世界樹の贄の愛が重すぎる

緑虫

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33 ユグのお願い

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 台座の受け皿部分のゴミを取り除き、古代語が彫られた溝の掃除をしていく。

 固まってしまった土を水で浸して柔らかくしては細い枝で掻いている内に、少しずつ全体が現れてきた。

「細かいなあ……っ」

 石盤とは違って、こちらに記された文字は恐ろしいほどに小さい。石盤は僕のお腹程度の高さしかないので、腰にもきた。この体勢は、地味にきつい。師匠の腰痛に比べたら大したことはないのかもしれないけど。

 僕が細かい掃除を始めてしまうと、ユグは手伝えることがなくなる。

 これは後で聞いた話だけど、僕が作業している間、ユグはせっせと狩りや果物の採取をしたり、枯れ枝を集めたりしてくれたそうだ。僕は相変わらず全く気付かなかったらしいけど。

「――アーウィン」

 突然視界が遮られたかと思うと、唇に触れたのは柔らかい感触。

「えっ」

 光石の淡い光の中に浮かび上がるユグの端正な顔を見た瞬間、予期していなかった僕の心臓がドクン! と飛び跳ねる。

「アーウィン、戻ってきた?」

 小首を傾げるユグ。僕は瞬時に悟った。

「えっ!? あっ!? ユグ、ごめん! またやっちゃった……!」

 ユグの微笑には、僕のことを愛しいという想いが滲み出ているように見える。

 う……そんな優しい目で見られたら、台座掃除に集中しすぎて他のことを何もかも忘れていたことが急に申し訳なくなるんだけど……。

「そ、それでユグ、どうしたの?」

 気を取り直し、ユグを笑顔で見上げた。ユグは嬉しそうに目を細めると、僕の髪をさらりと撫でて耳にかけてくれる。

「ユ、ユグッ!?」

 ユグの見た目はがっちりとした体型で大人の男って感じだけど、その実中身は純粋で、行動のひとつひとつは物凄く可愛らしい。そんなユグが突然大人っぽく振る舞うと、どう反応していいのか困ってしまうのだ。

 僕のドキドキなんて知ってか知らずか、眩しい笑顔を惜しげもなく見せるユグ。くああ……っ!

「アーウィン、ご飯の前にお風呂行こう?」
「え!? もうそんな時間!?」

 慌てて隙間から外を覗く。先の方に見える虚の穴の向こう側は、確かにもう真っ暗になっていた。うそ! 集中しすぎるにも程があるよ!

「まさかユグ、ずっと僕を呼んでた!?」

 ユグはゆっくりと首を横に振る。

「ううん、大丈夫。アーウィンが夢中になってるの見るの、楽しかった」
「それってずっと呼んでたってことじゃ……!」
「キスする前に、夢中なアーウィンたっぷり見た。可愛かった」
「ぶ……っ」

