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39 エンジとハル
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ストリートチルドレンの仲間の説得に失敗し項垂れて戻ってきたエンジの姿を見て、ミカゲさんは野太い悲鳴を上げた。
折角よくなったというのに、エンジの身体が血だらけになっていたからだ。
「エンジ……会えたのか?」
目の前に膝を突いたミカゲさんに二の腕を優しく掴まれたエンジは、言葉を発することができないまま無言で頷く。
「そうか……そうか、うん、よくやってくれたな。ありがとうエンジ」
家族だと思っていた仲間に裏切り者と言われてしまったエンジは、心底傷ついていた。身体に受けた傷よりも、心を斬りつけられた傷の方が痛んだ。
「う……うわああああんっ」
記憶にある限りで初めて、大声でただ悲しみを吐き出す為だけに泣いた。ミカゲさんが、エンジを優しく抱き寄せる。
「――大丈夫だ。怪我をさせないように慎重に解体するから、お前は気にするな。な?」
大丈夫、大丈夫だと、ミカゲさんはずっと言い続けてくれて。
泣きつかれたエンジがミカゲさんの腕の中で寝てしまうまで、ミカゲさんはずっとエンジを抱き締めてくれていた。
◇
ミカゲさんの拳だけじゃなく内面の強さに強く惹かれたエンジは、ミカゲさんに弟子にしてほしいと頼み込んだ。
「弟子? そりゃお前を引き取るつもりだったから、鍛えるのはいいっちゃいいが……」
「うん! 俺、ミカゲみたいに強くてでっかい男になりたいんだ!」
「……ふはっ、仕方ねえなあ。でもだったら、お前にもひとつ折れてもらわないとならねえことがあるぞ。できるか?」
エンジはここでようやく、自分に怪我を負わせたハルさんに引き合わされる。弟子としてやっていく以上は、ハルさんとの接触は必ず発生する。互いにわだかまりを残したままでいることは、状況的に無理があった。
ひと月ぶりにエンジの姿を見たハルさんは深々と頭を下げると、「年長の者としてあるまじき行為だったと反省しています。貴方の兄弟子として、ミカゲ様の名を汚すことのないよう接していきます」と真摯に謝ってくれた。だからエンジも「……もういいよ」と言うことができた。
それから暫くして、エンジが暮らしていたスラム街は言葉通り消えた。
五一たちストリートチルドレンの姿は、最後まで見かけることはなかった、だからきっとどこか別の場所に移動したんだろうとミカゲさんに言われて、エンジは心の中でひとつの区切りをつけた。
ミカゲさんは王宮勤めの役人さんだった。実は前年、王様を一期務めていたんだと聞いた時、エンジはひっくり返りそうなくらい驚いた。
「だけどな、王宮にいたら色んなものが見え辛かった。だから王宮のものの考え方を覚えた後、こうしてまた実際に起きていることに近い場所に下りてきたって感じだな」
「そうなんだ」
「まあ、俺がスラム街の解体を任せられたのはこいつの存在もあるけどな」
ミカゲさんは、お腹を出して床に寝っ転がっているミカゲさんの使い魔――灰色の毛並みの熊に似た魔獣を振り返って笑った。エンジが寝込んでいた間、ミカゲさんが不在にしている間は誰も入って来られないように部屋の前に寝かせていたんだとか。
立派な牙を持つ赤目の使い魔ユキカゲのパワーは圧倒的で、材木を運んだり建物を壊したりするのに向いていた。そんなユキカゲの背中でいつも丸くなっているのは、別の使い魔だという翼の生えた白猫だ。
なんで使い魔が二匹もいるのかとエンジが尋ねると、「ありゃあ友人の使い魔だ、俺んじゃねえ。ちょっと諸事情あってそいつは使い魔を連れていけなくてな」と言われた。「たまに突然会いに来るから、お前もその内会えるさ」と付け加えて。
