのも億劫で、あると寝るときに随分違うのがわかるという。
 男どもの意見、というところが引っかかって見せたのかと尋ねると、女たちは口を滑らせたことに気がついたものの、細かいところはさておき認めた。
 別に禁止していることでもなし、幾人かが男漁りに精を出しているのは知っていたので、そこは軽く流すとして話を切り替えて、洗濯は、と尋ねるとそっぽを向かれた。
 作りはみればわかるようなものだったので、その場でセラムに合わせて作ると、女たちは党首の裁縫仕事の技量に大げさに呆れて驚いてみせた。
 その上から制服を着せるとセラムは痩せたらしい事がよく分かる。
 胸がたるんだのではなく全体が痩せたから服が変なふうに萎んでいる。
 前線で太れというのもそれは無理な話で、うちにいる間は食え、というところだが、後方に下がっているとはいえ部隊の再編成中で休暇中でないのでは、なかなかそうもいかない話だった。
 そんな風に午後の光にセラムの半裸を晒しているとお針子をしていた者たちがセラムの目に気がついた。
「あの、御手様。こちらがセラム様ですか。その……若様……ルミナス様のご母堂の」
 その通りと認めると、年若い小娘のような黄色い声で裁縫室は一杯になった。
 何事かと咎めた者もいたが、主と一緒に入ってきた女がセラムであると知れると騒ぎに加わり輪になった。
「左目は御手様の贈り物とか」
「まさかほんとうに目までとは」
「私達もみな歯を頂戴いたしましたのよ」
「まさか尻と手の皮をむかれた時にはどうなるかと思いましたが」
「レビーナとシェアモナとヨアンピン連れといでな。若君のご母堂がおいでだ。本当に片目の色が違う。若様の気休めじゃなかったよ」
「シェラルザード様はお会いにはなりましたか。是非にも」
「先にお目にかかっていれば文句も出なかったに、皮を剥かれた時にはそりゃ騒ぎになりましてね」
 そう言いながらお針子の手を休めた女たちは自分の手の甲や歯をむいたり尻たぶを見せたりとひとしきりはしゃいでみせた。
 しばらくセラムはうろたえていたが、彼女らがつまりは義眼の移植治療によって視力を回復したことを驚き喜んでいることを知って、ゆるゆると自分の経緯を説明した。
 義眼を贈り物としてもらえるとなった折に宝石細工と知って赤青緑なども考えに浮かんだが流石に宝石そのものというのはどうかと思ったし、自分の生来の眼の色というのもつまらないと思って軽い気持ちで憧れていた暗い紫にしたら、自分の子供の瞳が紫になって生まれたことで目をえぐろうと思ったこともあった。
 そういう仰天するような出来事もあったが、あるとき閨で左目に違和感を感じてそこから次第に視力が回復するようになった。
 大まかに三四年くらいかかっていつの間にか、という話を女たちにすると自分たちの少し色合いに違いのある手の甲や口元をなでたりして様子を確かめていた。
 そうこうしていると離れやあちこちからまた幾人かがぞろぞろと裁縫室に現れた。
 女たちは風呂や食事や或いは作務のたぐいがないと、基本的には離れで子供たちと過ごしていて、その作務も館の巡回以外はおよそ気のままだったので、千人ちかくもいると離れで風呂や便所にあふれて慌てたときにしかやってこない者もいるのだが、そういう者も今日はきていた。
 二百かそこいらの女たちは、やはり屈託もあって肌の張替えや差し歯をおこなっていなかったりとするわけだが、そういう女達の中にも牛を引くように押されるようにやってきた者たちもいる。
 正直を云えば興味もあったが、それにしてもいっぺんに日に何人もならべてやられたり、御手様ご本人ならともかくその徒弟の試し胴みたいにして扱われるのはゴメンだったりと、女の方にも言い分と気分というものがある。