 ユグの説明によると、僕は夢中になって作業している間、独り言を喋ったり唇を尖らせたり、時には笑ったりしているらしかった。いや、なにそれ。全然知らないんだけど。

「アーウィンのすごく可愛い……ええと、表情? 沢山見てたから、楽しかった」
「は、ははは……」

 つまりは僕の百面相をじっと眺めていたってことだ。恥ずかしい……まあ、ユグならいいんだけど、年上としての貫禄とかそういったものがね……。

 でも、僕の行き過ぎた集中のお陰で、受け皿部分の汚れはほぼ取り除かれた。区切りとしては丁度いいと思おう。そして百面相については一旦忘れよう、うん。

「よ、よし! じゃあ今日はここまでにして、解読は明日にしようか!」
「うん!」

 ユグの背中を押しながら、ユグの生活区域へと戻る。

 道具を隅の方に片付けると、ユグが当たり前のように僕を横抱きに持ち上げた。

 少しばかり真剣な表情のユグが、遠慮がちに尋ねる。

「……アーウィン、この間の、またやって?」
「この間の……?」

 一瞬何だろうと思った。でも少し照れくさそうなユグの表情を見て、すぐに気付く。

 この間のといえば、あれしかない。

 すると僕が返事をする前に、ユグが言った。

「オレの、アーウィン擦る」
「ぐっ」
「オレ、アーウィンの擦る」
「ぶはっ」

 はっきりと言葉にされると、どうしたって恥ずかしい。前回はユグは僕にはしなかった。いや、恥ずかしすぎてさせなかったのは僕だけど、どう考えてもユグがヤりたがっているようにしか聞こえない! 未だかつて自分以外の手に触れさせたことがないだけに、期待よりもどうしようという焦りの方が先に立った。

 ――だけど。

「……お願い、シよ?」

 悲しそうに首を傾げられてしまった僕は。

「ど……どんと来いだよ!」

 と、自分の薄っぺらい胸を拳で叩いてしまった。

 ……ああ。



 川辺りの窪みの水たまりをお湯にして汗を流した後。

「あ……っ、ユグッ、ユグの手っ、大きい……っ!」

 前回と同様、ユグの上に正面から跨った僕の陰茎は、現在ユグの大きな手の中にすっぽりと収まっていた。

 人の手、ヤバすぎる。なにこれ、自分でヤるのと全く違う……っ!

 ユグの手の表面は少し皮が厚くてゴツゴツしていて、擦り上げられる度に強い刺激が与えられる。

「アーウィン、キスしたい……!」

 色っぽい顔のユグが、口を半開きにして舌を出した。僕に顔を近づけると、口を開けて吐息を漏らしていた僕の唇をあっさりと奪い去る。

「あっ、ん、……んむぅっ」

 ユグの手が動く度に、水面がパチャパチャと音を立てた。そこに追加するようにクチュクチュと響く舌が絡み合う音が、僕の興奮を掻き立てる。

 ぷはあっと顔を話すと、勝手に揺れる腰の動きを止められないまま、自分でも甘ったるいなと思う弱々しい声を出した。

「や、イク、出ちゃうよ……っ」

 真っ赤になっている自覚を持ちながら、緩みまくった顔でユグを見る。ユグは、まるで睨んでいるように僕を凝視していた。お尻に触れるユグの陰茎がガチガチになっているのが見なくとも分かったので、これが必死で我慢している顔なんだろう。

 ……堪らなくそそられる僕は、すっかりエロい人間になってしまったみたいだ。

 僕を見つめっ放しのユグが、雄味の強い笑みを浮かべてのたまった。

「アーウィン、美味しそう……」
「へ……っ?」
「アーウィンの、欲しい」
「え、欲しいって何を――うわっ」

 ユグは突然僕の腰を持ち上げると、ユグの手に握られた完勃ちした僕の雄の先端をぱくりと口に含む。

「ひ、ひゃあああっ!? ユグ、何してんのさ!」
「おいひほうらから」
「ば、ばかっ! そんなところで喋るんじゃないっ!」

 ユグの頭を押したけど、びくともしなかった。その間にも、ユグの手の動きはどんどん早くなる。

 ――そういえば、この間もやたらと口に挿れたがってた!

「やっ、本当に、ユグ、そんなものは口に挿れちゃ駄目だから!」

 と、ユグのギラギラした目が僕を捉える。

 限界に近い僕の陰茎を口に含んだまま、ユグが言った。

「村にいた時、兄さまが口に挿れてるの、見た」
「はあっ!?」
「触りたいと思うの、大好きな人。大好きな人のもの、全部食べたい」

 ユグの兄いいいいっ! 子供ユグになんていうものを見せてるんだ!

「だからアーウィンの、全部ほしい」
「ユ、ユグ……ッ、あ、イク、イッちゃう……っ!」

 ユグの優しくも激しい手の動きの前に、僕はあっさりと果て。

「……アーウィンの味」

 僕のモノを呑み干したユグが、色気満載の猛った目で舌なめずりをしながら、低い声で囁いた。
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