ひとつの街の整地が終わると、ミカゲさん率いる解体部隊はまた次の街へと移動していくの繰り返しだった。
やがて季節が巡り、ひと通りの解体も終わったあたりで、次の王者決定国家武闘会の予選時期が近付く。
ミカゲさんは、王都に向かわないことを決めた。まだ未成年のエンジとハルさんは、予選には出られない。要は関所を通れないということで、ミカゲさんは弟子たちと共に過ごすことを選んだ。
「国境の警備でもしにいくか!」というミカゲさんのひと声で何人もの有志が集まったこともあって、少しずつ活気を取り戻していっている国内の様子を肌で感じながら旅を続けた。
それからは、時折王宮に戻るミカゲさんについて行っては、王様の指示の元、問題が起きた場所に向かう生活が始まる。
エンジとハルさんの仲は決していいものとは言えなかったけど、カッとなりやすいエンジが問題を起こせばハルさんが諌めている内に、少しずつ互いの存在を認めるようになっていった。
エンジを拾ったことからも分かる通り、ミカゲさんはかなりのお人好しだった。特に子どもが困っているのを見ると放っておけなくて、次から次へと面倒をみてしまう。
殆どの子は、里親を見つけてやったり孤児院に預けたりして行き先を探してやった。だけど中にはエンジみたいに「弟子になりたい!」と熱望する子もいて、エンジとハルさんは兄弟子としてその子らの面倒を見ることになった。
エンジは子どもたちの面倒を見ることはできたけど、かつての家族との悲しい別れが尾を引きずっていて、ハルさんほど心を砕いて接することがどうしてもできなかった。でも、できないことに関して、ミカゲさんもハルさんもエンジを責めるようなことは一度も言わなかった。
エンジが十六歳になった時、十八歳の成人になったハルさんが初めて王者決定国家武闘会の予選に挑んだ。未成年者は関所を通ることができないから、エンジたちはハルさんを激励して見送った。
結果は、王都の関所で予選敗退。暫くして戻ってきたハルさんは、「父にこってり絞られてしまいました」と凹んでいたそうだ。
翌年もハルさんは王者決定国家武闘会に挑んで、今度は本選に出場できたけど一回戦で敗退。本選が開始してエンジたちが応援に駆けつける前に戻ってきたハルさんが、落ち込んだ様子でミカゲさんに何か報告しているのを見かけた。エンジには内容までは伝わらなかったけど、あまりいい内容でないようなのは察することができた。
そして、ハルさんの三度目の挑戦の年。この年はエンジも成人年齢を迎えた為、初参加する。
あれからエンジは逞しく育っていた。元々、栄養が足りない状態でも身体は人より大きかったこともあり、しっかり食べて鍛えるようになってからの成長は著しいものがあったんだ。
元々逞しい身体を持っていたハルさんと並ぶ体格を手に入れたエンジに、ハルさんは「いつ追い越されるかと戦々恐々としていますよ」と笑っていた。「ハルにはまだ勝てねえよ」と返せるくらいには、エンジはハルさんのことを認めるようになっていた。
だけど、現実は残酷だ。
無事に予選を通過した二人は、本選の三回戦でたまたま当たってしまった。ミカゲさんや年下の仲間が見守る中、二人の戦いが始まる。
ハルさんには、長年積み重ねた経験と知識があった。エンジの弱点も知り尽くしていたハルさん相手に、エンジは苦戦を強いられる。
だけど、エンジは負けたくなかった。だから、粘って粘って粘って。
これまで一度も勝つことができなかったハルさんに、エンジは勝った。
すると、倒されたハルさんが寂しそうな笑みを浮かべて言ったんだ。
「実は、今年も無様な姿を晒すようであれば戻ってこい、と父に言われていたんです。だから、これでみなさんとはお別れです。貴方の兄弟子でいられて楽しかったですよ、エンジ」
「え……っ」