 二年あまりの間に八百近い施術をやっていて、つまりはそれは月に三十に近い数でマジンが館にいない日を考えれば、およそやるときにまとめて五人とか八人とか施術をしている勘定で、それは女の言い分のほうが気分の上では正しいと傍から見れば思える。
 女たちも自分たちの表沙汰にしたくない身の証になる手の甲と尻たぶの烙印について思わないところはないが、子供の世話が落ち着いたところでやろうと思って先延ばしにしていた。
「ところでさぁ、御手様。アタシの足治すって話はどうなったんだい。羊や牛馬で試してるのは聞いてるけどさ。走るのは無理ってのはまぁ仕方ないとしてそろそろ試してみちゃくんないかしらね。この屋敷も杖で歩くにはちょっと広いわ。若様の話だと何頭かはうまくいったんだろ」
 クワナビという名のその女は豚小屋に放り込まれてからも抵抗をした気性で折檻を受け、足の腱を切られた。そういう女が他にも四人いる。
 豚小屋でそういう折檻や気晴らしの暴力でカタワになったものは概ね死んでしまうが、それでも運良く命長らえ、あまり快適ともいえない船旅を乗り越えた女たちが数十いる。
 介錯を頼んだり途中で果てたものも十名ほどいるが、そうでないものもいて義肢を用意したり、支えになる吊りをつけたりして生活している。
 ルミナスはそういう聞き取りにひどく熱心で手当や支えに、子供の差し出口を八つ当たりする女たちにもめげずにつきまとい、或いは助けになっていた。
 マジンにとって歯と皮の張替えは単に押し入りの証拠隠滅の延長だったが、ルミナスのそれはどちらかと云うと本当に慈善或いは純粋に医療行為で、やさしいこどもだ、というだけでもあるのだが、子供の悟性というものがいつどのように発露するかは天賦の才と云うしかないものであった。
「順番だ。と云いたいところだが、たしかにお前の言うとおり手がないわけじゃないこともわかってきた。踵の腱を切られたのはお前とミカルとフランベラルとユカールカナンとだったか」
「あとジェンナと小さい方のユマ」
 クワナビがここにいない二人を足した。
「全部で六人だったか。結構いるな。とりあえず、検査をして簡単そうなのからやってみることにしよう。もちろん本人が怖い嫌だって言うならやめる。一人目は失敗するかもしれない。死体や家畜では試しているが、人間を治すのを目的にするのはこれが初めてだ。それにボクはもともと細工物はやるが、人はまぁついでのなりゆきだ」
「それでも皮のツギハリはやったね」
 クワナビが言葉尻を逃すまいとするように言った。
「これは強盗騒ぎの類難を恐れての証拠隠滅だ。人に威張れる騒ぎじゃない」
「差し歯と義眼も入れた」
「女の見た目を良くしてやりたいと思うのは、男の甲斐性だろう。まぁニスの焼けた家具をといで塗りなおして磨くようなものだ。下衆の見栄と思っていい」
 クワナビが差歯を見せるように笑った。
「そこは庭の花壇の手入れくらいに言ってくれると女としては着飾り甲斐がある。その辺の机や棚に括られて男の玉竿を磨くってのも強盗に盗まれた家具の仕事だってならやるけどさ」
 クワナビの言い草にマジンも観念した。
「わかった。じゃぁ花壇の手入れをしてやることにしよう。忙しいといっても騒がしいからな。とりあえず再来月一人やってみるつもりで検査をする。家畜の経過はルミナスから聞いているか」
「どこぞの雌牛が歩けるようになったって話は聞いた」
「六戦して二勝三敗。ひとつはまだ結果が出ていない。大体半年から一年くらいかかるらしい。全部雌だ。お前らみたいに良い子供を産んで良く乳を出す奴らで殺すのが惜しいってことで相談を受けた」
「ちなみにここまでの勝ち負けは」
 マジンの軽口にクワナビはニコリともしないで真剣なまま尋ねた。
「負け勝ち負け負け勝ち。お前らの場合、切れて結構経っているから開いてみるまでどうなっているかわからないところも多い。というのは一応負け惜しみを言う前に煙幕がわりに言っとく」