エンジが呆然とする中、ハルさんが「ほら、早く勝利の報告に向かいなさい」と兄弟子として最後の言葉をかけ。
エンジたちの前から、ハルさんは去っていた。
エンジは自分がしてしまったことのショックから立ち直れず、次の戦いで敗退。こうしてエンジの初年度の挑戦は終わった。
ハルさんは、お父さんの紹介で王宮勤めになった。内政に携わるお父さんの補佐になったハルさんとは、殆ど顔を合わすこともなくなってしまった。
決してハルさんに懐いていた訳ではなかった。だけど、エンジの生活の一部となっていたハルさんの存在が唐突に失われてしまったエンジは、空虚を胸の内に抱えるようになる。
それに加え、ハルが細やかに面倒を見ていた年下の弟子たちが「エンジのせいでハルがいられなくなったんだ」「いなくなるのがエンジの方ならよかったのに」と言っているのを聞いてしまった。
次第にエンジは、ミカゲさんの傍から離れる時間が増えていく。
初出場で本選の四回戦まで進出したエンジは、その目立つ見目のせいもあって、一躍有名になった。師匠が元国王のミカゲさんであったことも要因のひとつかもしれない。
帰りたくなくて飲みに出れば男女問わず声をかけられ、その頃から大人の遊びも覚え始める。誰かと過ごす夜は、心の空虚を少しだけ忘れることができた。
近付いてきた誰もが、エンジの武勇伝を聞いては褒め称えた。エンジに抱かれた者は、エンジといかに情熱的な夜を過ごしたかを周囲に吹聴した。
だけど、エンジは誰に対しても夢中にはなれなかった。彼らがエンジに対し抱く姿は、まだ子どもから毛が生えた程度でしかない実際のエンジとはかけ離れたものだったから、誰か別人の話をされているような感覚がつきまとっていた。
翌年、すっかり大所帯になっていたミカゲさんの弟子たちを一箇所に住まわせる為、ミカゲさんが王都に居を構える。この中にウキョウサキョウの双子の姿もあったそうだ。
ミカゲさんには、弟子たちに稽古をつけないかと誘われていた。だけどエンジは、自分を望んでなどいない彼らに真摯に向き合える気がしなくて――断った。
折角よくなったというのに、エンジの身体が血だらけになっていたからだ。
「エンジ……会えたのか?」
目の前に膝を突いたミカゲさんに二の腕を優しく掴まれたエンジは、言葉を発することができないまま無言で頷く。
「そうか……そうか、うん、よくやってくれたな。ありがとうエンジ」
家族だと思っていた仲間に裏切り者と言われてしまったエンジは、心底傷ついていた。身体に受けた傷よりも、心を斬りつけられた傷の方が痛んだ。
「う……うわああああんっ」
記憶にある限りで初めて、大声でただ悲しみを吐き出す為だけに泣いた。ミカゲさんが、エンジを優しく抱き寄せる。
「――大丈夫だ。怪我をさせないように慎重に解体するから、お前は気にするな。な?」
大丈夫、大丈夫だと、ミカゲさんはずっと言い続けてくれて。
泣きつかれたエンジがミカゲさんの腕の中で寝てしまうまで、ミカゲさんはずっとエンジを抱き締めてくれていた。
◇
ミカゲさんの拳だけじゃなく内面の強さに強く惹かれたエンジは、ミカゲさんに弟子にしてほしいと頼み込んだ。
「弟子? そりゃお前を引き取るつもりだったから、鍛えるのはいいっちゃいいが……」
「うん! 俺、ミカゲみたいに強くてでっかい男になりたいんだ!」
「……ふはっ、仕方ねえなあ。でもだったら、お前にもひとつ折れてもらわないとならねえことがあるぞ。できるか?」
エンジはここでようやく、自分に怪我を負わせたハルさんに引き合わされる。弟子としてやっていく以上は、ハルさんとの接触は必ず発生する。互いにわだかまりを残したままでいることは、状況的に無理があった。
ひと月ぶりにエンジの姿を見たハルさんは深々と頭を下げると、「年長の者としてあるまじき行為だったと反省しています。貴方の兄弟子として、ミカゲ様の名を汚すことのないよう接していきます」と真摯に謝ってくれた。だからエンジも「……もういいよ」と言うことができた。
それから暫くして、エンジが暮らしていたスラム街は言葉通り消えた。
五一たちストリートチルドレンの姿は、最後まで見かけることはなかった、だからきっとどこか別の場所に移動したんだろうとミカゲさんに言われて、エンジは心の中でひとつの区切りをつけた。
ミカゲさんは王宮勤めの役人さんだった。実は前年、王様を一期務めていたんだと聞いた時、エンジはひっくり返りそうなくらい驚いた。
「だけどな、王宮にいたら色んなものが見え辛かった。だから王宮のものの考え方を覚えた後、こうしてまた実際に起きていることに近い場所に下りてきたって感じだな」
「そうなんだ」
「まあ、俺がスラム街の解体を任せられたのはこいつの存在もあるけどな」
ミカゲさんは、お腹を出して床に寝っ転がっているミカゲさんの使い魔――灰色の毛並みの熊に似た魔獣を振り返って笑った。エンジが寝込んでいた間、ミカゲさんが不在にしている間は誰も入って来られないように部屋の前に寝かせていたんだとか。
立派な牙を持つ赤目の使い魔ユキカゲのパワーは圧倒的で、材木を運んだり建物を壊したりするのに向いていた。そんなユキカゲの背中でいつも丸くなっているのは、別の使い魔だという翼の生えた白猫だ。
なんで使い魔が二匹もいるのかとエンジが尋ねると、「ありゃあ友人の使い魔だ、俺んじゃねえ。ちょっと諸事情あってそいつは使い魔を連れていけなくてな」と言われた。「たまに突然会いに来るから、お前もその内会えるさ」と付け加えて。
ひとつの街の整地が終わると、ミカゲさん率いる解体部隊はまた次の街へと移動していくの繰り返しだった。
やがて季節が巡り、ひと通りの解体も終わったあたりで、次の王者決定国家武闘会の予選時期が近付く。
ミカゲさんは、王都に向かわないことを決めた。まだ未成年のエンジとハルさんは、予選には出られない。要は関所を通れないということで、ミカゲさんは弟子たちと共に過ごすことを選んだ。
「国境の警備でもしにいくか!」というミカゲさんのひと声で何人もの有志が集まったこともあって、少しずつ活気を取り戻していっている国内の様子を肌で感じながら旅を続けた。
それからは、時折王宮に戻るミカゲさんについて行っては、王様の指示の元、問題が起きた場所に向かう生活が始まる。
エンジとハルさんの仲は決していいものとは言えなかったけど、カッとなりやすいエンジが問題を起こせばハルさんが諌めている内に、少しずつ互いの存在を認めるようになっていった。
エンジを拾ったことからも分かる通り、ミカゲさんはかなりのお人好しだった。特に子どもが困っているのを見ると放っておけなくて、次から次へと面倒をみてしまう。
殆どの子は、里親を見つけてやったり孤児院に預けたりして行き先を探してやった。だけど中にはエンジみたいに「弟子になりたい!」と熱望する子もいて、エンジとハルさんは兄弟子としてその子らの面倒を見ることになった。
エンジは子どもたちの面倒を見ることはできたけど、かつての家族との悲しい別れが尾を引きずっていて、ハルさんほど心を砕いて接することがどうしてもできなかった。でも、できないことに関して、ミカゲさんもハルさんもエンジを責めるようなことは一度も言わなかった。
エンジが十六歳になった時、十八歳の成人になったハルさんが初めて王者決定国家武闘会の予選に挑んだ。未成年者は関所を通ることができないから、エンジたちはハルさんを激励して見送った。
結果は、王都の関所で予選敗退。暫くして戻ってきたハルさんは、「父にこってり絞られてしまいました」と凹んでいたそうだ。