「でも出来る可能性はあるんだね」
「出来る可能性がないことなんて、この世にはないよ。出来るか出来ないかは準備が足りているか体力があるか、できるまで我慢できるかってだけだ。全部時間の問題だよ」
「足りないものは」
「君たちの足の状態がわからない。君たちの覚悟がわからない。鶏ガラのスープみたいにバラバラになった足を見て歩くことが二度とできなくても、ボクやボクの助手徒弟を恨まず我慢できると云うならやれる。だが、そういう状態の君達を見てボクや助手が後悔をしない覚悟が必要だから検査をして再来月やろう。学志館の論文講演の後じゃないと落ち着かない」
 まぁだいたいそういう話で決着した。
 腕がもがれた足がもがれたという事故はもちろん多く、それを繋いだという話はわりとないわけではないのだが、実際にそれをおこなった医者をみたものはおらず名前も怪しいという状態であった。
 作業そのものは材料の取り出し、現場の確認と修理の施工、という感じで進み、大雑把にそれぞれ一時間かからないくらいでおわる。説明を受けた六人が首をひねるほどの簡単そうな内容だった。
 腹から太めの血管と膜を切り出して足の血管を繋ぎ直し近場の神経を支えた脇に腱を髪の毛より細い糸で編んだ網で繋いで橋をかけ、回復の間使いようのないすねの筋肉を少し切り出して膜にのせ膜と網の支え抑えにする。
 大雑把に言えばそういう手際でおこなわれる。
 実績はヨンロク、気分は五分五分というところでクワナビを含む三名がじゃんけんをした。
 ジャンケンに勝ったジェンナの足の腱をつなぐ手術は午前中に始まり昼食の時間に間に合うように終わった。
 麻酔で意識のないジェンナは目が冷めてまだ昼過ぎであることに丸一日も寝ていたのかと思うほどにあっけなく終わった。
 最終的に網と膜にそって筋肉を材料に腱が再生されれば宜しいという手術でうまくゆくかどうかは血管と筋肉がきちんと材料として使われるかが運命の分かれ道でもある。
 生物の体は割といい加減にできていて、その場にある材料を割と適当に使おうとするのだけど、そのためには血管と神経が必要でもある。神経の移植はまだどうやっていいのか見当がつかない話題でとりあえず血管の移植先を太めの神経のそばにしてあるが、もちろんうまくゆく保証はない。
 腱を切られたときに切れただろう、もとの神経が見つかるようなら糸と膜でからげて引きあわせてやりたいところだがやはり時間が立っていて探すのは難しかった。
 ただ、それっぽいコブのようなところのそばに血管を繋いでやってみたが、それで芽が伸びるかどうかは運次第だった。
 牛の手術が失敗した理由はいくつかあるが、どうしても大きく足を動かしてしまうことでつながるまえにちぎれてしまうからだろうと見当はついていた。よほど弱っていればともかくどうしても動物は立ちたがる。
 そのつもりで足を固定はしてあるが、大柄な牛では些細な身動ぎで負荷がかかる。
 忙しい農家で大事とはいえ牛一頭にどれほど時間をさけるかが成否を分けている。
 成功の見込みという意味であれば、ヒトであれば技術の理屈としてはひと通りそろっていた。最終的に抜糸ができない状態になるはずの糸も生分解はできないが、残置することでどこかを痛めることもないはずだった。
 牛の場合と違い、怪我から数年を経ていることで体自体が元の体を諦めていることも考えられ傷をつなぐのではなく改めて作ることになることが問題ではあるが、そこは気長に様子を見るしかない。
 今はガッチリと膝から下を固めていて足の指と少しの足の裏と甲が出ているだけだが、同室の女たちに朝晩挨拶代わりにくすぐらせている。自分でも動かせる様子でその後の経過は機械による映像を見る限りでは順調のようだった。
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