翌年もハルさんは王者決定国家武闘会に挑んで、今度は本選に出場できたけど一回戦で敗退。本選が開始してエンジたちが応援に駆けつける前に戻ってきたハルさんが、落ち込んだ様子でミカゲさんに何か報告しているのを見かけた。エンジには内容までは伝わらなかったけど、あまりいい内容でないようなのは察することができた。
そして、ハルさんの三度目の挑戦の年。この年はエンジも成人年齢を迎えた為、初参加する。
あれからエンジは逞しく育っていた。元々、栄養が足りない状態でも身体は人より大きかったこともあり、しっかり食べて鍛えるようになってからの成長は著しいものがあったんだ。
元々逞しい身体を持っていたハルさんと並ぶ体格を手に入れたエンジに、ハルさんは「いつ追い越されるかと戦々恐々としていますよ」と笑っていた。「ハルにはまだ勝てねえよ」と返せるくらいには、エンジはハルさんのことを認めるようになっていた。
だけど、現実は残酷だ。
無事に予選を通過した二人は、本選の三回戦でたまたま当たってしまった。ミカゲさんや年下の仲間が見守る中、二人の戦いが始まる。
ハルさんには、長年積み重ねた経験と知識があった。エンジの弱点も知り尽くしていたハルさん相手に、エンジは苦戦を強いられる。
だけど、エンジは負けたくなかった。だから、粘って粘って粘って。
これまで一度も勝つことができなかったハルさんに、エンジは勝った。
すると、倒されたハルさんが寂しそうな笑みを浮かべて言ったんだ。
「実は、今年も無様な姿を晒すようであれば戻ってこい、と父に言われていたんです。だから、これでみなさんとはお別れです。貴方の兄弟子でいられて楽しかったですよ、エンジ」
「え……っ」
エンジが呆然とする中、ハルさんが「ほら、早く勝利の報告に向かいなさい」と兄弟子として最後の言葉をかけ。
エンジたちの前から、ハルさんは去っていた。
エンジは自分がしてしまったことのショックから立ち直れず、次の戦いで敗退。こうしてエンジの初年度の挑戦は終わった。
ハルさんは、お父さんの紹介で王宮勤めになった。内政に携わるお父さんの補佐になったハルさんとは、殆ど顔を合わすこともなくなってしまった。
決してハルさんに懐いていた訳ではなかった。だけど、エンジの生活の一部となっていたハルさんの存在が唐突に失われてしまったエンジは、空虚を胸の内に抱えるようになる。
それに加え、ハルが細やかに面倒を見ていた年下の弟子たちが「エンジのせいでハルがいられなくなったんだ」「いなくなるのがエンジの方ならよかったのに」と言っているのを聞いてしまった。
次第にエンジは、ミカゲさんの傍から離れる時間が増えていく。
初出場で本選の四回戦まで進出したエンジは、その目立つ見目のせいもあって、一躍有名になった。師匠が元国王のミカゲさんであったことも要因のひとつかもしれない。
帰りたくなくて飲みに出れば男女問わず声をかけられ、その頃から大人の遊びも覚え始める。誰かと過ごす夜は、心の空虚を少しだけ忘れることができた。
近付いてきた誰もが、エンジの武勇伝を聞いては褒め称えた。エンジに抱かれた者は、エンジといかに情熱的な夜を過ごしたかを周囲に吹聴した。
だけど、エンジは誰に対しても夢中にはなれなかった。彼らがエンジに対し抱く姿は、まだ子どもから毛が生えた程度でしかない実際のエンジとはかけ離れたものだったから、誰か別人の話をされているような感覚がつきまとっていた。
翌年、すっかり大所帯になっていたミカゲさんの弟子たちを一箇所に住まわせる為、ミカゲさんが王都に居を構える。この中にウキョウサキョウの双子の姿もあったそうだ。
ミカゲさんには、弟子たちに稽古をつけないかと誘われていた。だけどエンジは、自分を望んでなどいない彼らに真摯に向き合える気がしなくて――断った。
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